「世界最速キーボード」にHHKB系高級小型版SteelSeries Apex Pro Mini発表。無線兼用モデルも

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橋本新義

橋本新義

IT系とゲーム系のフリーライター(タイプ:出オチ)

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PCとキーボードやディスプレイなどの周辺機器、スマートフォン、シューティングゲームなどを好むおじさん。隙あれば出オチやネタ、製品にまつわる余談やいい話を組み込もうとして記事が長くなる程度の能力を持つ。アイコンは漫画家『餅月あんこ』先生の筆による似顔絵です。

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「世界最速キーボード」にHHKB系高級小型版SteelSeries Apex Pro Mini発表。無線兼用モデルも
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デンマークのPC周辺機器メーカーSteelSeries(スチールシリーズ)が、小型・高級キーボード2モデル『Apex Pro Mini』『Apex Pro Mini Wireless』を発売しました(上画像はWirelessです)。

ドル建て価格はApex Pro Miniが219.99ドル(現行執筆時の単純換算で約2万9800円)、同Wirelessが279.99ドル(約3万8000円)。
今回の発表はワールドワイド対象ですが、同社のサイトでは日本からの注文も可能です。また、製品ページやマニュアルにも既に日本語が用意されています。

更新:国内発表。日本Amazonで予約購入できるようになりました。



▲Apex Pro Mini(有線版)。Wirelessも含めて、ケーブル用端子は左上に位置します

製品ジャンルとしては、いわゆる「60%サイズ」や「HHKBタイプ」と呼ばれる、キー数を少なくして小型化を図ったタイプのキーボード。キー配列はUS英語タイプです。

ここで言う60%とは、キーの個数が一般的なテンキー付き製品に対して約60%という意味。テンキー部やF1~F12キー、矢印キーなどを省略しているタイプです。F1~F12や矢印キーは、複数キーの同時入力で対応します。

なおHHKBとは、PFUが発売している『Happy Hacking Keyboard』シリーズのこと。シリーズ初代機が、60%キーボードのスタンダードとなったことから、HHKBタイプとも呼ばれているわけです。

SteelSeriesは、ゲーム向け入力機器ではRazerと並ぶか、それ以上の評価をファンから受けているブランド。今回の2モデルは同社初の60%サイズキーボードであり、初のワイヤレス兼用キーボード。さらにはキーボード好きや入力精度にこだわるシリアスゲーマーから支持を受ける、現行モデル『Apex Pro』を発展させた仕様という点から、注目の製品となっています。


▲本機の特徴であるOmniPoint 2.0。非接触のみならず、名前の通り幅広い入力深さ設定が可能な点が特徴です

製品としてのアピールは「世界最速のキーボード」。元となった現行製品Apex Proシリーズの時点で世界最速を謳っていたモデルですが、今回はキースイッチの世代交代などで技術的に上回った点などから、“The world's fastest keyboard just got faster”(世界最速キーボードがさらに速く)のキャッチを掲げています。

もちろん、これはメーカー側のアピールでしかありませんが、初代Apex Proの特徴は、「世界最速」に説得力があったこと。技術的に優位なだけでなく、製品の完成度としても高かったことから、シリアスゲーマーの間では定番製品の一つでした(この評価があるからこそ、本機が注目されているのです)。

この速度を実現するための技術となるのが、同社オリジナルの非接触キースイッチ『OmniPoint 2.0』を採用する点です。このOmniPoint(オムニポイント)とは、磁気ホール効果を応用することで、接点の直接接触をせずに入力を感知可能なスイッチ。

非接触のため接点部も摩耗がなく、公称での耐久性は1億回とケタ違い。ですが、高速性を下支えするのは、もう一つの特徴である「入力が検知される深さ(アクチュエーションポイント)を大きく変えられる」点にあります。

