Amazon Echo Show 15をFire TV化するアップデートで、地味にハマってわかったその正体(小寺信良)

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小寺信良

小寺信良

ライター/コラムニスト

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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Amazon Echo Show 15をFire TV化するアップデートで、地味にハマってわかったその正体(小寺信良)
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12月7日、AmazonはかねてからアナウンスしていたEcho Show 15のアップデートを開始した。これはEcho Show 15にFire TV相当の機能を追加するという、割と大胆なアップデートである。

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Amazon Primeビデオはこれまでもフル画面で視聴することはできたが、他のサービスに関してはブラウザのSilk内でしか再生できなかった。しかも映像だけのフル画面にできない。フル画面にすると拡大されすぎて画面の一部が切れるといった調子で、実用的ではなかった。

普段うちのEcho Show 15はリビングの壁に備え付けられているが、ずっと画面は点きっぱなしの割には、それほど役に立つわけでもない。買い物リストはあまり利用する機会がないし、スケジュールもパソコンやスマホ上で常に確認しているので、わざわざ通りがかりに確認するほどでもない。

デスクトップスクリーンに、はなちゃんのかわいい写真がスライドショーするように設定してあって、通りがかりに「かわいいー」とか言うだけのことである。ただ本人というか本猫もその辺に転がっているので、かわいいーならそっちに向かっていえば済む話である。要するに大して使い道がないので、気がつくと妻にコンセントを抜かれているという日々だった。

先日のワールドカップは、日本戦はテレビ放送とABEMAの両方でやるということだったので、スペイン戦の際にテレビでは放送を流し、Echo Show 15ではABEMAを流すということにトライしてみた。

だがブラウザの中に填まった小さい映像は、壁掛けのままで見るには小さすぎて、イマイチ役に立たなかった。だが、これがFire TVと同様の機能が使えるというのであれば、ABEMAもフル画面で見られるはずだ。早速アップデートしてみた。

なんか聞いてる話と違う……

Echoのアップデートは、いつも手動で行なっている。アップデートの記事を読んで、そうかそうかとやってみる、というのがいつものパターンだ。だがEcho Show 15の場合、これまでアップデート情報に気がつかなった。

今回のアップデートも、Echo Show 15の画面上に何か通知が出るのかと思って1日待ってみたが、一向にアップデートする気配がないので、手動でアップデートしてみた。プルダウンメニューの設定から、「デバイスオプション」→「ソフトウェアのアップデートの確認」をタップすると、アップデータを探しに行って、アップデートプロセスに入る。

筆者が試した時には、累積のアップデートが2回溜まっていたようで、1回アップデートしたあと、さらにもう一度アップデートが行なわれた。

さらに確認してこれ以上アップデートがないことを確認し、さあいよいよFire TVを試すぞ、という段階になったわけだが、どうも記事にあるような状況になっていない。

アプリを介して「Prime Video」「Netflix」「ABEMA」「YouTube」といった動画/音楽配信サービスを利用できる。

とあるが、ボイスコマンドで「ABEMAを見せて」というと、「現在そのサービスはサポートされていません」と返答があり、ブラウザでABEMAが開くという挙動になっている。

既存のEcho Show 15のソフトウェアを更新した場合は、「Fire TVウィジェット」を起動することで設定可能だ。

とあるが、そもそもその「Fire TVウィジェット」が見つからない。一応プルダウンメニューには「ビデオ」という項目ができて、Amazon Primeビデオにはボイスコマンドなしで直接行けるようになったのだが、サポートされているのはNetflix、Paravi、ひかりTVだけで、「ABEMA」がない。

▲一応メニューには「ビデオ」という項目ができたが……

▲サービスメニューにABEMAがない……

リモコンも設定できるようになるという話だったので、どうやってペアリングするのか調べてみると、設定の中に「Fire TVの設定」というのがあるとされている。だが、そもそもメニューにそんな項目がない。

