HTCのAIグラスVIVE Eagleは8万円から 「ジェネリック レイバンメタ」仕様ながらオープンとプライバシー重視で差別化

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Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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HTC NIPPON株式会社は2026年4月24日、AIグラス「VIVE Eagle」を日本国内で発売します。価格はサングラスレンズ・クリアレンズが税込82,500円、調光レンズが税込98,000円。

HTCオンラインのほか、KDDI・沖縄セルラー直営店、au Style一部店舗、au Online Shop、ヤマダデンキでも販売します。au Online Shopでは4月21日より予約受付中です。


■「ジェネリックRay-Ban Meta」仕様にマルチAIモデルなど差別化


VIVE Eagleはカメラやマイク・スピーカーを備え、スマホアプリと接続するAIグラス。音声で写真や動画を撮ったり、看板やメニューをAIに見せて翻訳したり、AIアシスタントに質問といったことを、スマホを取り出さずハンズフリーで操作できます。

最近のスマートグラスは薄型軽量で通常の眼鏡のような製品や、レンズがディスプレイになり空中に文字や地図が浮かぶ製品など多様化していますが、VIVE Eagle はツルの太いサングラス型、ディスプレイは搭載せずAIの回答は声で聴き取るタイプ。

中身はQualcomm Snapdragon AR1 Gen1、12MPカメラなど。つまりは2023年に出て米国を中心に売れた「Ray-Ban Meta」スマートグラスと同じプラットフォーム・同じ基本仕様で、様々なブランドが出している「ジェネリック レイバンメタ」的な製品群のひとつです。

似たような基本仕様のAIグラスが多々あるなか、HTCが差別化を図るのは以下のような点

・ZEISSレンズの採用(UV400対応、調光レンズも選択可)

・Google GeminiとOpenAI GPT(Beta)から選べる「オープンLLMアーキテクチャ」

・情報セキュリティとプライバシー保護の国際規格ISO 27001・ISO 27701認証取得など、プライバシー重視設計

カメラつきタイプとして懸念される社会的受容、平たく言うと「盗撮されていないか周囲の人が気にする」「盗撮をしていないか疑われる」問題については、メタのスマートグラスや類似製品と同様、撮影中はカメラと反対側のLEDライトが光ることで相手に伝える仕組み。それで伝わるかは分かりませんが。

さらに VIVE Eagle では、動画撮影中に正面の相手が「やめて」などといえば認識して撮影を停止する機能も備えます。

スマホよりユーザーに密着して見聞きするデバイスとして、使うユーザーと周囲の人のプライバシーを尊重すると主張しています。

オンラインのほか、auやヤマダ電機の店頭(のauコーナー)等で販売することで手にとって試しやすいことも優位のひとつです。

■ VIVE Eagleの主な機能と仕様


▲チップセットとAI対応

・チップセット:Qualcomm Snapdragon AR1 Gen1
・対応AIモデル:Google Gemini、OpenAI GPT(Beta)
・音声コマンド「ヘイバイブ」によるAIアシスタント起動、Follow-up Mode(ウェイクワード不要で追加質問が可能)を搭載

▲カメラ


・12MP超広角カメラ(写真:3024×4032px、動画:1512×2016 @30fps)
・音声コマンド「Hey VIVE, take a photo」またはツル部分のボタン手動で撮影
・70以上の言語での画像翻訳に対応(Gemini選択時71言語、GPT選択時59言語)

▲オーディオ


・低音強化型オープンイヤーステレオスピーカー×2
・指向性マイク×1+全指向性マイク×3のビームフォーミングマイクアレイ
・通話・音楽再生に対応

▲バッテリーと充電

・バッテリー容量:235mAh
・待機時間:36時間以上、連続音楽再生:最大4.5時間、連続音声通話:3時間以上
・マグネット式急速充電(10分で50%、23分で80%まで充電可能)

▲接続性

・Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
・対応OS:iOS 17.6以上、Android 10以上
・利用にはVIVE Connectアプリとの連携が必要