▲入力深さの変更は他にも可能な製品がありますが、本機の自由度は群を抜きます

その設定幅は、最短ではなんと0.2mm。これだけ短ければ「触れるだけで入力が可能」と言っても良いレベルです。対して最高に深くした状態では3.8mmまでと、かなり深くまで押さないと入力されない設定となり、誤入力を防ぐのに役立ちます。さらにこれを1キーごとに、さらに0.1mmステップで可変できるのです(設定は同社入力機器用ユーティリティ『SteelSeries Engine』を使用します)。

今回はOmniPoint 2.0という世代ですが、初代は現行のApex Proシリーズに搭載されており、そちらの調整幅は0.4mmから3.6mmでした。つまり、最小となる入力の深さが初代スイッチと比べて半分になったというわけです。

当然ここまで浅く入力しただけで反応するならば、ゲームプレイ中においても、実質的な入力速度の高速化に寄与します。「世界最速」を支える技術的な理由の一つが、このスイッチというわけです。

▲深く押し込む状態を使うため反応速度面では有利を失いますが、使うキー数を減らせるのはメリット。とくにキー数の少ない本機では面白く使えそうです

さらにスイッチ側の入力深さの幅を活かし、浅く押した状態と深く押した状態を別のキーとして割り当てられる『2-in-1 Action Keys』機能も搭載。
これはもともと、ゲームにおいて使うキーの数を減らして操作ミスを減らす意図を持ったものですが、物理的なキー数の少ない本機では、さらに威力を発揮しそうです。


▲隠れた特徴はキートップとの互換性。Cherry MXなどと同じサイズの十字型のため、市販キートップが流用できます

そしてOmniPointスイッチは、実際の打鍵感がかなり軽めである点も特徴です。キーの入力特性や打鍵音(クリック音)に関しては、いわゆる「赤軸」タイプ。つまり入力の押下圧が一定で、クリック音は静かな種類。

そして特筆できるのが、押下圧(キーが入力されるまでの圧力)が軽い点です。初代Apex Proでは数値上こそ45gでしたが、体感上では、市販のキーボードではREALFORCEの30gモデルと並ぶのでは、と感じられるほど。

今回の2モデルに関しては押下圧は未公表ですが、同社のこれまでの姿勢から、大きくは変更されていないであろうと思われます。

Apex Pro Miniの2モデルが世界最速をアピールするのは、この「他に類を見ないほどの入力の浅さと、キーの軽さ」に起因するところが大きなもの、というわけです。

▲製品ページには(キースイッチレベルの話ですが)このような速度に関する数字が並びます

さらに同スイッチは入力後のレスポンスも高速(正直なところ、ここは全体から見ると、入力の深さほど大きな影響はない点ですが)。こうした点から同社は「一般的なメカニカルキーと比べて、レスポンスタイムは11倍速く、アクチュエーションは10倍速い」とアピールします。

本来デバイス側の入力速度――あるいは遅延(レイテンシ)――は、メーカー側アピールだけでは判断しにくいところではあります。
しかしApex Pro Miniはこうしたキースイッチ側の仕様、さらにApex Proがゲーマーやキーボード好きから支持されていた実績からすると、世界最速を謳うだけの実力は着実に備えていることは間違いなさそうです。


さて、Apex Pro Miniのもう一つの特徴が、バリエーションモデルとして用意されたWirelessでしょう。というのも同機は、筆者が知る限り、SteelSeries初の無線兼用キーボードでもあるため。

▲WirelessのPDFマニュアルでは、Bluetoothペアリングが3台まで可能な記載があります

しかも、接続パターンは、同社独自の低遅延無線『Quantum 2.0 Wireless』に加えて、Bluetooth 5.0、有線(USB)も可能という、3モード。さらにBluetoothでは3台までのマルチペアリングも可能と、良い意味でBluetooth接続台数が絞られがちなゲーミングキーボードとは思えない「全部入り」的仕様です。

▲ケーブルは有線専用版も脱着式。同社製キーボードのケーブルは太めでだったため、ファンにはこの変更は嬉しいはず

また、ケーブルはApex Pro Mini(有線専用版)も含めて脱着式。本体側端子もUSB Type-Cと、このあたりの利便性も非常に高いのがポイント。

なお付属の独自無線アダプタもUSB Type-C仕様で、昨今では使いやすいのも隠れたポイントです(ゲーム向けキーボードでは、ここがいまだにStandard-A仕様の製品が意外と多いのです)。

