サムスンの先端スマホ工場をヘリで訪問、Galaxy S25 Ultraで空撮を堪能してきた

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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先日、Galaxy S25シリーズなどフラッグシップスマートフォンを製造する韓国のサムスン亀尾事業場を見学する機会がありました。

いわゆる招待ツアーというやつで、これまでも海外企業の拠点を取材する機会はありましたが、今回やや珍しかったのは、希望者にはソウル市内から200kmほど離れた亀尾(くみ)市の工場までヘリコプターで移動する選択肢があったこと。

高速バスでも3時間以上かかるため、自社グループで航空機を運用する大企業ならではの実務的な配慮でしたが、個人的にはごく短時間の遊覧飛行でしかヘリコプターに乗った経験がなかったため、二つ返事で希望を出して堪能してきました。

亀尾工場で見学した最先端の製造ラインや、全世界の操業状況を一望する管理システムには学ぶところが多く、最新の超薄スマホ Galaxy S25 Edgeや世界初のAndroid XRヘッドセット Project Moohanが着々とテストされる様子にも大変興奮しましたが、ここでは主に「ヘリすげー楽しかった!」の話をします。

亀尾事業場とは。グローバル企業サムスンの国内スマートフォン生産拠点

Shot on Galaxy S25 Ultra

まずは目的地について。サムスンの亀尾事業場 Samsung Smart City は、世界中に工場を持つサムスンの生産拠点でも特にGalaxy Sシリーズや Zシリーズなどフラッグシップを生産する場所のひとつ。

製造やテストと同時に、生産技術を研究開発し、組み立てから検品、梱包出荷までのプロセス自体を絶え間なく改良して他の拠点にも導入してゆく「マザー工場」としての役割を持っています。

亀尾市は韓国南東部、慶尚北道にある工業都市で、ソウル特別市内からは直線距離でも200km近く、高速バスで3時間以上。サムスンの本社があるソウル近郊の水原(スウォン)市からも3時間近くかかる距離です。

Shot on Galaxy S25 Ultra

▲画像:漢江公園のヘリポートから

というわけで、当日の朝はソウル市内を東西に流れる漢江の南岸、蚕室漢江公園近くのヘリポートへ。

Shot on Samsung Galaxy S25 Ultra F/1.7 1/3372 6.3 mm ISO 40

特に厳しい管理も囲いもなく、市民が散歩やサイクリングを楽しむのどかな公園の駐車場脇に「H」のマーク。映える対岸のソウル市街と漢江を撮影したり、せっかくなのでS25 Ultra の望遠をテストしつつしばし待機。

Shot on Samsung Galaxy S25 Ultra f/3.4 1/890 18.6 mm ISO 32

「あれじゃない?」の声で見上げてみれば、中型のヘリが優雅にふわりと、でも凄まじい風切り音を響かせて降下してきました。

楽しみすぎて前日に調べていたとおり、機種はアウグスタウエストランド社のAW139。キャビンが広く座席数も多いため送迎や救急搬送によく使われる中型双発機で、日本でも警察や消防防災航空隊、報道機関等で多数導入されている機種。だそうです。

▲画像:楽しみすぎてMicrosoft Flight Simulator 2024で予習していた航路。到着地点のヘリポートは分からなかったので適当に亀尾市内を指定。AW139は選択可能な機体になかったので別機種のデータです。


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パイロットは降り立つやドアを開き、さあご搭乗くださいジェスチャー。近寄るとローターとエンジンの凄まじい音で会話困難なのでとりあえず速やかに搭乗。

事前の書面で健康状態などの確認以外、特に注意事項もガイドもなく、シートベルトが4点式であることを除けばタクシーと変わりません。機内は外よりはマシな騒音レベルで、大声で会話できる程度。

Shot on iPhone 16 Pro Max

あっという間に離陸。旅客機の離着陸とはまた違う、垂直に近いゆるやかな上昇でテンションもぶち上がり。漢江の向こうのソウル市街、ロッテワールドタワーを右手に南へ。このあたりの高さではまだ4G、5Gが圏内表示です。

▲画像:大忙し。私物 Samsung S25 Ultra と iPhone 16 Pro Maxを並べて動画撮影。


市街地を抜けしばらく、のどかな山間の風景を一望しつつ、高度を上げて雲の上へ。低い高度を飛ぶ時間が長く、雲の塊が次々と流れ、時には雲の中を抜けてゆく速度感と浮遊感がとても楽しい。ヘリほしい。