▲プライバシー設計

・撮影中はLEDインジケーターが点灯
・メガネ未装着時は写真・動画機能が自動停止
・ローカル保存データはAES-256暗号化
・VIVE AIはISO 27001・ISO 27701認証を取得
・ユーザーデータをAI学習に使用しない
・動画撮影中、正面から「やめて」や「Don't record」などが認識されると自動的に撮影中止。数か国語に対応


▲防塵・防水

・IP54(耐水性あり、ただし防水ではなく液体への浸漬は不可)

▲レンズ


・ZEISS UV400サングラスレンズ/クリアレンズ、ZEISS UV380調光レンズの3種類

・度付きレンズへの交換はサンクスオプティカルグループ・眼鏡市場の一部店舗で対応

(ディスプレイがないタイプなので、レンズ部分はただのレンズ。度付きへの交換が容易であるほか、その気になれば、形状をあわせてレンズを切れる眼鏡屋さんで好みのレンズにもできます)


▲VIVE AI Notes(ソフトウェアアップデートで提供)

・音声メモと12言語対応のAI要約機能
・対応言語:日本語・英語・繁体字中国語・広東語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・韓国語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語
・購入者向けに3か月間・最大15時間分の無料トライアルを提供

▲発売日・価格

発売は4月24日。価格は


・VIVE Eagle サングラスレンズ:税込82,500円
・VIVE Eagle クリアレンズ:税込82,500円
・VIVE Eagle 調光レンズ:税込98,000円

■ 「オープン」強調で差別化、アプリのプラットフォーム目指す構想も

デザインはRed Dot Award を取得するなど、好みはあれどまあまあ「プレミアム」。樹脂製サングラスの範疇では極端に安っぽくもありません。トランスルーセントなバリエーションは、特にテック好きに訴えそう。

装着感もまあ一般的なサングラス(やや重い)程度ですが、鼻あて部分が独立しているのは、調整の余地も含めて日本市場向けには良さそうです。

とはいえ基本的なハードウェアと中身は、3年近く前に出たRay-Ban Meta と同様。他社からも同じ構成の製品はいくつか出ています。(Qualcomm Snapdragon AR1 Gen1をベースにした同等仕様のスマートグラスをODM大手がベースモデルとして提供しており、各社がカスタマイズを付け加えて販売するため)。

インスタグラムなど自社エコシステムとの統合も売りとするRay-Ban Metaが現役の第二世代モデルで300ドル台、第一世代ならセールで200ドル台前半で販売しているなか、8万円から10万円は円安を考えても強気の設定です。

これに対してHTCが強調するのは「オープン」と「プライバシー」。特にAIモデルを選べる点、入力を広告向けのプロファイリング等に使わないのは、原則的には広告ビジネスとのシナジーでAIデバイスを考えるMetaでは真似しづらい点です。

AIモデルが選べるという「オープン」も特徴ですが、ユーザーが契約しているアカウントでGemini や ChatGPT がそのまま使えるわけではなく、少なくとも現時点では Vive AI のバックエンドとして選択可能とのこと。

オープンだから(Metaのように)エコシステムが閉じていないのは正しい一方、閉じているMetaのスマートグラスは自社のInstagramやMessenger、Facebook、WhatsAppとの緊密な連携に加えて、Apple MusicやSpotify 対応、DisplayつきモデルではiMessageに手書き返信など、逆にいえば自社にひととおりのエコシステムがあり、また他社との連携も(Metaの胸先三寸とはいえ)進めています。

「カメラつきメガネとAIを連携させる」価値についても、Metaではリアルタイムでカメラの映像を見せて会話したり、自社でAIデバイス向けの高速なマルチモーダルAIモデルを開発し効率的なデータセンターを建てるなど、閉じているなりに注力しているのは確か。

VIVE Eagle もAPIを解放してアプリのプラットフォーム化を目指すとしており、まずは自社製の純正アプリ拡充、さらにはサードパーティアプリが増えれば、オルタナティブとしての価値も向上するかもしれません。



《Ittousai》

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