Snapchatで知られるSnap Inc.は、米カリフォルニア州ロングビーチで開催のAugmented World Expo(AWE)で、10年の歳月をかけて開発してきたという新型拡張現実(AR)グラス「Specs」を正式発表しました。価格は2195ドル(約32万円)で、2026年秋に米国、英国、フランスで出荷を予定しています。専用のウェブサイトで予約受付を開始しています。なお、予約には200ドルの予約金(返金可能)が必要です。
Snapは、スマートフォンの普及によって、人々が目の前の人や場所ではなく手元の画面にばかり注意を奪われがちになったことに問題意識を持ち、「テクノロジーが人々を現実から引き離している」として、逆に「現実世界に溶け込むコンピューティング」を実現するためにARグラスの開発を進めてきたと主張しています。

そして、「日常的に長時間装着できる軽さ」と「本格的なAR体験」の両立を目指した製品の実現のために、7000件以上の特許出願を積み上げてきたとのこと。
Specsはバッテリーパックや配線のない完全独立型のARグラスで、フレームにスイス製TR90ポリマーを採用し、47mmモデルが132g、52mmモデルが136gという軽量設計を実現しています。また、度付きレンズへの対応も可能なリムーバブルインサートを備えています。

ディスプレイには独自の液晶オンシリコン(LCoS)技術を採用し、51度の視野角と1600万色の表示に対応。作業時には24インチのデスクトップモニター相当、映像視聴時には約3メートル先に置かれた115インチのシアタースクリーン相当の体験が得られるとしています。また、ボーイング787ドリームライナーの窓にも使われている技術により、10秒でクリアから着色状態へと切り替わります。グラフィック表示のための導波管には1本の髪の毛の先端に1万個以上が収まるナノ構造体を使用し、外界の視認性を高めています。

Specsには、コンピュータービジョン専用とLens処理専用の2基のSnapdragonプロセッサが搭載されます。モーション遅延約7ミリ秒を実現し、ハンドトラッキングやリアルタイムのAR表示に対応します。AIアシスタントはカメラ映像を通じてユーザーの視野を共有し、状況に応じた情報提供が可能とのことです。


バッテリー持続時間は複合的な用途で最大4時間駆動します。付属の充電ケースは4回分の充電容量があり、合計で最大20時間の複合使用が可能です。

Snapは過去1年半の間に、10回のSnap OSのアップデートと、40以上の新機能・APIを提供してきました。すでに開発者らはSpecs向けに数百のレンズを公開しています。またSpecは今回の発表にあわせて、新たにClaude Code・Codex・Cursorを通じたエージェント型開発を開発者プレビュー版の形で導入するとしています。Specs 空間ベンチマークや移行エージェント、開発者が独自のコードやライブラリをLens Studioに取り込める新しいネイティブ開発キットの導入も発表されました。
Specsはプライバシーにも配慮していると述べています。動画の録画などカメラ機能を使用中はLEDインジケーターが点灯し、センシティブな情報へのアクセス前には明示的な許可を求める設計を採用。オンデバイス処理を優先し、データの保存・同期・共有・削除をユーザーが管理できるとしています。

Specsは今回の発表・予約受付開始にあわせ、写真家スティーブン・マイゼルが撮影し、ジミー・バトラー(NBA選手)、イモージェン・ヒープ(ミュージシャン)、チョン・ホヨン(モデル)、ジャック・ハーロウ(ミュージシャン)、カイア・ガーバー(モデル・女優)を起用したグローバルキャンペーンを今秋より展開するとしています。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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