8月1日、著名な科学者で仏代替エネルギー・原子力委員会のディレクターを務めているエティエンヌ・クライン氏が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したプロキシマ・ケンタウリの画像と称して1枚の写真をツイートし、その鮮やかさを賞賛しました。
その写真はたしかに4.2光年の彼方、暗黒の宇宙に浮かぶ赤色矮星の表面の炎の陰影を詳細に捉えており、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の性能の高さをわれわれに教えてくれるように思わせてくれます。これを見たTwitter民数千人は、その鮮やかな赤い写真に魅了され、続々といいねやリツイートで拡散し始めました。
しかし、クライン氏はこの投稿から約1時間後「ところで、食前酒を飲むこの時間帯は、認知バイアスが大活躍するようです...気をつけましょう。現代の宇宙論によれば、スペインのシャルキュトリー(食肉加工品)というのは地球以外のどこにも存在しない」とツイート、写真が実はスペインのチョリソーソーセージだと明かしました。
大半の人はこれがジョークだと気づいて笑って済ませたようですが、中には気づかない人や不快に思った人もいたようでクライン氏はさらに数時間後「プロキシマ・ケンタウリの写真だと言ったツイートが冗談の一種だったことをはっきりさせておかねばならないと感じています。特定の画像が示す見かけ上の姿と同じぐらい、権威ある立場からの議論に警戒することをおすすめします……」と釈明。そして結局、水曜日になってクライン氏はいたずらについて謝罪することになりました。
なぜあのようなツイートをしたのかについてクライン氏は、著名な科学者を偽って嘘のツイートを広めるようなフェイクニュースに対する注意を促したかったと説明しています。クライン氏はその後、JWSTの最新画像のひとつである車輪銀河の写真を投稿し「今度こそ本物だ」とフォロワーたちに保証しました。
恒星や惑星のクローズアップ写真といえば、ここ数年は4月の満月がピンクムーンと呼ばれると話題になり、その時期にはたくさんの満月がSNSにアップロードされています。そして、それらに混じってハムの写真をアップロードする冗談がプチ流行りしていたのを覚えている人もいるでしょう。ピンクムーンのジョークは大概、写真を含むツイートの最後に「これはハムです」とネタばらしを含めているので、見た人はその場で笑って済ませられますが、クライン氏は最初にネタばらしを含めていなかったため、少々しょっぱい…いやピリ辛な事態になってしまったのかもしれません。
ちなみに”ピンクムーン”とは、米国の農事暦における4月の満月を指す言葉。気温やその他の関係で実際に月がピンク色に見えることも無くはないものの、月の色を直接示した言葉ではありません。またチョリソーといえば激辛ソーセージのイメージがありますが、唐辛子を使うのはメキシコ風チョリソーで、スペイン産はそれほど辛いものではありません。
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