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スマホ研究家が見たこれまでの20年、これからの20年(山根康宏)

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山根康宏

山根康宏

香港在住携帯研究家

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スマホとSIMを求めて世界を取材中。メディアへ執筆多数。海外・中国通信関連の記事や講演承ります。noteや動画配信もやってます。

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TechnoEdgeがスタート。新しいメディアがはじまるということで、これから先の未来の話でも書いてみようと思う。2年3年、5年など数年先の話なら書けそうだが、ここはあえてこれからの20年、つまり2040年代に向けて世界がどう変わっていくかを展望してみたい。筆者は「携帯電話研究家」を名乗っているが、ここは時代に合わせて「スマホ研究家」と名乗らせていただく。

今から20年後の未来の生活がどうなっているか、それを思い浮かべるのは難しい。たとえば逆に過去を振り返ってみれば、20年前に今の姿を予想できた人はほぼいなかっただろう。今から20年前、2000年代初頭に3Gが始まり、携帯電話は通話とテキストの時代からインターネット接続機能を使える端末へと進化がはじまった。日本では2G時代からiモードが始まっていたが、モノクロ画面、テキストコンテンツが中心。3Gが始まったことで写真や動画を交えたリッチなコンテンツの利用が普及していった。

iモードは今から見ればコンテンツの解像度は低いものの、手のひらの上に乗る端末であらゆる情報が入手できるという、今のスマートフォンの先駆けとして、世界の最先端を走る日本の優れた技術だった。だがそのiモードも2021年11月に公式サイトが終了している。iモードの終焉はもちろん、スマートフォンの登場も当時の誰もが想像しなかっただろう。

通信の世界の進化を振り返ってみると、2Gの時代まで携帯電話は携帯電話同士でつながるという狭い世界の中で成長を続けてきた。つながるのは人と人だったのだ。しかしインターネットアクセスは携帯電話をスマートフォンへと進化させ、さらにはスマートフォンだけではなくあらゆるものがつながるという、IoTを現実のものとした。指先サイズの小さなセンサーと通信モジュールを搭載した機器が家の中から街中のいたるところに設置され、様々な環境情報が瞬時に取得できる。そして過去のデータから将来の動きを推測することで、この先がどうなるかを予測することもできるようになった。ディープラーニング、AIを瞬時に処理できるコンピューティングパワーを得たことで、ネットワークは人と人だけではなく人とモノ、さらにモノとモノをシームレスに接続し、そしてそこからの未来予測も可能にしたのだ。

これからの20年で人類とテクノロジーはどう進化していくのだろうか

筆者は20年近くスマホ研究家としてこの動きを実際に見て体感してきた。どこでも通話できるデバイスが、あらゆる情報を入手できるターミナルとなり、さらにあらゆるものをつなぐネットワークへと進化した。2020年代の5Gの開始・普及はこのコネクティビティーの世界をさらに加速させるものになる。「これから先、我々の生活がどのように便利になっていくのだろうか」。スマートフォンそして通信業界の技術進化の流れを見ているだけで期待が大きく膨らむ。これから先の20年、通信技術はあらゆる技術やサービスを結びつける必要不可欠な基幹技術として最も重要なものになっていくだろう。

そして技術の進化は誰もが今、当たり前に行っている生活様式を過去のものにしていく。2022年の今の生活も、10年もすれば懐かしい行動になる。たとえば自宅でショッピングするときに「アマゾンで商品を検索する」という概念はいずれなくなる。お昼ご飯を食べに外出した際に人気店で行列することなく席について食事ができるのも当然になる。自動車を保有し自分で運転する、というのも一部の車好きな人の趣味の世界になるだろう。メタバースは生活の中にそのまま入り込むはずだが、臨場感のあるホログラムがやがて自然な姿となり、グラスを装着しなくとも世界中の人たちとバーチャルを介してリアルな空間でコミュニケーションが取れる、そんなことが10年もすれば当たり前になっているはずだ。

ここに書いた事例は20年もしないうちに実現する世界なのかもしれない。そもそもスマートフォンだって10年もすればその形態は大きく変わっているだろう。「OSがどうした」なんて話はいずれ誰もしなくなる。特定のデバイスでしか利用できない閉じたエコシステムは徹底的に衰退していくのが目に見えている。政治的な圧力も自由なコネクティビティーの前では無力となる。だがそこに現れるのは無秩序ではなく、新しいスタンダードな世界なのである。技術革新が起こすこの流れに逆らうことは、大企業や巨大国家でも無理なことだ。

それではこれから20年、人類とテクノロジーはどう進化していくのだろうか。実はSFの世界で多くの作家や脚本家が一部の姿を文字や映像にしている。筆者は小学生の高学年時代、父親(早川文庫をほどんど所有するSF好きだった)が買ってくれた「少年少女SF名作シリーズ・消えた四次元の輪」を読んで以来SFにはまっていったこともあり、常に未来の世界を頭の中で想像しながら成長していった。同小説にあった、時空を超えた瞬間テレポーテーションはさすがに時間のパラドックスが許さないだろうが、視覚だけでなく触感や嗅覚も備えた遠隔地とのリアルなコミュニケーションが20年後には当たり前のように実現されていると信じたい。これまで見てきたSF映画の世界のワンシーンがひとつずつ現実のものになっていく様を筆者は日々楽しみながら取材しているのである。

さて、ここまであまりにも漠然としたことを書いてしまった。これからの20年は実際どうなっていくのだろう? その動きを知るためには世界規模での技術の進化を日々追いかける必要がある。当然だが西海岸企業の動きとは無関係に中国や新興国は今も動いており、その力は無視できない。世界の特許件数のトップ3を言える人はいるだろうか?(1位を知ると驚いたり「信じられない」と言ったりする人が大半だろう) 筆者は暗号資産や株価には一切興味はない。技術の時代である今、企業の価値は利益や純資産ではなく、研究開発力、すなわちその結果の特許数であるべきだ。特許をどれだけ出しているか、そこに企業の未来、さらには人類の進化が託されていると筆者は考えている。

もちろん特許を多数出す大手企業だけではなく、新しいアイデアを常に生み出すスタートアップの存在も重要だ。しかも「そんな技術、何の役に立つのだろうか?」と思えるような、荒唐無稽とも思えるアイデアの中に将来有望になる技術が隠されていることがある。スタートアップの存在はこの10年でメジャーになったが、先進国だけではなく新興国、そしてスタートアップと名乗らない個人の発明家の動きがますます注目すべき存在になるだろう。

20年後に記事を読み返したとき、「そんなもの、あったなあ」と懐かしむのではなく、「今の時代を予測していたのか!」と驚かれる、TechnoEdgeにはそんなメディアになってほしいものだ。筆者もそんな記事を書いていきたいと思っている。

《山根康宏》
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