105万6800円から24万8800円まで。新MacBook Pro 14インチの性能差をチェックして気づいたこと(村上タクタ)

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村上タクタ

フリーランスライター。1969年京都府生まれ。バイク雑誌編集者に憧れて上京し経歴を開始。ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌、デジモノの雑誌をそれぞれ7〜10年編集長として作る。趣味人の情熱を伝えるのがライフワーク。@takuta

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105万6800円から24万8800円まで。新MacBook Pro 14インチの性能差をチェックして気づいたこと(村上タクタ)
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今回のMacBook Proの発表では、Macのラインアップに大きな変動があった。MacBook ProのAppleシリコン無印Mチップ(ProとかMaxとかUltraのつかない)を積む最下位モデルが、2016年から使い続けた13インチの古いボディをやめ、14インチにアップデートされたことだ。

これにより、MacBook Proは同じボディで、M3搭載の24万8800円のモデルから、M3 Max搭載の超ハイパフォーマンス、全部盛りで105万6800円のモデルまで実に幅広いラインアップを持つようになった。両方を試用できたので、どのぐらいの性能差があるか試してみた。

無印M3搭載のモデルも十分に高性能

超おおまかに言うとMシリーズチップは世代ごとに15~20%性能が向上する、だから、M3はM1の1.4~1.5倍の性能を持っており、またグラフィック性能ではさらに向上度合いが大きく、加えてメディアエンジンなど専用コアを積むことで、処理能力をさらに上積みしている。

したがってM3チップでも一般的仕事用途の大半はカバーできる。筆者のような、テキスト執筆、ウェブ用の写真加工、平面のデザイン処理程度の仕事だと、M3で充分だ。

▲M3搭載機ではスペースグレイとシルバー、M3 Pro/Max搭載機ではスペースブラックと、シルバーから選ぶことができる

大量のRAW画像や、複数の8K動画を扱う編集作業や、3Dグラフィックス、科学計算、巨大なプログラムのビルド……などで、ようやくM3 ProやMaxの必要性が出てくると思う。

しかし、M3のパフォーマンスで十分なプロフェッショナルでも、MacBook Pro 14インチの拡張性、ディスプレイ、オーディオが必要な人はいる。そういう意味で、今回、無印M3チップを積んだことに、とても大きな意味があると思う。24万8800円のモデルで、これらのメリットが得られるようになったのは喜ばしいことだ。

マイクロディミングが可能な3024 x 1964ピクセル解像度のLiquid Retina XDRは、100万対1のコントラスト比、最大1600ニトの輝度を持っている。P3色域に対応し、ProMotionテクノロジーにより最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートを活用可能。また、フォースキャンセリングウーファーを備えた6スピーカーも、ノートパソコンとは思えない素晴らしい音を聞かせてくれる。

▲M3搭載機(シルバー)でも、MagSafe 3、HDMIポート、SDカードスロットが追加された。しかし、右側にThunderboltポートがあるのはM3 Pro/Maxのみ

拡張性については、MagSafe 3、HDMIポート、SDカードスロットが追加され、非常に便利になった。従来のMacBook Pro 13インチ(M2)のThunderbolt×2ポートはさすがに貧弱だった。拡張性は大幅に向上したと言っていいだろう。

一応、細かい注釈を入れておくと、M3モデルのポートは、M3 Pro、M3 Max搭載モデルと一緒というわけではない。Thunderboltポートについては、本体右側には用意されずに、左側の2つだけ。さらに、Thunderbolt 4ではなく、Thunderbolt 3/USB4のサポートとなっている(若干通信速度が遅い)。また、外部ディスプレイは6K 1枚のサポートとなっている。これは無印M3チップの能力的制限によるものだ。

M2 搭載の13インチモデルに較べて、最低価格が7万円上がってしまったが(最低ストレージ量は256→512GBになってるので、同容量で較べると実質5万6000円の差)、それに見合うだけの性能向上だと思う。従来のような『名ばかりPro』より、ディスプレイやスピーカーが上質なものになっているのだから、これはしっかりしたグレードアップだと思う。

さらに圧倒的な、M3 Pro/Max搭載モデル

さらに性能を向上させたければ、MacBook Pro 14インチでも、チップセットのパフォーマンスも、メモリ容量も、ストレージ容量も積み上げることができる。

▲M3 Maxのパフォーマンスは圧倒的。スペースブラックのカラーはその象徴だ

『もう一台のMacBook Pro』の試用機として、アップルから送られて来たのは、まさにこの頂点モデル。チップセットはM3 Max、CPUは高性能コア12個、高効率コア4個の合計16コア。GPUは40コア(!)で、メモリは最大限の128GB(!!)、ストレージは8TB(!!!)つまりは、MacBook Pro 14インチの全部盛り仕様で、ストアで同じコンフィグを作ってみると105万6800円になる(ちなみに、M3 Maxの最安仕様は、14コアCPU、30コアGPU、36GBメモリ、1TBストレージで53万8800円。105万6800円の半分ぐらいは追加メモリとSSDだ)。

