国際宇宙ステーションISS、人工衛星との衝突回避のため約376秒間のスラスター噴射

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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Artsiom P / Adobe Stock

国際宇宙ステーション(ISS)は3月6日、ドッキングしているプログレス83補給船のスラスターを375.8秒間噴射して軌道を押し上げる操作を実施しました

これは2020年に打ち上げられたアルゼンチンの商用観測衛星が、ISSと交差する軌道上にあり、接近していたためで、もし回避を行わなかった場合は、衛星はISSから約2.7km以内にまで接近していただろうと、NASAは述べています。

NASAは「2020年に打ち上げられたアルゼンチンの地球観測衛星」としかこの衛星に関する情報を共有していませんが、SpaceNewsは、この衛星はブエノスアイレスに本社があるSatellogicが2020年11月に打ち上げた10個の衛星のうちのひとつだと伝えています

ISSがこのような、接近するオブジェクトを回避する操作を行うことは、それほど珍しいことではありません。2022年12月のNASAによる報告書では、1990年以来、ISSは人工衛星や観測可能なスペースデブリが接近するたび、32回にわたって回避のための軌道修正を実施してきました。最近の例では、2021年にロシアが対衛星兵器の試験で破壊したCosmos 1408衛星の破片を避けるため、2度にわたって軌道修正を実施しています。


今回実施された軌道修正には十分な時間的余裕があり、NASAは予想される最接近時刻の約30分前にアメリカ宇宙軍の第18宇宙防衛飛行隊から通知を受け取っていたとのこと。

そしてNASAとロスコスモスの地上チームは回避に必要な諸計算を実施し、ISSのクルーは与えられた手順どおりにスラスター実行しました。実際のところ、回避行動を取らずとも衝突は避けられていたことが後に判明していますが、NASAの管制官はその情報を受け取る前にプログレスのスラスター噴射を指示していたため、操作を続行し完了したとのことです。

なお、今回の操作で高度が変わったISSですが、もうすぐISSを離れる予定のCrew-5メンバーの帰還には影響はないとのこと。日本の若田光一飛行士も含まれるCrew-5メンバーが帰還に使うCrew Dragon宇宙船は、米国時間3月9日にISSとのドッキングを解除し、翌3月10日に帰還する予定です。


《Munenori Taniguchi》
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