新連載「やってみようVibe Coding 」第1回。ヴァイブ・コーディングという言葉を聞いたことがありますか?(小泉勝志郎)

テクノロジー AI
小泉勝志郎

株式会社テセラクト 代表取締役社長 シニアプログラミングネットワーク代表 震災復興活動の中で海藻・アカモクをモチーフにつくったキャラクター「渚の妖精ぎばさちゃん」を運営。Appleの開発者カンファレンスに「81歳のアプリ開発者」として招待された若宮正子さんへの教育をきっかけに、高齢者向けのプログラミング教育にも力を入れ、現在はコミュニティ「シニアプログラミングネットワーク」を運営する。2023年3月「第1回AIアートグランプリ」において「渚の妖精ぎばさちゃん」をテーマにした漫画で準グランプリを受賞するなど、生成AIにも造詣が深い。

特集

Vibe Coding(ヴァイブorバイブ・コーディング)って聞いたことありますか? 将棋の藤井聡太さんが「今年ハマったもの」としてこの言葉に触れていたんですよ。AIに作りたいものを日本語で伝えるとコードを書いてくれる、といった体験を語っていました。

私はシニア世代向けのプログラミング学習支援コミュニティ「シニアプログラミングネットワーク」の代表をしています。

このコミュニティの中でも象徴的な存在が、90歳でiPhoneアプリをリリースした鈴木富司さんです。富司さんは現在AIを活用してアプリ開発をしており、その活動は2025年のOpenAI DevDayでサム・アルトマン氏からも紹介されました。90歳でも“つくる側”になれることを体現している存在と言えるでしょう。

▲鈴木富司さん

Vibe Codingとは、「こんなものを作りたい」とAIに伝え、AIが主体となってプログラムを書いていく開発スタイルのことです。

極端に言えば、プログラミングを知らなくてもアプリやツールを作れる時代が始まっているということなんですよ!

ちなみに私自身も、AIアートのコンテストである「第1回AIアートグランプリ」で準グランプリをいただいたり、AIフェスティバルでGemini CLIを使ったワークショップを担当したりと、生成AIを使った「つくる体験」に関わる機会が増えてきました。


そうした活動をしていると強く感じるのが、「作ることのハードルが下がってきている」ということです。

Vibe Codingを始めてみよう

Vibe Codingはとても魅力的な世界ですが、最初の一歩には少しだけハードルがあります。

改善されてきていますが、お金がかかることや事前に知識が必要なところがあるんですよね。

Vibe Codingの面白いところは、必ずしもプログラムを書くことだけに限らない点です。

AIはコードだけでなく、文章を書いたり、企画を整理したり、説明文を作ったりと、さまざまな作業を手伝ってくれます。つまり「作る」という行為そのものを広く支援してくれるのがVibe Codingの特徴なのです。なので、プログラミングに縁がない人こそVibe Codingをやってほしいと思っています。

Vibe Codingをするには大きく分けて2つのタイプがあります。

ひとつはCLI型と呼ばれるタイプ。これはコマンドライン、つまり黒い画面に文字で命令を入力してAIを動かすツールです。エンジニアにとっては普通の操作ですが、初心者にはちょっと敷居が高いところなんですよね。

もうひとつはアプリ型です。こちらは普通のソフトのように画面があり、クリックや入力で操作できます。プログラミングに慣れていない人には、こちらの方が入りやすいでしょう。

さらにもう一つの違いは料金です。完全無料に近い形で試せるものもあれば、基本的に有料で利用するものもあります。

Vibe Codingツールを整理してみる

Vibe Codingのツールはここ1~2年で一気に増えてきました。初心者にとっては「結局どれを使えばいいの?」と迷ってしまう状況でもあります。

今回の連載では初心者が触れやすいように、無料で試せてインストールに特別な知識がいらないアプリ型を中心に紹介していこうと思います。

CLI型ツール

CLI型はターミナル(黒い画面)からAIに指示を出すタイプのツールです。エンジニア向けの設計が多く、コード生成だけでなくファイル操作やプロジェクト全体の変更など、かなり強力な作業ができます。

Gemini CLI

公式サイト:https://geminicli.com/

▲Gemini CLIのスクリーンショット

Googleが提供しているCLI型のAI開発ツールです。Googleアカウントでログインすれば無料枠で利用できるため、Vibe Codingの入口として使われることが多いツールです。

無料枠では 1日1000リクエスト、1分あたり60リクエストまで利用できます。この範囲であれば追加料金なしで試すことができ、小規模な開発や実験用途であれば十分に使える無料枠になっています。そのため、CLI版のVibe Codingツールの中でも非常に始めやすいです。

