Androidでもダイナミックヘッドトラッキングの「1MORE Aero」。AirPods Proの半額以下で真の空間オーディオは実現できたか

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小寺信良

小寺信良

ライター/コラムニスト

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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Androidでもダイナミックヘッドトラッキングの「1MORE Aero」。AirPods Proの半額以下で真の空間オーディオは実現できたか
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1MOREがまたやりました。

▲2万円以下でダイナミックヘッドトラッキング対応、「1MORE Aero」パッケージ

昨年は「寝ホン」というワードを世間一般に認知させ、今年5月には2万円以下のLDAC対応イヤフォン「1MORE EVO」を投入、9月にはLDAC対応ヘッドフォン「1MORE SonoFlow」を13,990円で発売するなど、爆速でコトを進めてきた感があるわけですが。

次に手がける「1MORE Aero」は、ざっくり言うと「空間オーディオ」対応が最大のポイントになります。ただこれ、「空間オーディオ」というワード自体が非常に曖昧なものになっておりまして、多少の説明が必要かと思われます。

▲ケースはクラムシェルタイプ

もともと「空間オーディオ(Spatial Audio)」はAppleが言い出しっぺのワードで、Dolby Atmosや360 Reality Audioといった多チャンネルソースを使ってイヤホンやヘッドホンで音像を立体的に配置する技術。Appleは今のところ、Dolby Atmosにしか対応していません。

▲シュッとしたステムが特徴的なデザイン

これに加えてもう1つ関連技術があります。音の「正面」を定義して、頭がそこからズレると、音像を正面に向けたままの状態にキープする、「ダイナミックヘッドトラッキング」です。

イヤホンやヘッドホンは頭にくっついているので、頭を動かしても普通は音像もそれに付いてきます。つまり常に顔の正面を向き続けると。ダイナミックヘッドトラッキングは、あえて音像を前向いていた方向に「置いていく」わけです。 なぜそんなことをするかというと、誤解を恐れずに言えば、「映画や動画などの画面から音が出ているように錯覚させるため」なわけです。

しかしこの効果は絶大で、音が来る方向がリアルワールド側に固定されるため、まるでヘッドホンやイヤホンを付けていないかのように感じられます。

これは音楽再生においても、耳元からドクドクと音が流し込まれて、頭の大きさ分の音像しか感じられなくなる「頭内定位」という問題の解決にも効果的です。

ある意味「空間オーディオ」だけならどのヘッドホン・イヤホンでも聴けるわけですが、これとダイナミックヘッドトラッキングの両方ができるものは、Apple製品同士の組み合わせ(イヤホンは加えて「Beats Fit Pro」)に限られてきたわけです。

特にダイナミックヘッドトラッキングは、高精度のジャイロセンサーと、音像をグィーンと動かす強力なサウンドプロセッサが必要なので、AppleのH1, H2チップを載せないと無理だったわけです。 1MORE Aeroは「空間オーディオ対応」はもちろん、H1, H2チップじゃなくても、ダイナミックヘッドトラッキングに対応します。しかもAndroidでもOK。 「これ、割とデカい話ですよね?」と気づいて頂ければ幸いです。

そして気になるお値段ですが、発売価格は16,990円(税込)。なお発売記念セールとして、Amazonで3,000円割引クーポンが配布されます。


AirPods Pro(第2世代)の39,800円(税込)という価格で多くの方が打ちのめされた中での、この価格です。

こうかはばつぐんだ!

今回はAndroid機のGoogle Pixel 6aと、Amazon Musicを使ってテストしています。ダイナミックヘッドトラッキングは、専用アプリのほうでONにします。iPhoneで使う場合も同様です。これまでAirPods Proなどでは、ボリュームのところに設定が出てきましたが、あれはH1、H2チップをOSが認識しているからできる技で、1MORE Aeroでは普通のイヤフォンと同等の表示になります。

▲「空間オーディオ」をONにすると、ダイナミックヘッドトラッキング動作が開始

▲iPhoneでのボリューム表示

ダイナミックヘッドトラッキングを含む空間オーディオ全体の効果としては、AirPods Proなどとほぼ変わりません。頭の角度が変わった場合、10秒程度でセンターにリセットされる動作も同じです。

音質ですが、今回新たに搭載された「スマートラウドネステクノロジー」がいい仕事をします。アプリ上では「スマートエコライザ」と書いてあります。元々は低音量時に低音と高音を補完する機能ですが、そこそこのボリューム時でも効きますので、設定をMaxにすればアホみたいにズシドコいうサウンドが楽しめます。本来はボリュームと連動させるのが筋なんでしょうけど。

▲アホみたいにズシドコしたサウンドに変えられる「スマートエコライザ」

ステムがあるタイプなので、ドライバ部が小さく、装着感はかなり軽いです。片側の重量は4.9g。着脱センサーも付いていて、外すと音楽が停止します。対応コーデックはSBC、AACで、LDACには対応しません。

ノイキャンも搭載しており、こちらは従来の1MORE製品と同等です。AirPods Pro(第2世代)は、キーボードのタッチ音も聞こえないぐらいのキャンセル力を誇りますが、こちらはそこまで強力なものではありません。

駆動時間は、ノイキャンONで約5時間、ケース充電も合わせると約20時間。15分充電で3時間動作のクイックチャージ機能、Qiによるワイヤレス充電にも対応します。

この価格でスペックつよつよの1MORE Aero。Android勢はこれまでダイナミックヘッドトラッキング未経験の方も多いと思いますが、この機会にオーディオの次のステップを体験しましょう。


《小寺信良》
小寺信良

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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