ロシア、宇宙船の相次ぐ冷却水漏れに製造上の問題の可能性を調査

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Munenori Taniguchi

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2か月のあいだに2件の冷却水漏れが相次いだ、ロシアのソユーズ宇宙船およびプログレス補給船に関して、ロシア当局は製造上の欠陥である可能性がないかを調査しています。

最初の冷却水漏れは、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしていたMS-22ソユーズで2022年12月14日に発生しました。この宇宙船はロシア人2名、米国人1名からなるMS-22長期滞在クルーがISSへの行き帰りに使用するためのものでした。水が漏れ出た冷却ラジエーターは、小さな穴が開いており、この時点でロシア当局は原因は小さな隕石が衝突した可能性があるとしていました。

しかしその後2023年2月22日にも、ISSにドッキングしていたプログレス82補給船が、ソユーズと同じような冷却水漏れを起こしました。ロシアの宇宙機関Roscosmosは、その原因は「外部からの影響」だと述べ、2022年10月の打ち上げの際に発生した問題との見方を示しました。ただ、これは暫定的な判断であり、最終的に確認されたわけではありません。


これ以降、ISSまたはドッキング中の宇宙船から冷却水が漏れるようなトラブルは起こっていません。しかしISSで何らかの問題が発生した場合の緊急脱出手段としても使わなければならないMS-22ソユーズが、そのままでは地球に安全に帰還できない状態なのは都合が悪いため、RoscosmosはMS-22ミッションクルーの帰還と非常時の脱出用に、次のMS-23クルーが登場する予定だったMS-23ソユーズを、予定よりも早い時期に、ISSに向けて打ち上げることとしました。現在、MS-23ソユーズはすでにISSにドッキングを済ませており、ひとまず宇宙飛行士の帰りの足と非常時脱出手段は確保されています。

そして先週土曜日、米国のCrew-5長期滞在クルーを乗せたSpaceXのCrew Dragon宇宙船が地上に帰還した際の会見の場で、NASAのISSプログラムマネージャーであるジョエル・モンタルバノ氏は、Roscosmosと(ソユーズ/プログレスを製造する)航空宇宙企業Energiaが、水漏れの原因について「MMOD(微小隕石または軌道デブリ)の可能性に加えて、製造上の問題があったのではないかという疑問について検討している」と述べ「これは正にわれわれが現場でやるべきことだ」としました。

もし、冷却ユニットの製造品質などでなんらかの問題があるとすれば、すでにISSにドッキングしているMS-23ソユーズにも不具合が発生する可能性が高まります。しかし、モンタルバノ氏は、NASAはMS-23ソユーズを信頼していると述べました。ただ、「信頼はしているが、常に警戒はしておく」とコメントを付け加え、「それはわれわれが宇宙開発においてもっとも得意としていることであり、NASAとRoscosmosの両方で共通することだ」とし、万が一に備えて注意を怠ることがないことを強調しています。


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