クアルコム、Androidスマホ衛星通信「Snapdragon Satellite」終了。メーカーに採用広がらず

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Kiyoshi Tane

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フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Image:Qualcomm

今年初め、米クアルコムはAndroidスマートフォンに衛星通信機能をもたらす「Snapdragon Satellite」を発表しました。これは、衛星通信の大手プロバイダであるイリジウム・コミュニケーションズとの契約も伴っていました。

しかしイリジウムは、クアルコムが2023年12月3日をもって契約終了を通知してきたと明らかにしました

Snapdragon Satelliteは、「世界初の衛星通信ベースのスマートフォン向け双方向メッセージング・ソリューション」を謳うもの。具体的には「緊急用の双方向メッセージやテキストSMS」等を挙げており、アップルがiPhone 14シリーズ以降に提供している「衛星経由の緊急SOS」機能に対抗する動きとみられていました。


イリジウムは「この技術の開発と実証に成功しました」と前置き。その上で「スマートフォン・メーカーはこの技術を搭載していない」として、契約終了の理由を説明しています。

クアルコムはSnapdragon Satellite発表にあたり、Honor、Motorola、Nothing、OPPO、vivo、XiaomiといったAndroid主要メーカー各社と協力していると述べていましたが、いずれも搭載デバイスを開発せず、あるいは開発中止した模様です。

クアルコムは米CNBCへの声明で、スマートフォンメーカー各社は衛星通信につき「標準ベースのソリューションを好む傾向がある」と語っています。要はクアルコムの独自技術に依存せず、よりオープンな規格に基づく(高額なライセンス料を支払わずに済む)アプローチを探っているようです。

また、衛星通信にかかるコストの高さに、各社が二の足を踏んでいるのかもしれません。アップルは衛星通信インフラ構築に4億5000万ドルを投じていますが、iPhone 14/15シリーズ全機種につきアクティベーション後2年間は無料で提供し続けてコストを負担しています。それにより、少なからず人命が救われてきました。



《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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