ソニーとMS、ともに自社ゲームサブスクの乗り入れを断られていたことが判明

ゲーム Sony
Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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ソニーとMS、ともに自社ゲームサブスクの乗り入れを断られていたことが判明
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ソニーのPlayStation Plusとマイクロソフト(以下、「MS」)のXbox Game Passはともにクラウドゲーミングサービスを含んでおり、その部分は「ゲームハードの垣根を越えて、ブラウザやストリーミング用アプリ上で動く」可能性があります。

つまり「PS5上で動くXbox Game Pass」や「Xbox Series X|Sで遊べる」ことも原理的にはあり得るはず。が、ソニーがXbox Game Passを、MSがPS Plusを互いに提案したものの、どちらも拒否されたことが、規制当局に提出された文書から明らかとなりました。

これらの資料は、MSがゲームパブリッシャー大手アクティビジョン・ブリザードを買収する計画をめぐり、両社が英競争市場庁(CMA)に対して提出したものです。もちろんMSは買収が独占禁止に該当しないと主張し、ソニーは違反するとの意見を述べており、そのために本来は社外秘のはずの事実(一部は黒塗り)のカードを出し合っているのは、何度かお伝えした通りです。

さてソニーが10月28日(現地時間)に出した文書(14ページ目)では、MSはXboxでのPlayStation Plusを許可しなかったとの趣旨が書かれています。

これに先立ち、MSはPlayStationでもゲームパスを利用できるようにするため、マルチゲーム配信サービスの需要が(PS Plusよりも)ゲームパスに傾くことはない、と主張していたとのこと。

が、ソニー側は「替えの利かない独占的コンテンツに恵まれ、直接・間接のネットワーク効果によって保護された有力プロバイダ(ゲームパス)がより広く利用可能になることで、ライバルのマルチゲーム配信サービス(PS Plus)にとって、競争が容易ではなく困難になる」と反論。

つまりPS5などもゲームパスの対象となることで、掛け持ちが難しいゲームサブスクリプションは選ばれなくなり、PS Plusが駆逐される可能性がいっそう高まる、と主張していると思われます。

その上でソニーは「MSがXboxでPS Plusの利用を認めていないことを考えると、PlayStationでゲームパスを利用できることが損害の万能薬になるというMSの主張は、非常に空虚なものに感じられます」と重要な事実をさらりと証言しています。

この主張に、MSは11月11日に提出した文書で反撃しています。よほど気になったのか、冒頭の3ページ目で早くも言及。そこでは「ソニーはPlayStationからゲームパスをブロックすることを選択したため、PlayStationで利用できません」と投げられたボールを真っ正面から打ち返しています。

PS5でXboxゲームパスが、Xbox Series X|Sで「GOD OF WAR」シリーズなどPlayStationタイトルが遊べるゲームサブスクの相互乗り入れは、一見すれば冗談のようにも思えます。が、Xboxトップのフィル・スペンサー氏がEpic Games CEOのティム・スウィーニー宛てに「xCloud(Xbox Cloud Gaming)を他のゲーム機に提供することを諦めていない」と語ったとの証言もあります。

また、なぜか部屋の棚(スペンサー氏が何かを仄めかすときによく使う)にはNintendo Switchが載っていたこともあり。もしかしたら、今でも任天堂にダメモトで交渉を持ちかけているのかもしれません。

《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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