毎月のように海外取材をこなしている私ですが、いまでも海外の担当者とのインタビューは得意とは言えません。特にスマートフォンの新製品発表会後に、開発者や関係者にインタビューすることはよくあります。もちろん今ではインタビューの会話を録音しておき、後からAIアプリでまとめることで、かなり高い精度で文字起こしや翻訳までをこなしてくれます。
ところがインタビューが何本も続いたり、PCを持ってきていないときにキーパーソンインタビューが急に始まることもあります。実はグーグルの「Pixel 9 Pro」をボイスレコーダー用に持ち運んではいるものの、かばんの中に入れっぱなしのため、いざ使おうと思ったときに、電池切れで使えない、なんてこともよくあります。そのため「Pixel 10」シリーズへの買い替えもちょっとためらっているところです。

外国人の方の音声録音が必要なのは、私のような記者やライターだけではありません。ときにはブロガーや動画クリエイターにとっても欠かせない作業になります。たとえば先日(5月15日)、東京で行われたNothing (4a)シリーズの発表会には、Nothing本社のチーフ・ブランド・オフィサーのチャーリー・スミス氏も出席。日本人記者たちと英語で雑談しながら面白い情報を聞き出すことができたのですが、そんな時に限ってスマートフォンを取り出して音声を録音することを忘れてしまう、なんてこともあるものです。

そこで最近はカード型のAIボイスレコーダーを使うようになりました。この手の製品は数多くのメーカーから製品が出そろっており、たとえば「PLAUD NOTE」は代表的な製品でしょう。最近ではモバイルバッテリーなどを展開するアンカーからも「Anker Soundcore Work」が登場しています。
アマゾンを見れば多数の製品が見つかりますし、それぞれのAIボイスレコーダーが異なる強みと弱みを持っています。その中から私が選んで使っているのが、アメリカのスタートアップ、Comulyticの「Comulytic Note Pro」です。私がこの製品を選んだ一番の理由は、音声の文字起こしと翻訳、そして要約機能という「ベーシック機能」が無料で使えるからです。私が取材時に求めているのはこのような製品でした。

実は前述した2つの製品も、無料プランでこれらの機能が使えます。とはいえどちらも毎月300分という制限があります。300分と聞くと長く感じますが、実際には5時間分に過ぎません。展示会中の30分インタビューなら10本で使い切ってしまう計算で、現場にいる時間を考えると、これはかなりギリギリです。新製品発表会のプレゼンが1時間半、終了後のインタビューが30分だと、1回あたり2時間ですが、この規模の発表会が月に3回続けば、あっという間に5時間の上限を超えてしまいます。

もちろん課金して毎月お金を払えば、要約だけではなく全文の詳細な訳文表示など、より高度な機能が使えます。ただそうした高度な処理までAIボイスレコーダーのアプリ上で完結させる必要は無いと私は考えています。高度な処理はボイスレコーダーで録音した音声を、PCに転送して後からゆっくり作業すればいいのです。私にとってAIボイスレコーダーの役割は、カード型で持ち運びやすく、ボタンひとつで素早く録音でき、アプリからすぐに翻訳と要約まで済ませられる、そんな「モバイル性」にあるのです。

Comulytic Note Proを約1か月使っていますが、音声をテキスト化した後は無料で使える要約機能しか使用していないものの、長い話も簡潔にまとめてくれるため便利に使っています。日本語は固有名詞の一部で誤認識があるものの、文字起こしの精度全体は十分満足のいくレベルでした。海外での利用も英語や中国語のテキスト化は十分に納得できる精度で、そのテキストからの要約も分かりやすく整理してくれます。「イベントの概要」「新製品の特徴」「製品の使い方の注意点」といった情報を、外国語で話された内容から簡潔に抜き出してまとめてくれるのです。

さらに、ひとつの録音の中に複数の言語が混在していても、それぞれを個別にテキスト化してくれました。「イタリア語で案内の後、英語で同じ内容を再び案内する」といった音声も、要約では同じ内容を重複させずに整理してくれます。実際に海外のイベントで説明を受けているときに「ここは英語ではわかりにくいので、ドイツの方にはドイツ語で説明しますね」など、一部分だけ同じ内容が2つの言語で話されることはよくあるのです。Comulytic Note Proの要約機能は海外取材時の翻訳・要約用途に十分使えると感じています。

なおComulytic Note Proには本体カラーが黒とオレンジの2色があります。今回は友人が所有しているオレンジモデルを使って記事用のテストを行いました。オレンジと言えばiPhone 17 Proシリーズの印象的なカラーですが、Comulytic Note Proの同色はセットで使うのにぴったり。MagSafeで背面に装着するケースも付属します。

このように私が気に入って使っているComulytic Note Proですが、不満点が無いわけでもありません。薄いカード型のため充電は専用のケーブルを使う必要があります。普段から多数のケーブルを持ち歩いていると、外出先で専用ケーブルだけ見当たらない、といった事態も起こりがちです。USB Type-C端子の内蔵が難しいのであれば、専用ケーブルを使う製品は、予備用・緊急用に、ケーブルはあらかじめ2本付属させてほしいと個人的に思います。

AIボイスレコーダーは毎月のように新製品が出てくるほど、レッドオーシャン化しつつあるジャンルの製品になりました。機能強化も進むでしょうが、課金ありきの機能アップをすべてのユーザーが求めているとは限りません。Comulytic Note Proのように本体を購入するだけでも十分使える製品がこれからも続々と出てきてほしいと思うところです。