CLI型のためインストールや利用にコマンドライン操作が必要になるため、最初は少し戸惑うかもしれませんが、慣れるとかなり強力です。

Claude Code

公式サイト:https://claude.com/product/claude-code

▲Claude Code Desktop版のスクリーンショット

Anthropicが提供しているAIコーディングエージェントです。スクリーンショットのようにCLI版以外にもデスクトップアプリ版やWeb版がありますが、CLI版の方が出来ることが多いです。

Claude Codeはコーディング能力という点では現在トップクラスと言われていますし、私自身の体感でもそうです。コード生成だけでなく、文章の理解や説明能力も非常に高く、開発作業全体をサポートしてくれるのが特徴です。

ただし、CLI版の方はインストールにはコマンドラインの知識が必要です。実際の利用では、Claude Pro以上の有料プランかAPI課金と課金が前提になるツールです。

そのため今回の連載では初心者がまず触れてみるツールとしてではなく、より本格的にVibe Codingを進めたい人向けのツールとして紹介していく予定です。

アプリ型ツール

一方で、初心者にとって入りやすいのがアプリ型のツールです。こちらは通常のチャット画面に近い雰囲気で開発を進めることができます。

Codex App

公式サイト:https://openai.com/index/introducing-the-codex-app/

▲Codex Appのスクリーンショット

OpenAIのCodex Appは、複数のCodexエージェントを並列で動かし、長時間のタスクを管理し、差分を確認しながら作業できるアプリです。CLI版もありますがOpenAIは2026年3月4日にWindows版の提供開始しました。そのため、アプリ版で紹介しています。

利用条件については、「Codexを含むChatGPTプラン」で使えるのが基本で、Windows版リリースでのOpenAIの案内では期間限定でChatGPT FreeとGoでもCodexが利用可能で、2025/04/02までは制限枠が広がって通常の2倍の枠で利用できます。 

Antigravity

公式サイト:https://antigravity.google/

▲Antigravityのスクリーンショット

Googleが提供しているAIエージェント型の開発環境です。VS Codeというプログラムを書くためのソフトをベースに作られており、AIが開発作業をサポートしてくれます。無料のFreeプランからはじめられるので、はじめやすいツールです。

利用するAIモデルを選択できるのも大きな特徴です。GoogleのGeminiシリーズだけではなく、他社の高性能モデルであるClaudeのOpusも利用可能です。Freeプランでも高性能モデルは使えるのですが、利用枠は厳しめです。

今回の連載では、無料で始められるツールを中心に紹介しつつ、こうした有料ツールも性能面では非常に強力な選択肢として紹介していく予定です。他にもCursorなどのメジャーなツールがあります。

Cursor公式サイト https://cursor.sh

ただし今回は、まずVibe Codingの入口として触りやすい4つのツールに絞って紹介しました。

このように、Vibe Codingのツールはそれぞれ特徴が違います。今回の連載では特に「無料で始めやすいツール」を中心に紹介していきますが、性能面ではClaude Codeのような強力なツールがあるという点もあわせて紹介していきたいと思います。

「作れる人」が増える時代

こうしたツールの登場によって、ソフトウェア開発の世界は少しずつ変わり始めています。

これまでアプリ開発というと、専門的なプログラミングを何年も勉強した人の世界でした。しかしVibe Codingでは、「こんなものが欲しい」というアイデアからスタートできます。

次回からは、実際にVibe Codingを始める方法を紹介していきます。初心者でも触りやすいツールや、実際にアプリを作ってみる、さらには応用として小説執筆なども紹介していく予定です。

「プログラマーじゃないけど、何か作ってみたい」

そんな人こそ、ぜひVibe Codingの世界をのぞいてみてください。

《小泉勝志郎》

小泉勝志郎

株式会社テセラクト 代表取締役社長 シニアプログラミングネットワーク代表 震災復興活動の中で海藻・アカモクをモチーフにつくったキャラクター「渚の妖精ぎばさちゃん」を運営。Appleの開発者カンファレンスに「81歳のアプリ開発者」として招待された若宮正子さんへの教育をきっかけに、高齢者向けのプログラミング教育にも力を入れ、現在はコミュニティ「シニアプログラミングネットワーク」を運営する。2023年3月「第1回AIアートグランプリ」において「渚の妖精ぎばさちゃん」をテーマにした漫画で準グランプリを受賞するなど、生成AIにも造詣が深い。

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