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モバイルからモビリティへ。「スマホの次」に来るもの(石川温)

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石川温

石川温

スマホ/ケータイジャーナリスト

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スマホについて世界中を飛び回って取材し、Webや雑誌などで執筆しています。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」を配信中です。

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モバイルからモビリティへ。「スマホの次」に来るもの(石川温)
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筆者が肩書きを聞かれる際、よく使っているのが「スマホ/ケータイジャーナリスト」というものだ。

1999年にNTTドコモ・iモードが登場して以降、ケータイを中心に取材活動をしていたが、2007年に米国でAppleがiPhoneを発売してからというもの、当然のことながら「スマートフォン」が取材の中心になってきた。iPhoneが登場して15年。その間、「スマホの次って何だろう」をずっと考えてきた。

様々なカテゴリーのデバイスが出てきたが、なかでも注目されたのは「ウェアラブル」ではなかったか。Googleが「Google Glassを発売する」ということで、米国に購入しにいったこともあった。結局、スマートグラスは我々の生活に定着することなく、Apple Watchがウェアラブル商品としては一人勝ちとして生き残った感がある。

VRやARは昨年、「メタバース」としてひとくくりにされ、またも注目されつつあるが、単にFacebookが「Meta」と社名変更したからメタバースが盛り上がっているだけという見方もできる。やはり、Appleが画期的なスマートグラスを出し、誰もが簡単にメタバース空間に入っていける環境ができれば、メタバースは一気に花開くのではないか。

スマホの次のトレンドがモビリティな理由

そんななか「スマホの次」として密かに期待しているのが「モビリティ」だ。

ここ数年、ソニーの吉田憲一郎社長は「モバイルの次に来るメガトレンドはモビリティだ」と何度も語っている。そんなソニーは、自社でEV「VISION-S」を開発。さらにホンダと組んで、2025年にもEVを商品化しようとしている。

「モバイルの次はモビリティなのか」とぼんやり思っていたところ、先日、行われたAppleの開発者向けイベント「WWDC22」で、CarPlayの次世代バージョンがチラ見せされた。

これまでのCarPlayは、iPhoneをクルマにつなぐと、カーナビ部分にiPhoneを簡略化したようなホーム画面が表示され、地図や音楽再生、メッセージのやりとりができるというものであった。Siriによって音声での操作が可能となり、iPhoneを触らなくても運転に集中できるというわけだ。

そんなCarPlayの次世代バージョンでは、iPhoneのなかにあるアプリの情報だけでなく、クルマの速度や燃料残量、走行距離などの走行データ情報も、メーターパネルやダッシュボードのモニターに表示できるようになっている。

これまで自動車メーカーは走行データを外部に出すようなことはしてこなかったが、AppleのCarPlayであれば、走行データをiPhoneに渡ししつつ、車内のディスプレイに表示させることを認めたのだ。

CarPlayの次世代バーションは、まさにユーザーとクルマの接点を変えるものとなる。クルマの操作性が一新され、iPhoneの延長線上でクルマの機器などをコントロールできるという世界観になる。旅先で借りたレンタカーでも、普段乗っているクルマの操作体験と全く同じにしてしまうことも不可能ではない。しかも、この次世代バージョンに対して、日本メーカーであればホンダと日産、海外メーカーではメルセデスベンツやアウディ、フォード、ボルボなどのブランドがすでに賛同しているというから驚きなのだ。

ちなみにボルボはすでにGoogleと組んで車内のインフォテイメントシステムをAndroidベースのものにし、「XC60」「S90」「V90」「V90クロスカントリー」に装備している。

また、自動車メーカーに対してプラットフォームを提供するという試みはSnapdragonでおなじみのQualcommも着手しており、CES2022で「Snapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)」を発表している。運転支援や車内エンターテインメント、コネクテッドなどの様々な機能をQualcommが自動車メーカーに提供するという。こちらもBMW、GM、ヒュンダイ、ルノー、ボルボ、マヒンドラ&マヒンドラ、ルノーが参画している。

そんなわけで、以前携帯電話業界で起こった地殻変動がクルマ業界でも起こるんじゃないかという気がしてきている。かつての携帯電話業界には、日本国内に10社以上の携帯電話メーカーがあったが、経営統合されたり撤退したりと、いまでは数社に絞られている。そしていずれもAndroidを採用したスマートフォンを作っている。

クルマ業界において、ソニーはいち早くホンダという自動車メーカーと組んだものの、いまのところクルマ業界全体を仲間に入れるほどの影響力は出せていない。一方で、AppleはCarPlayの成功で着々と自動車メーカーを取り込んでいる。また、QualcommもSnapdragonをベースに自動車メーカーと距離を詰めている。ここにはGoogleが援護射撃してくるのではないだろうか。

ホンダはソニーとEVの共同開発を進めつつ、Google、Appleとも手を握っている。ボルボはGoogleと共同開発しつつ、Appleの次世代CarPlayにも手を上げている。クルマのコネクテッド化、インテリジェント化にAppleとQualcomm、ソニーが旗振りをする中で、トヨタグループはどの陣営からも距離を置いている。

モバイルからモビリティにメガトレンドが移行する中、勝ち残るのはどのIT企業と自動車メーカーなのか。スマートフォンでの知見や技術力を生かし、自動車メーカーと仲良くできるIT企業が覇権を奪うのではないだろうか。

《石川温》
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スマホについて世界中を飛び回って取材し、Webや雑誌などで執筆しています。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」を配信中です。

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