NHKは『電脳コイル』で知られる磯光雄監督の最新作、『地球外少年少女』を2023年11月11日深夜24時よりNHK総合で地上波初放送します。
『地球外少年少女』は、この作品のために設立されたスタジオProduction +h.によるアニメ作品。
2007年に放送され高い評価を受けた『電脳コイル』の磯光雄が15年ぶりに監督を務める作品として話題になりました。
『電脳コイル』は拡張現実デバイス「(電脳)メガネ」が普及した近未来の日本に生きる子供たちのリアルを描いた作品でしたが、今作『地球外少年少女』はタイトルのとおり宇宙が舞台。
災害に見舞われた日本の宇宙ステーション『あんしん』に居合わせた少年少女と大人たちの奮闘は、あるAIを巡り思いもよらぬ展開を迎えます。
今作の大きな魅力は、異能とも言える世界構築力で知られる磯監督が創造した2045年の世界。
宇宙開発における最新の知見に加え、「AI普及後の世界」へのイマジネーションをもとに作り出された少し先の現実と、近未来を当たり前の今として生きるキャラクターたちの解像感高いアニメーション描写が大きな魅力です。
キャラクターデザインは『ガンダム Gのレコンギスタ』『エウレカセブン』『オーバーマンキングゲイナー』等々の吉田健一、メインアニメーターは『電脳コイル』でも総作画監督を務めた井上俊之。
今作は全6話のシリーズとしてNetflixで配信中のほか、2022年には前編・後編として劇場でも公開されました。
今回のNHK総合での放送はネトフリと同じ全6話を、11月11日より毎週土曜日の深夜24時に放送します。
宇宙モノ、あるいは宇宙ステーションでの生活はジュブナイルSFの超定番テーマで、ある意味「昔ながらのSF」を想像させますが、今作はAIの普及によって急速に技術革新が進んだIFの世界が舞台。
特に人類を遥かに超える知能を獲得しながら暴走し、謎のメッセージを遺して殺処分されたというAI「セブン」が大きな役割を果たします。
最新のアップデートに基づく「宇宙モノ」アニメーション表現において極めて優れるだけでなく、いままさに急激に発展しあらゆる未来予測を書き換えつつある人工知能と人間の関係という、もうひとつの古典的SFテーマにおける最新の答えとしても、あるいは「人間を遥かに超える異質な知性をどう絵と動きで見せるか」の例としても楽しめる作品です。が、ややこしいことを一切考えなくても「絵が動くってすげえ!」「定番近未来ガジェット、実際に(?)描くとこうなるのか!」「このキャラもこのキャラも良い!」で感動できます。