離陸15分程度で、神々しい雲海を見下ろす巡航高度へ。積層雲の上に出ても旅客機の巡航高度よりはずっと低く、切れ切れに田園風景が覗く。

Galaxy S25 Ultra 自慢の5000万画素・光学5倍・10倍相当の望遠カメラで空撮すると、無限に精巧な生きたGoogle Earthを手にとって眺めるような楽しさ。

ガラス越しながら、眩しい雲のハイライトも地上の緑もありありと撮影できるHDRが優秀(ウェブ掲載用に低解像度SDR画像にしています)。フルサイズでは地上の自動車や田畑もくっきり。

高いところが苦手な人はそもそもヘリコプターを選ばない・外を観ないと思いますが、下を向いて急速にズームすると若干『メーデー!』味のある映像になるため注意。


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わずか40分程度で亀尾市の工業地帯へ。もう??

信号待ちもブレーキもカーブもないため、ある意味バスやタクシーよりずっと快適。あああ楽しかった!

亀尾市のSamsung Smart City へ

亀尾のSamsung Smart City は、これくらい巨大な棟がAからGまで、上空からは小綺麗な庭園に見えた中庭を中心に並ぶ広壮な敷地。

本稿は「ヘリ楽しい」「空撮 on Galaxy S25 Ultra」編で、工場で見学したアセンブリラインやテスト設備については別稿に譲りますが、印象に残った点をいくつか挙げれば

・最新のスマートフォン製造過程、ますます無人化。「スマホ製造ライン」で検索すると出る画像や、ニュース等のイメージ写真とは似ても似つかない。

チップが実装されたメイン基板やカメラ基板を組み合わせ、バッテリー等々を組み込み、シャーシに収めて1台が完成するまでのラインでもはや数名しかいない。うち1人は数週のうちにも機械で置き換えとのこと。

・ただし、検品と梱包までのプロセスは、機械やAIと併用しつつまだ人の目で検査が多い。それでも数名。たとえば保護シートやシール類がきれいに剥がれているか・貼り付けられているか等、アナログ要素の多い部分。

・一般的なイメージ映像等で使われる「スマホ製造工場」や「ハイテク製造ライン」よりもずっと地味な、「上部がガラスで覆われたキャスター付きキャビネット」が延々と並ぶ。たとえて言えば、相互接続された「地味なUFOキャッチャー」の如き箱がどこまでも続く。

▲画像:あくまでイメージです。江南のゲームセンターで。Shot on Galaxy S25 Ultra。

・一直線のいわゆる「ライン」ではなく、それぞれのキャビネットにINとOUTがあり接続するイメージ。製造プロセスで改良があれば、あるいは問題があれば、フレキシブルにユニットを入れ替えて継続的に改良してゆく。細分化されたプロセスごとにすぐ動かして交換できる仕組み。ひとつの機種のライフサイクルのあいだにも次々と更新してゆくとのこと。

ゲーム Factorio 画面写真。本文とはあまり関係ありません

・ラインで組み立てや検品する職員とは別に、製造行程全体を集中監視する部署もフロアに併設。デスクにはマルチモニタ、壁面は巨大モニタの、いわゆるコマンドセンターそのもの。

亀尾だけでなく、全世界の製造拠点、製造ラインをリアルタイムに管理する体制。ラインの無人化と同時にリモート化も進んでいる。

・製品の様々な要素を試験する自動化ラボでは、実世界での使われ方をシミュレートするための奇想天外な設備が多数。たとえば顔認証を様々な条件でテストするために、人種・性別・年齢の違うマネキンヘッドが多数収められた試験装置など。

照明環境をコントロールするため窓がなく直接は覗けないものの、監視用モニタ映像では暗闇にマネキン頭が並び、次々と変わる照明に顔が浮かぶ悪夢じみた光景でした。

・超薄型スマホの Galaxy S25 Edgeや 、年内発売予定のAndroid XRヘッドセット Project Moohanなども着々とテスト中。特にMoohanは装着したダミーヘッドや一般家庭を模した部屋、多関節アームの先のテスト機材を用いた大掛かりな設備も。


サムスンの歴代通信機器やネットワーク機器、スマホ以前からの携帯電話も製造してきた亀尾工場には、来訪者用のミュージアム施設も。

サムスンの歴代ほぼ全機種を集めた巨大ウォール。高い天井まで、通路のどこを観ても永久に携帯とスマホが並ぶ。見学者が世代ごとに別々の場所でかつての愛機やレア端末を発見しては奇声を発していたのが印象的でした。

《Ittousai》

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