ただし、今回のモデルチェンジで、ディスプレイやスピーカーなど基本的な仕様に差がなくなったので、選びやすくはある。前述のように、少し拡張性に差があるだけだ。M3 Pro/Max搭載のMacBook Pro 14インチには、Thunderbolt 4ポートが3つ搭載されており、M3 Pro搭載機は2台以下、M3 Max搭載機は4台以下の6Kまでのディスプレイを接続可能となっている。この制限は、チップセットの性能に拠るものだ。

しかし、それ以外は純粋にパフォーマンスの差ということになる。

せっかく、両方のマシンが手元にあるので、両方をGeekbench 6にかけてみた。結果は以下の通り。その2台だけでは、これらのマシンのパフォーマンスの高さが分かりにくいと思うので、参考までに最後のIntel Core i5搭載MacBook Air(2020 Early)と、最初のM1搭載MacBook Air(2020 M1)のデータも掲載しておいた。

▲Geekbench 6でテスト。MacBook Pro 14インチ(M3 Max)の圧倒的な高性能が浮かび上がった

M3搭載機と、M3 Max搭載機では、CPUの処理能力(マルチコア)で、約1.8倍となっている。M1と較べると約2.6倍。そしてCore i5と較べると、なんと約7.9倍になっている。

グラフィックスの処理能力を示すOpen CLでは、M3とM3 Maxでは約3倍、M1と較べると約4.9倍。そしてCore i5と較べると、なんと約12.3倍になっている。

また同じくグラフィックの処理能力を現すMetalのテストでは、M3とM3 Maxでは約3.3倍、M1と較べる約と5.2倍。そしてCore i5と較べると約18.5倍になっている。

とりわけ、MacBook Pro(M3 Max)のMetal スコア15万5386は驚異的で、手元にあったM1 Max搭載のMac Studio(GPU 32コア)と較べても約1.4倍のスコアとなっている。

▲Geekbench 6のMetalで、15万5386というMacBook Pro(M3 Max)のスコアは圧倒的

コストパフォーマンスでいえばMacBook Pro 14インチ(M3)も素晴らしい性能ではあるが、MacBook Pro 14インチ(M3 Max)は M3 Maxの凄まじい処理能力を持ち歩けるという意味で、絶対に必要とする人もいるだろう。

実際のビデオ編集では、大きな作業効率向上に寄与

具体的な性能差ということで、ビデオの編集を行ってみた。

▲実際にFinal Cut Proでビデオ編集を行って、かかった時間を計測してみた

素材は、iPhone 15 Pro Maxで撮影した10分間の4K 30fpsのProResビデオ。これをそれぞれのMacBook Pro 14インチに取り込んで、Final Cut Proで処理を行った。

まず、その10分間の映像に『ティールオレンジ』のエフェクトをかけた。M3では、2分26秒04かかったが、M3 Maxではわずか51秒8で終了した。

次に、その映像を4Kの.movで書き出す時間を測定した。M3では1分35秒かかったが、M3 Maxは39秒03で終了した。

▲ティールオレンジの適用で35%、書き出しで41%の時間で終了している。日々積もればこの差は大きい

こんなシンプルな処理でもそれだけ時間の差が出るのだから、日々ムービー編集を行っている人ならM3 Maxを導入する価値はあるだろう。実際の作業では、フィルターをかけたり、ムービーを書き出したりは、何度もやり直したりすることの多い作業。繰り返せば繰り返すほど、かかる時間の差、スピードの差はメリットとして活きてくることだろう。

選べる自由度が大きく増した

2020年秋から始まったMacへのAppleシリコンチップ搭載。最初のM1世代では、ひたすらIntelチップとのスピード差に驚いたものだが、世代を重ねるにつれ、それぞれのクラスごとに必要なチューニングが施され、M3、M3 Pro、M3 Maxと、それぞれの仕様にあったものになってきているようだ。

MacBook Pro 14インチシリーズは、必要な機能の選択によって、さまざまなパフォーマンスを選べるまさに『Pro』の名に相応しいラインアップになったといえるだろう。

《村上タクタ》

村上タクタ

フリーランスライター。1969年京都府生まれ。バイク雑誌編集者に憧れて上京し経歴を開始。ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌、デジモノの雑誌をそれぞれ7〜10年編集長として作る。趣味人の情熱を伝えるのがライフワーク。@takuta

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