▲ エージェント活用を全社展開できる統合基盤を一斉発表
Google Cloudは2026年4月22日(米国時間)、年次イベント「Google Cloud Next '26」において、企業が自律型AIエージェントを大規模に活用するための統合プラットフォーム群を発表しました。
中核となるのは「Gemini Enterprise Agent Platform」と「Gemini Enterprise app」の刷新で、AIエージェントの構築から運用・管理・最適化までを一貫して担う体制が整えています。あわせて、第8世代TPU、Agentic Data Cloud、Agentic Defense、Workspace Intelligenceなど、インフラからセキュリティ・生産性ツールに至る幅広い領域での新機能を公開しました。
Google CloudのCEO Thomas Kurian氏は「Gemini Enterpriseはエージェンティック時代を支えるエンドツーエンドのシステムへと進化した。データ、ユーザー、企業のすべてのアプリとエージェントをつなぐ中核として、あらゆるプロセスを単一かつインテリジェントなフローへと変革する」と述べています。
■ 「エージェントを全社員に」
従来のAIツール活用が「質問に答える」「文章を生成する」といった単発の処理が中心だったのに対して、複数のシステムをまたいで自律的に動き、長期間にわたって業務プロセスを実行し続けるエージェントを、開発者だけでなく一般の従業員も使いこなせる環境の整備が今回のテーマです。
Gemini Enterprise Agent Platformは開発者向けの技術基盤、Gemini Enterprise appは従業員が日常業務でエージェントを使うための入り口として機能します。セキュリティやガバナンスの仕組みも標準で組み込まれており、IT部門が全社のエージェント活動を一元管理できる設計になっています。
すでにKPMGが1か月で100以上のエージェントを展開して従業員の90%が利用、Macquarie Bankが10万時間以上の業務時間を削減、スクウェア・エニックスが『ドラゴンクエストX オンライン』にGeminiベースのコンパニオンを導入するなど、世界各地の企業での活用事例も同時に公開しています。
■ 主な発表内容の詳細

▲ Gemini Enterprise Agent Platform
Vertex AIを発展させた新しいエージェント開発プラットフォーム。「構築・拡張・ガバナンス・最適化」の4つの柱で設計されています。
・構築:ローコードの「Agent Studio」、コードファーストの「Agent Development Kit(ADK)」、エージェント同士が連携する「Agent-to-Agent Orchestration」を提供。Atlassian、Box、Oracle、ServiceNow、Workdayなどパートナー製エージェントをAgent Marketplaceから直接デプロイ可能
・拡張:コールドスタートが1秒未満に短縮された新Agent Runtime、最大7日間にわたって自律動作する長時間実行エージェント、長期記憶を保持するMemory Bankを提供
・ガバナンス:全エージェントに固有の暗号化IDを付与するAgent Identity、エージェントとデータ間の通信を一元管理するAgent Gateway、プロンプトインジェクションやデータ漏洩を防ぐModel Armorを搭載
・最適化:合成ユーザーとの対話でリリース前にテストできるAgent Simulation、本番トラフィックに対してリアルタイムでスコアリングするAgent Evaluation、実行経路を可視化するAgent Observabilityを提供
アクセス可能なモデルはGemini 3.1 Pro、Gemini 3.1 Flash Image(Nano Banana 2)、Lyria 3のほか、AnthropicのClaude Opus・Sonnet・Haiku、新たにClaude Opus 4.7も追加されました。
▲ Gemini Enterprise app(新機能)

