AIによる画像・動画生成サービスとして知られるMidjourneyが、初のハードウェア製品を発表しました。
2022年夏、実用的な画像生成AIを一般公開したMidjourneyは、Stable Diffusionのオープンソース化やChatGPTの台頭とともに、現在の生成AI隆盛の口火を切りました。これまで画像から動画へと拡張してはきたものの、基本的にはコンサバティブな戦略を貫いてきた同社にとって、今回のハードウェア参入は大きな転換点に見えるかもしれません。
しかし、創業者のデビッド・ホルツ氏の経歴を振り返れば、この発表は決して突飛なものではないことがわかります。同氏はハンドトラッキングデバイスを手がけた「Leap Motion」の共同創設者であり、NASAやマックス・プランク研究所での研究実績を持つ、ハードウェアと科学の知見を深く持つ人物だからです。


Midjourneyでは現在8つの新規プロジェクトが進行中ですが、そのうち4つはハードウェア開発です。今回発表されたのは、その一つである人体スキャン装置「Midjourney Scanner」です。



本装置は、約8960個のトランスジューサーから超音波を人体の周囲へ投射し、その受信データから人体の断面図を生成します。得られる断面画像としてはMRIに近いものですが、プロトタイプはMRIより10倍安く60倍速いく、1回あたり約1分・数ドル程度とされています。CTやX線と違い、超音波を使用するため被曝リスクもありません。
Butterfly Networkのultrasound-on-chip技術をライセンスした超音波デバイスで、Midjourneyは2025年11月にButterfly Networkと独占ライセンス契約を結び、前払い1500万ドルなどを支払っています。

同社はこのスキャナーとスパを併設した「Midjourney Spa」を世界各地に展開する計画です。第一弾はサンフランシスコのユニオンスクエア近辺に建設予定で、2027年末のオープンを目指しています。
ホルツ氏は、この装置がAIモデルを直接的に学習させるためのものではないと強調しています。その主眼は、人間という「物理的存在」をいかに正確にデジタル化し、理解するかという生物学的なデータセットの構築にあります。MRIに匹敵する解像度を持ちながら、身体への侵襲性を徹底的に排除したデータ取得が、ヘルスケアの未来を変えようとしています。
2028年には展開地域の拡大と、第3世代スキャナー(Gen3)へのアップグレードを予定。2031年までには世界中に5万台以上のスキャナーを設置し、月間10億件のスキャン能力を目指すという強気なロードマップを描いています。
早期発見と継続的なデータ取得が実現すれば、世界の死亡原因の30%、医療コストの50%を削減できる可能性がある——。Midjourneyの挑戦は、創造性の拡張から、人類の寿命そのものの拡張へと舞台を移しつつあるようです。




なお、ホルツCEOによれば、開発チームはわずか9人だそうです。