まだリモコンとセット販売が発売されていないので、発売するときにもう1回アップデートがあるのかな、ぐらいの感じで捉えていた。

やっぱりなんか違うんじゃ……

まあでもこれ以上アップデートのしようもないし、Fire TV化したEcho Show 15はこんな感じ、みたいな内容で筆者らが発行しているメルマガのおまけコンテンツの収録をして、編集し、翌日の公開に備えた。だがアナウンスされている機能が使えないと、「将来はこんな感じになる予定」としか言えず、その程度の情報だったらリリースのニュース記事よりも情報量が低いことになる。

なんかしっくりこないまま一晩寝たわけだが、午前11時ごろ、近所のドラッグストアに買い出しに行く道すがら、そういえば一回初期化してアップデートしたらどうなるんだろう、と思い立った。

クルリときびすを返し、「デバイスオプション」から「工場出荷時の設定にアップデート」を選択。再起動後、通常の言語設定からアカウント設定、Wi-Fi設定など一連の設定動作のあと、「Echo Show 15にFire TV機能が追加されました」という画面が出てきた。

▲初期化したらちゃんとアップデート画面が

これは累積アップデートでは出てこなかった画面である。どうも累積アップデートを行なっただけでは、どこかで引っかかってこの状態まで持って行けないということではないだろうか。そういうとこやぞEcho開発チーム。だからリストラされんねん。

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このウィザードに乗っかって設定すると、アップデータのダウンロードが始まり、ようやく正規のセットアップが始まった。

▲ウィザードに従って設定を進める

設定ウィザードは、Fire TVのセットアップと同じだ。メイン画面に表示するサービスボタンを選択する画面では、ちゃんとABEMAも出てくる。

▲ちゃんとABEMAもあることを確認

さらにウィザードの中には、リモコンの設定も出てきた。試しにFire TV 4Kに付属のリモコンを使ってペアリングしてみたところ、無事ペアリングできた。Echo Show 15は赤外線受光部を持たないが、Fire TVリモコンは無線接続なので、こういう芸当ができるのだろう。ただリモコンはマルチペアリングには非対応なので、Fire TV 4Kで使う場合はまたそっちに再ペアリングする必要がある。

▲リモコンのペアリングもできた

▲プルダウンメニューの中身も、「ビデオ」から「Fire TV」に変わっていた

「正体」は、Echo ShowとFire TVのハイブリッド端末

これでようやく正確なアップデート状況を確認できた。リモコンを使わない場合、Echo Show画面からボイスコマンドでFire TVを起動させたり、あるいはプルダウンメニューからFire TVを起動することになる。したがってEcho Show 画面から起動する1サービス、という位置づけにしか感じられない。

だがリモコンがあることで、全然話が変わる。リモコンのホームボタンを押すたびに、Fire TVとEcho Showのホーム画面がトグルするのだ。つまりアップデートされたEcho Show 15の正体は、Echo ShowとFire TVのハイブリッド端末なのだ。これはリモコンをペアリングしないと気がつかないポイントである。

現在壁掛けをやめて、専用スタンドを使って仕事机の脇に設置したところだが、15インチ画面にNHK+でニュースを流しながら、あるいはABEMAでワールドカップのハイライトをチラ見しながら各種雑務ができる。

またNetflixにて西田宗千佳さんお勧めの「トロール」をガッツリ鑑賞してみたが、画面はHD解像度ながら解像感もあり、ニアフィールドで見てもまったく問題ない。スピーカーはDolby Atmos対応(もちろんバーチャルだが)なので、クオリティは高い。確かに大画面的な迫力はないが、わざわざテレビ入力を切り替えてFire TVを見るより、手軽にアクセスできるのがいい。

またボイスコマンドも不要で、指でのタッチやリモコンだけで操作できるのもいい。1日の仕事終わりには、ボイスコマンドはダルいと感じることも多かったが、黙って指だけで動く端末は便利だ。

これまでこうした手元コンテンツディスプレイというのは、タブレットが担ってきたわけだが、Echo Show 15は15インチの大画面でありながら29,980円で手に入る。この端末は、ようやく自分の居場所を見つけたのではないかと思えるほど、インパクトのあるアップデートだった。


※この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年12月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。コンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もあります。





《小寺信良》

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