従業員が日常業務でエージェントを活用するためのアプリに、以下の機能が追加されました。
・Agent Designer:ノーコードでスケジュール・トリガーベースのエージェントを作成
・Inbox:長時間実行エージェントを含む全エージェント活動を一元管理
・Projects:チームとエージェントが共有するワークスペース。Google DriveやNotebookLMと連携
・Skills:「@」メンションで繰り返しタスクのショートカットを作成
・Canvas:Gemini Enterprise内でDocsやSlidesを編集し、Microsoft 365形式でエクスポート可能
・Agent Gallery:Adobe、Atlassian、ServiceNowなどのサードパーティ製エージェントにアクセス
▲ 第8世代TPU(TPU 8t・TPU 8i)
トレーニングと推論それぞれに特化した2つのアーキテクチャが発表されました。
・TPU 8t(トレーニング向け):最大9,600チップ・2PBの共有高帯域メモリを持つスーパーポッドを構成可能。前世代Ironwood比で約3倍の演算パフォーマンス、電力効率は最大2倍向上。121 ExaFlopsの演算能力を提供
・TPU 8i(推論向け):1,152チップを直接接続するBoardflyトポロジーを採用。オンチップSRAMは前世代比3倍の384MBで、推論コストパフォーマンスは前世代比80%向上。同コストで約2倍のリクエスト処理が可能
・両チップとも今年後半に一般提供開始予定

▲ Agentic Data Cloud
エージェントが企業データを活用するためのAIネイティブなデータ基盤です。
・Knowledge Catalog:企業全体のデータ資産にビジネス上の意味をマッピングし、エージェントのグラウンディングを支援
・Data Agent Kit:VS CodeやGemini CLIなど開発者が使い慣れた環境に組み込めるデータサイエンス向けツール群
・Cross-Cloud Lakehouse:Apache Icebergを標準とし、AWS・Azure(今年後半対応予定)上のデータをコピーなしでクエリ可能
・Lightning Engine for Apache Spark:オープンソース比最大4.5倍高速、競合比最大2倍のコストパフォーマンスを実現するとしています
・Spanner Omni(プレビュー):Google Cloud外のオンプレミスや他クラウドでもSpannerを実行可能にするダウンロード版
▲ Agentic Defense
GoogleのThreat IntelligenceおよびSecurity OperationsとWizのCloud・AIセキュリティプラットフォームを組み合わせたサイバーセキュリティ基盤です。
・Dark Web Intelligence:Geminiモデルを活用し、日次数百万件の外部イベントを98%の精度で分析するとしています(内部テスト値)
・Threat Hunting Agent・Detection Engineering Agent:脅威の能動的な探索と検知ルールの自動生成を担うエージェント
・Wiz AI-APP(AI Application Protection Platform):コードからランタイムまでAIアプリケーション全層を保護
・Wiz Red/Blue/Green Agent:それぞれ攻撃シミュレーション、脅威調査、修復提案を担う3種のセキュリティエージェント
・Google Cloud Fraud Defense:reCAPTCHAを発展させた、ボット・人間・エージェントの正当性を判定するプラットフォーム
▲ Workspace Intelligence(Google Workspace新機能)

Gmail、Docs、Sheets、Slides、Drive、Chatにまたがる統合コンテキスト層「Workspace Intelligence」が発表されました。
・Ask Gemini in Chat:チャット画面から複雑なタスクを指示し、ドキュメント生成や会議設定などを実行
・AI Inbox(Gmail):優先度の高いメールを自動整理
・Docs・Sheets・Slides:メール・チャット・ファイルを参照した初稿生成、データからのダッシュボード作成、プレゼン資料の一括生成
・Drive Projects:ファイルとメールを一括整理し、エージェントがプロジェクト全体を把握できる共有スペース
・Rapid Enterprise Migration:Microsoft 365からGoogle Workspaceへの移行を最大5倍高速化するとしています

■ 今後の提供スケジュール
・TPU 8t・TPU 8i:2026年後半に一般提供開始予定
・Spanner Omni:現在プレビュー提供中
・Knowledge Catalog、Data Agent Kit、Cross-Cloud Lakehouse:一部機能はプレビュー提供中
・Workspace Intelligence各機能:順次展開予定(詳細はGoogle Workspace Updatesブログで案内)
・Gemini Enterprise Agent Platform:Google Cloudコンソールから現在利用可能
・Claude Opus 4.7サポート:本日より追加
Google Cloud Next 26 は米国ラスベガスで4月24日まで開催中です。
Google Cloud Next | Google Cloud Blog







