OpenAIの「エージェントスマホ」は2027年発売? デュアルNPUのMediaTekカスタムチップ搭載、タスク進捗並ぶ「ストリーム」UI採用 著名アナリストが報告

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■ うわさの「ChatGPTスマホ」 IPO見据え前倒し予測

サプライチェーン分析で実績を持つアナリスト、Ming-Chi Kuo氏は5月5日のレポートで、OpenAIが開発するAIエージェント特化スマートフォンは2027年前半にも量産開始の可能性が高まったと伝えています。

当初は2028年量産開始の見込みとしていましたが、チップ供給元とされるMediaTekなどサプライヤ筋情報、およびOpenAIのIPOスケジュールにあわせ、市場に今後の成長と収益強化のシナリオを見せるため前倒しになる可能性が高いと述べています。

OpenAIはGoogle等からハードウェア担当者を引き抜いたり、デバイスメーカーを買収するなど、ハードウェア開発計画自体は隠していませんが、この件についてはコメントを出していません。

■ AIがアプリを代替する「エージェントファーストフォン」

▲ アプリだけでは届かない領域を狙う

OpenAIはすでにChatGPTで週間10億ユーザーに迫る規模に達しています。しかしスマートフォンのOSとハードウェアをAppleやGoogleが握る現状では、何をするにもGoogle Play や App Storeの枠内で審査を待つ必要があり、各種センサなどのハードウェア機能にアクセスするには、ユーザーの同意があっても制約が多い問題があります。

特にAIがユーザーにかわってアプリやサービスを横断的に使い、ユーザーは確認と承認だけするエージェントファーストの仕組みを実現するには、1アプリではなくOS全体の制御が必要です。

▲ なぜスマホなのか ウェアラブルとの比較

すでにApple や Googleが洗練させているスマホを改めて再発明するのは無駄にも思えますが、AIエージェントが真価を発揮するには、従来のチャットサービスのようなテキスト入力だけでなく、ユーザーの位置情報・通信履歴・行動パターン・カメラを通じた視覚情報・マイクを通じた音声情報・決済情報など、様々なコンテキストをリアルタイムに統合する必要があります。

AIガジェットとして話題になるスマートグラスや耳装着型デバイスは、人間の目と耳に近く、スマホのようにポケットにしまわれることがない点で、センサ情報を集めるには適していますが、センサーの種類・バッテリー容量・処理性能の面で制約が大きく、高度なコンテキスト理解にはスマートフォン側のアプリに依存しています。

OpenAIが改めて自社スマホを開発するのは、こうした制約をなくすことで従来にないAIエージェントファーストの価値を生むためと考えられています。

▲ OpenAIは2026年後半にハードウェア製品発表を予告済み

OpenAIは以前から着実にハードウェア体制を構築してきました。2023年には元Google TPUプロジェクトのシニアディレクターであるRichard Ho氏をハードウェア部門責任者として採用し、ディープラーニングのハードウェア・ソフトウェア共同設計チームを立ち上げています。

2024年11月には、Caitlin Kalinowski氏がロボティクスおよび消費者向けハードウェアチームのトップとして就任。2025年には元AppleデザイナーのJony Iveが率いるスタートアップ「io Products」を買収し、スクリーンレスのスマートスピーカー(カメラ付き)を2027年初頭に投入する計画を進めています。


さらにOpenAIのChief Global Affairs OfficerであるChris Lehane氏は2026年初頭に「初のハードウェア製品を2026年後半に発表するトラックにある」と公式に述べており、ハードウェア戦略は対外的にも認められた方針です。(ただし、こちらがスマホになるとは限らず、イヤホンや据え置きスピーカー等の可能性もあります)。

▲ 「エージェントスマホ」はアプリアイコンから「ストリーム」UIへ?

