耳を塞がない系の元祖Shokzが投入する、骨伝導じゃない「OpenFit」のインパクト(小寺信良)

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小寺信良

小寺信良

ライター/コラムニスト

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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耳を塞がない系の元祖Shokzが投入する、骨伝導じゃない「OpenFit」のインパクト(小寺信良)
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筆者が初めてShokzの骨伝導イヤフォンを知ったのが「Trekz Air」というモデルだったので、2017年頃のことだったんじゃないかと思います。当時は今のような「耳を塞がない」ということへの価値が確立していない時代だったので、どちらかといえばジョギングとかでも周りの車の音とか聞こえるので危なくないよね、という文脈で導入されました。

その後、テレビ向けトランスミッターと組み合わせた「AS801-ABT01」など、大きな音を出さなくても快適にテレビが見られますよといった展開もあったんですが、2020年以降のコロナ禍になり、あれ、なんかリモート会議で骨伝導めっちゃ使いやすいぞと誰かが気がつきました。

実際「TREKZ AIR」にしろ2019年発売の「Aeropex」にしろ、マイク性能が非常に良く明瞭に声が聞こえるということで、当時流行り始めていた「Clubhouse」(懐かしいですね)でもShokzの骨伝導がちょっとしたブームになりました。

そして2020年に、ブームマイクを搭載したコミュニケーション用ビジネスモデル「OpenComm」が登場し、人気と方向性が確定したように思います。その後、音質的な課題といわれていた低音表現を改善した「OpenRun Pro」も2022年に投入。音質評価も「骨伝導だからなぁ」から「骨伝導なのに」へ変化していきました。

実際2022年は、「耳を塞がない」ブームでした。同じく骨伝導で挑むメーカーもあれば、他の方法で挑むメーカーもあり、さまざまなアプローチが今なお取られているところです。

前置きが長くなりましたが、そんな骨伝導を流行らせた張本人とも言えるShokzが、左右のユニットが繋がっていない完全ワイヤレス型に挑戦します。しかも骨伝導じゃありません。気になりますよね。筆者は気になります。

現在GREEN FUNDINGでクラファン中の「OpenFit」は、耳フック型でスピーカーを耳元で鳴らすスタイルの、オープン型完全ワイヤレスで、執筆時点では9,500万円以上の支援を集めています。イヤフォン単体で9,500万円て。世の中の期待がどれだけ高いかということでしょう。

とか書いていたら、4月20日にGREEN FUNDING史上最速で1億円突破の報が。すごい人気のようです。

▲クラウドファンディングで1億円以上の支援を集める

今回はGREEN FUNDINGから発売前のサンプル機をお借りできましたので、どんなものか聞いてみます。

柔らかなフィット感、ズンドコな低音

上から見るとほぼ正方形のケースに入ったOpenFitですが、2つのイヤフォンをバッテンの格好でクロスさせて収納するため、同様の耳フック型製品に比べるとケースがかなり小型になっています。

▲アーム部を重ねてケースに収納

イヤフォン本体は、前方のスピーカー搭載部と、後部のバッテリー部を柔らかい素材で繋いでいます。0.7mmの超極細な形状記憶素材が内蔵されており、耳のカーブに合わせて曲がってくれるため、固いものを耳に引っ掛けてる感はありません。このあたりの設計はなかなか上手いです。

▲ドライバ、バッテリー部も合わせてかなりコンパクト

連続再生時間は、イヤフォン単体で最大7時間、ケースとの組み合わせで28時間となっています。イヤフォン本体の防水防塵性能はIP54ですが、ケースは対象外です。

スピーカー部は、耳に当たる裏面、上面、下面と3方向に音の放出口が空いています。なんでその向きに、と思われるかもしれませんが、音質的には劇的な効果を発揮します。オープン型でしかも耳穴に音導管を入れないにもかかわらず、低音の出力がかなりしっかりしています。

▲裏面の放出口

低音は距離による減衰が大きいので、耳に近づければそれだけ低音が出せるわけですが、結構耳穴から離れていてもこれだけの低音が出せるのはどうなってんだこれ、という感じです。

ドライバは2つのパーツを組み合わせた18×11mmのカスタマイズ・ダイナミック・ドライバー・ユニットだそうで、イヤフォンのドライバとしてはかなり大型と言えるでしょう。一般的にイヤフォンに採用されるドライバは円形で、大型でも直径16mmぐらいです。

全体のバランスとしては、中高域にも変なクセがなく、音楽鑑賞に十分耐えられる音質になっています。基本オープン型なのでながら聴きになるでしょうが、従来の骨伝導型では低音がなー、という方にもお勧めできます。

ロゴのある部分がタッチセンサーになっており、ダブルタップで曲の再生と停止、左の長押しで曲の前へ、右の長押しで曲のスキップになっています。

▲ロゴ部分がタッチセンサーになっている

Shokz Appと組み合わせればEQやボタンのカスタマイズができるそうですが、現在のところShokz AppがまだOpenFitに対応してません。OpenFitが一般発売になる頃にアップデートされるようです。

本体カラーはブラックの他にベージュもあり。クラファンでは今年6月以降の発送となっています。「耳を塞がない系」のトレンドを作ったShokzですが、完全ワイヤレスでもフィット感、音質面で一躍トップランナーに躍り出た、そういうインパクトのある製品ではないでしょうか。

Shokz OpenFit 公式サイト

《小寺信良》

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