寿命迫るボイジャー2号、電気系の変更で科学機器運用を2026年まで延長。引き続き星間空間のデータを取得

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Munenori Taniguchi

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1977年に打ち上げられたボイジャー2号は、地球から200億km以上離れた星間空間を飛行していますが、現在も科学機器を用いて取得したデータを我々の元へ送り続けています。

しかし、45年を越えて続くミッションもそろそろ終わりが見えてきています。と言うのも、ボイジャーが搭載する放射性同位体熱電発電機(RTG)からの電源供給が終わりに近づいているから。

ボイジャー2号はすでに、消費電力を節約するため、飛行に不可欠ではないヒーターなどの一部システムをオフにしていますが、それでも早ければ2024年には5つある科学機器のうちひとつを停止しなければならない段階に達していました。

ボイジャーに搭載されるRTG (NASA/JPL-Caltech)

しかしNASAのエンジニアは、可能な限り長く星間空間のデータを取得し続けるするために、科学機器以外に電力消費を抑えることができるところはないかと考えた結果、電気系統の電圧が急激に変化した際に機器を保護するための電圧調整器が、わずかながら電力を消費し続けていることに気づきました。

当然ながら、この回路を外せば問題発生時に機器を保護する機能は失われますが、打ち上げから45年を経たいまもシステムの電圧状態は安定しています。科学機器から得られるデータと保護回路を天秤にかけたミッションチームは、科学機器の運用継続を選択することにしました。これによって、全体の電力消費が少しだけ削減できたボイジャー2号は、科学機器をすべて2026年までは使える見通しが立ちました。

なお、チームはボイジャー2号から送られてくるデータを監視し、もしシステムの電圧が乱れるのが確認されれば、対応することもできるとしています(ただし、ボイジャー2号との通信は片道22時間もの時間がかかります)。

ちなみに、ボイジャー1号のほうはといえば、ボイジャー2号よりも稼働する科学機器がひとつ少ない4つ(1号の科学機器はすでに1つが故障し停止している)であるため、まだ電源供給に余裕があるのだそう。ただし、今後やはり電力消費を削減する必要が生じた場合は、1号と同じ対策を施す可能性もあるとのことです。

ボイジャー1号と2号は、それぞれ2012年と2018年に太陽風の及ぶ範囲である太陽圏を脱出し、現在は星間空間を航行しています。


《Munenori Taniguchi》
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