▲底側にはキーリムーバー収納スペースが。なお高級機だけあり、チルトスタンドも2段階仕様です

さらに底板の内部にはキーリムーバー(キートップ脱着用工具)の収納場所も用意されているなど、ヘビーユーザーにとっては便利な仕様となっています。


▲設定用アプリは、同社製品共通のSteelSeries Engine。フルカラーLEDの設定も詳細に可能です

基本的な仕様に関しても、ゲーム向けキーボードの中でも高級・最新モデルだけあり、豪華なもの。

たとえば本体側メモリに記録可能なプロファイル(上述のアクチュエーションポイントやキー割り付け、マクロ設定)などは5種類と豊富。SteelSeries Engine(設定アプリ)を使えない環境でも、プレイするゲームタイトルやOSなどに合わせて柔軟に変更できます。

▲周囲フレームの高さはキースイッチより低い、ゲーム向けキーボードで好まれるタイプです

本体の素材も、トッププレート(キー間フレーム)に、いわゆる航空グレードのアルミニウム合金を採用し、剛性を確保。キーキャップも、印字耐久性とバックライトの透過性に優れた、2色成形のPBTキャップ仕様です。

▲本体面積はほぼキートップの面積、と呼べるベゼルの狭さが魅力です

そして隠れた特徴が、60%サイズキーボードの中でも、ベゼルの狭さなどもあり、本体が小さめな点。本体サイズは293×103×40.3mm(幅×奥行き×厚さ)と、60%級の中にあっても小さめです。重量は無印が610gで、Wirelessが543g。ともすればバッテリーなどが必要となるWirelessのほうが重くなりそうですが、逆になっているのが面白いところ。

なお、Wirelessのバッテリーは内蔵(半固定)の充電式。公称駆動時間は独自無線接続時で30時間、Bluetooth接続と初期設定のライティングで40時間となります。

参考までに、HHKB Professional HYBRID Type-S(英語配列)の場合は、294×120×40mmで540g(電池含まず)。同機の場合は単3電池ボックスが本体背面側に位置し奥行きが長めになるため、奥行きが限られた取り回しではApex Pro Miniが有利となりそうです。

なお、対応OS(と機種)はWindows、Xbox、PlayStation、macOS。アプリのSteelSeries EngineはWindows 8.1以降、macOSは10.13以降に対応します(ただしMac版は一部機能が制限される仕様)。


▲60%の由来ともなっている、テンキー付きタイプとの比較。当然ながらマウスの移動面積はそれだけ広げられます

このようにApex Pro Miniシリーズは、製品選択肢の少ない小型キーボードにあって、SteelSeriesの最新型キースイッチなど、多数の新技術を盛り込んだ注目モデル。

ともすればゲーム向けキーボードは「ビジネスでは使わない機能が多いのでは」と思われる雰囲気もあります。しかしApex Pro Miniの2モデルの特徴的な機能は、入力深さ設定をはじめ、ビジネス向けにも共通する「入力したい時に即座に反応し、ミスとストレスを減らせる」という、キーボードとしての本質に関わるもの。

60%サイズの製品では、HHKBシリーズがまさにこうした理由から支持されている製品であることを考えると、見栄えこそ大きく異なりますが、Apex Pro Miniシリーズは(実は意外と直接のライバルがいなかった)HHKBと直接対決できるモデルになる可能性は大きいのではないでしょうか。
もちろん、ゲーム向けキーボードとしても、2022年を代表するモデルになろうことは間違いありません。

非常に高価なモデルであることは確かですが、興味の沸いた方はぜひ一度実際に触れて、試してほしい機種です。

●Source:
Apex Pro Mini製品ページ
Apex Pro Mini Wireless製品ページ



《橋本新義》
橋本新義

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