「ポケトーク for Business 同時通訳」ブラウザ版発表、スマホで同時通訳を実現。HUAWEI Eyewear 2との相性が抜群(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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「ポケトーク for Business 同時通訳」ブラウザ版発表、スマホで同時通訳を実現。HUAWEI Eyewear 2との相性が抜群(石野純也)
  • 「ポケトーク for Business 同時通訳」ブラウザ版発表、スマホで同時通訳を実現。HUAWEI Eyewear 2との相性が抜群(石野純也)
  • ▲ポケトークは、「ポケトーク for Business 同時通訳」のブラウザ版を発表した。写真は、同社CEOの松田氏
  • ▲サービスそのものは3月にスタートしていたが、PC用アプリに限定されていた
  • ▲ブラウザ対応することで、スマホやタブレットでの利用が可能になった
  • ▲同時通訳サービス開発のヒントになったのが、日米首脳会談の様子だったと言う。スマホ対応により、このコンセプトにより近づいた
  • ▲目の前の相手の声が、ワンテンポ遅れて日本語になる。まさに同時通訳のようだ。最後の1行は無視してください(笑)
  • ▲対面で利用する場合、机の上に置いて自分の方に画面を向けられるフォルダブルスマホが便利だった
  • 設定から、翻訳した文字を音声として出力することもできる

ソースネクストからスピンアウトしたポケトークは、新サービスの「ポケトーク for Business 同時通訳」のブラウザ版を発表しました。すでにサービスは開始されており、月額3300円/年額3万9600円で利用できます。

for Businessのため、法人向けという位置づけではありますが、個人ユースにも対応。サブスクとしてはやや高めな印象はあるものの、払えないほどの金額ではない絶妙な価格設定になっています。

▲ポケトークは、「ポケトーク for Business 同時通訳」のブラウザ版を発表した。写真は、同社CEOの松田氏

ポケトーク for Businessは、ソフトウェア化したポケトークをビジネスユースに特化した形で提供するサービスのブランド。同時通訳も、3月にアプリ版としてリリースされていました。その際には、本連載でも取り上げています。

ただ、対応しているハードウェアがPCに限られており、スマホやiPadやAndroidタブレットでは利用ができませんでした。それもあって、出先でサッと使うにはややハードルが高めだったと言えるでしょう。

▲サービスそのものは3月にスタートしていたが、PC用アプリに限定されていた

ポケトーク for Businessがターゲットにしている法人では、そのハードルの高さがさらに上がります。企業によっては、ソフトウェアのインストールに厳しい制限をかけていたり、システム部門の許可が必要だったりするため、個々人の判断で気軽に導入することができませんでした。アップデートのたびに許可が必要なケースもあり、企業導入の足かせになっていたと言います。これを解決するのが、今回のブラウザ版です。

ブラウザは、PCのものだけでなく、iPhoneやiPad、AndroidのSafariやChromeに対応しています。打ち合わせなどの際にPCを持ち歩いていなくても、手持ちのデバイスですぐに使えるのは魅力的です。

機能的には、アプリ版と同様、字幕化したテキストを後から保存することが可能。音声出力にも対応しているため、目で見るだけでなく、母国語の声として聞くことができます。音声出力すれば、まさに同時通訳のように使えるというわけです。

▲ブラウザ対応することで、スマホやタブレットでの利用が可能になった

ポケトークの松田憲幸CEOは、この同時通訳は日米首脳会談の様子がヒントになったと言います。会談では、バイデン米大統領と岸田首相の背後にそれぞれ通訳がつき、相手の言語を翻訳し、耳打ちしていました。

このスタイルなら「相手の会話さえ(母国語で)聞こえればコミュニケーションが成り立つ」と松田氏。お互いが自分専用の通訳をつければ、コミュニケーションがスムーズになると言えるでしょう。

普段から持ち運んでいるスマホやタブレットでの利用が可能になり、ポケトーク for Business同時通訳は、より当初のコンセプトに近づいたような印象を受けます。ほぼほぼ誰もが肌身離さず持ち歩いているデバイスで利用できるようになったことで、普及の加速が期待できます。冒頭で挙げた価格設定も、そのため。個人向けのサービスと思えるぐらいのプライシングをして、気軽な導入を目指したと言います。

▲同時通訳サービス開発のヒントになったのが、日米首脳会談の様子だったと言う。スマホ対応により、このコンセプトにより近づいた

体験会では、実際にブラウザ版を試すことができました。特に事前設定は何もしていない筆者の「Galaxy Z Fold5」から、ブラウザでアクセスし、マイク利用の権限を与えただけですぐに利用が可能になりました。

あらかじめ用意されていたプレゼンではありましたが、翻訳もそこそこ正確。人間が行う同時通訳のように、相手の声からワンテンポ遅れる形で文字が表示され、それが日本語に翻訳されていきます。

▲目の前の相手の声が、ワンテンポ遅れて日本語になる。まさに同時通訳のようだ。最後の1行は無視してください(笑)

あえて英語は聞かないようにし、日本語の文字だけを追ってみましたが、相手が話している内容をしっかり理解できました。ブラウザ版だからといって、アプリ版より精度などが劣っているようなことはないようです。

ただし、スマホでは、Zoomなどのビデオ会議アプリと同時に開いても、翻訳はできないようでした。この場合、別のデバイスでビデオ会議をしつつ、その音声を聞かせて翻訳するといった使い方になります。

対面で利用する場合、やはりスマホは少し角度をつけて立てておけると便利。縦折り、横折りに限らず、フォルダブルスマホだとノートPCのように半開きにしたまま置けるため、使い勝手がいいと感じました。体験会のデモに持っていった端末がGalaxy Z Fold5でよかったと思います。タブレットでも、キーボードを装着しておくといいでしょう。

アプリ版はPC限定だったため、あまり考えなくていい部分ではありましたが、スマホやタブレットだと、デバイスのスタイルは考慮した方がいいような気がします。

▲対面で利用する場合、机の上に置いて自分の方に画面を向けられるフォルダブルスマホが便利だった

また、文字を目で追うよりも、やはり同時通訳は声で聞きたいもの。音声であれば画面を凝視しなくても済むため、相手の目を見ることが可能になります。その際に、イヤホンを装着するのはやや不自然。

特に耳を完全にふさいでしまうカナル型だと、同時通訳の声しか聞こえなくなってしまいます。できれば、オープンイヤー型のイヤホンがいいでしょう。

▲設定から、翻訳した文字を音声として出力することもできる

筆者は、ファーウェイとOWNDAYSがコラボした「HUAWEI Eyewear 2」を装着していましたが、これで聞くと実に自然な形で翻訳した声が相手の声とミックスされます。松田CEOが挙げていた、耳打ちする同時通訳にもっとも近いと言えるでしょう。

もしかしたら、オーディオグラスのキラーアプリになりうるのでは……と思ったほどです。マイクを通した大会議場などでの精度はやや落ちると聞きましたが、海外の発表会などで使ってみたいサービスです。


ただ、1対1や1対多のインタビューなどでお互いが母国語を使おうとすると、相手もこのサービスを利用している必要があり、あまり現実的ではありません。松田氏が挙げていた同時通訳も、バイデン大統領、岸田首相の双方の後ろに通訳が控えていました。

有料会員のユーザーが相手を一時的に招待できるようにするなど、ブラウザ版ならではの簡易さを活かした機能も、ぜひ実装してほしいと感じました。


《石野純也》

石野純也

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ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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