「エージェントスマホ」は、現在のスマホと具体的にどう変わるのか。Kuo氏は現在のスマホのパラダイムである「アプリ・アイコン・グリッド」を、「エージェント・タスク・ストリーム」に置き換えるというコンセプトを投稿しています。

ユーザーが個別アプリを起動する代わりに、AIエージェントがコンテキストを継続的に把握しながらタスクを横断的に実行するインターフェースへの移行を示すコンセプトです。

▲画像:エージェントUIコンセプト画像(Ming-Chi Kuo)

たとえば旅行の計画では、従来はユーザーがWeb検索やマップ、メール、カレンダー、ソーシャルメディアなど複数のアプリを使って情報を集め、行き来して比較したり、旅程の決定、航空券や食事や宿の予約、決済などに進む作業が必要でした。

エージェントスマホでは目的や要望を伝えればエージェントが一連の作業を肩代わりし、ユーザーは結果を確認して候補から選んだり、追加の指示を加えたり、決済を承認する流れ。

OpenAIの「エージェントスマホ」では、処理の一部はクラウドAIが、常時稼働のコンテキスト理解はオンデバイスの小規模モデルが担う設計とされています。

■ Kuoニュースレターが描くOpenAIフォンの全容

▲ チップ:MediaTek Dimensity 9600カスタム版、N2Pプロセスで

Kuo氏の4月下旬から5月初旬にかけてのニュースレターによると、チップパートナーには当初MediaTekとQualcommの両社が挙げられていましたが、最新の見解ではMediaTekが「単独サプライヤーとしてより有利な位置にある」としています。

搭載チップはDimensity 9600のカスタム版で、TSMCのN2Pプロセスを用いて2026年下半期に量産開始の予定です。メモリはLPDDR6、ストレージはUFS 5.0を採用します。

Dimensity 9600 / Pro は、MediaTekの2026年フラッグシップと目されるSoC(正式発表前)。MediaTekといえば、ひと昔前は安価なタブレット等で使われる二流のプロセッサのイメージでしたが、すでにハイエンドでは他社と同等のレベルに達しており、Dimensity 9600 はQualcomm Snapdragon 8 Elite Gen 5や Apple A19 Proに匹敵する性能が予測されています。

▲ ハードウェアの「目玉スペック」はカメラではなくISP

Kuo氏が「ヘッドラインスペック」と位置付けるのは、強化されたHDRパイプラインを備えたISP(画像信号プロセッサ)。これは写真のためのカメラ性能というよりも、AIがリアルタイムで周囲の状況を理解するための視覚として機能します。

加えて、視覚処理と言語処理など、別種のAI処理を並列実行できるデュアルNPU構成を採用し、プロセス間を分離するセキュリティ機構も組み込まれるとしています。

▲ 製造はLuxshare、出荷目標は2027~2028年合計3000万台

製造および端末システムの共同設計は、Appleサプライチェーンでも実績を持つLuxshareが独占で担当します。Kuo氏は「開発が順調に進めば、2027~2028年の合算出荷台数は約3,000万台に達する可能性がある」としています。

LuxShareは、元Foxconn従業員だった Grace Wang (王来春)氏が2004年に創業した中国の受託製造企業。AirPodsやVision Proなど、Apple製品も多く担当していることで知られています。

ターゲット市場として年間3~4億台規模のハイエンドスマートフォン市場を挙げており、量産開始時期の前倒し理由としてOpenAIのIPO計画とAIエージェントフォン市場での競争激化の2点をKuo氏は明示しています。

■ 量産2027年前半へ前倒し、仕様確定は2026年末~2027年Q1

Kuo氏の最新予測では、チップを含む仕様とサプライヤーの最終決定が2026年末から2027年第1四半期に行われ、量産開始は2027年前半が目標となっています。当初予測の2028年からの1年前倒しで、ユーザーへの製品提供時期はさらにその後となる見通しです。

OpenAIが2026年後半に発表を予告しているJony Ive設計のスマートスピーカーとあわせ、2027年は「OpenAIデバイス」本格始動の年となる可能性があります。

郭明錤|Ming-Chi Kuo: 「OpenAI Set to Redefine Smartphones; MediaTek, Qualcomm & Luxshare Key to Its AI Agent Phone」

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