ファーウェイ・ジャパンは5月27日、スマートウォッチの最新モデル「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」を発表しました。価格はフルオロエラストマーベルト(ブラック、ブルー)が3万7180円、撥水ナイロンベルト(グリーン)が3万9380円。ベルトの単体販売も予定されています。

ファーウェイのスマートウォッチは、ハイエンドな「HUAWEI WATCH / WATCH Ultimate」シリーズ、ミドルクラスの「WATCH GT / FIT」シリーズ、エントリーモデルの「BAND」シリーズに大別されますが、HUAWEI WATCH FIT 4 Proは名前の通りのFITシリーズの最新モデルです。見た目は従来のFITシリーズを踏襲しているものの、性能的にはWATCH GTシリーズのフラッグシップであるWATCH GT 5 Proと同等となっています。
高級感と洗練されたデザイン
FIT 3と同様、四角いデザインと側面に2つの物理ボタンというスタイルは変わっていません。側面のデザインは、ややマッシブな印象になりました。

ケース素材にはアルミ合金を採用し、安価な製品にありがちなプラスチックの安っぽさがありません。さらにベゼルにはチタン合金、カバーガラスにサファイアガラスを使用するなど、高い堅牢性を備えるだけでなく、外観のプレミアム感、質感が非常に高くなっており、ハイエンドモデルにまったく引けを取らない仕上がりです。本体の厚みも9.3mmと薄く、装着時に大きさを感じさせないのも高ポイントです。

▲写真上:右側面。回転式のクラウンとECGの電極を兼ねたファンクションボタン。写真下:左側面。スピーカーを搭載

▲9.3mmと薄く、快適な装着感
3000ニトの高輝度ディスプレイで優れた視認性
ディスプレイは1.82インチ、解像度480×408ピクセルの有機ELディスプレイを搭載。最大輝度は3000ニトと非常に明るく、直射日光下での視認性も良好です。

▲ウォーキング中の画面。輝度は自動調整で、屋外でも見やすい
HUAWEI WATCH FIT 3は最大1500ニトなので、本モデルでディスプレイ性能は一気に向上したと言っていいでしょう。参考までにApple Watch Series 10は最大輝度2000ニト、Apple Watch Ultra 2は最大3000ニトとなっています。
オフラインマップと防水性能でアウトドアにも対応
HUAWEI WATCH FITシリーズは、従来からGNSS(全球測位衛星システム)に対応していますが、HUAWEI WATCH FIT 4 Proは上位モデルのHUAWEI WATCH GT 5 Proと同様のヒマワリ型アンテナを搭載。L1とL5のデュアルバンドに対応しているのも上位モデルと同様です。これにより、同価格帯のスマートウォッチと比較して、より正確な測位が可能になりました。
この測位システムを活かせるよう、HUAWEI WATCH FIT 4 Proは新たにオフラインマップにも対応しています。あらかじめスマートフォン経由でマップのダウンロードをしておく必要がありますが、ランニングやウォーキング中に、スマートフォンを取り出さずに手首でマップと位置の確認が行えます。登山やハイキング中でもマップを確認でき、分岐の際の参考にしたり、サードパーティ製アプリから登山ルートをインポート可能です。

▲運動中にオフラインでマップを表示可

▲マップはあらかじめスマホアプリでダウンロード。地域毎にダウンロードできるため、無駄に容量を圧迫しない
また、HUAWEI WATCH FIT 4 Proでは気圧計も追加されました。これにより、登山などのワークアウト中でも高度や気圧を手軽に確認できるようになっています。

▲気圧と高度を確認できる

▲登山やトレイルランでは、ワークアウトの画面で高度を確認できる
ワークアウト中のオフラインマップ、登山などを楽しむ人には便利な機能ですが、多くの人にとっては「必要?」と思うところかもしれません。実際、ランニングなどでいつものコースを走るだけならマップを見る必要はないでしょう。ただ、旅行先や出張先で、ちょっとした空き時間にウォーキングやランニングを楽しみたい場合など、馴染みのない場所で利用する場合に、あると安心です。
防水性能も向上しており、水深40mまでのフリーダイビングに対応。ダイビングアクセサリーの国際規格EN13319に準拠し、水の種類(淡水、海水)の選択や安全アラームなどの機能に対応しています。また、無呼吸トレーニングや無呼吸テストなどのトレーニング機能も備えています。
ゴルファーに嬉しい専用機能
最近のHUAWEI WATCH GTシリーズはゴルフ機能に力を入れていますが、フラッグシップGT 5 Proと同等のゴルフ機能がHUAWEI WATCH FIT 4 Proにも搭載されています。
日本の99%以上をカバーするゴルフ場に対応しており、マップをFIT 4 Proにダウンロード可能。もちろん、高精度の測位システムを活用し、グリーンやハザードまでの距離を常に把握できるほか、グリーンの傾斜や風の強さなども確認できます。

▲ゴルフマップをダウンロードし、ウォッチ上に細かいデータと一緒に表示できる

▲ゴルフコースは地域などで検索可
健康管理機能も最先端 ECGに対応
HUAWEI WATCH FIT 4 Proは、アクティビティの記録だけではなくヘルスモニタリング機能も充実しています。というより、スマートウォッチを利用する人の大半は、ヘルスモニタリングが目的でしょう。
HUAWEI WATCH FIT 4 Proは最先端の「HUAWEI TruSense」センシングシステムによって循環器系、呼吸器系、神経系、内分泌系、生殖系、運動系の6つの主要な健康システムのトラッキングをサポートしています。実際の計測項目としては、心拍数や呼吸数、血中酸素レベル、体表面温度など。これに加え、あらたに心電図(ECG)にも対応しました。
フラッグシップモデル「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」と健康管理特化モデル「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」がひと足早く(2025年1月から)ECGに対応していますが、それと同じ機能がHUAWEI WATCH FIT 4 Proでも利用できます。
心電図アプリは、日本のプログラム医療機器として承認(承認番号:30600BZI00035000)を取得済み。測定方法は簡単で、スマートウォッチで心電図アプリを起動し、ファンクションボタンに指先をタッチすると約30秒で測定が完了します。

▲アプリ一覧から心電図を選択し、ファンクションボタンに指を添えると30秒で計測が完了する
詳しい測定結果は、スマートフォンのHUAWEI Healthアプリで確認可能。「洞調律」「心房細動」「心拍数が110より上」「心拍数が50より下」「判定不能」のいずれかとして分類されます。測定結果をPDFとしてダウンロードし、医師と共有することも可能。

▲測定結果はアプリで確認できるほか、PDFデータを保存できる
このほか、ファーウェイのスマートウォッチと言えば睡眠計測というイメージがありますが、こちらもアップデートされています。新しく睡眠時のHRV(心拍変動)を指標として導入。ユーザーの平均睡眠時心拍変動データを基準として、心拍変動が高い・低いを判断、必要に応じて専門的なアドバイスを表示します。ほか、入眠や覚醒の認識精度も強化されています。

▲シンプルでわかりやすい睡眠ログ
面白い機能として、情緒機能が挙げられます。HUAWEI WATCH GT 5 Proなどではすでに利用できていた機能ですが、バイタルサインのモニタリングデータに基づいて「快適」「普通」「不快」の3段階で記録します。ストレスをわかりやすくしたようなイメージですが、専用の文字盤を利用することで、情緒に応じて表情が変わる動物(猫やパンダ)の様子で楽しめます。

▲情緒を測定可能に。専用の文字盤を利用すると、いつでも心の状態を把握できる
Qi対応ワイヤレス充電と長時間バッテリー
バッテリー持ちの公称値は通常使用で最大10日間、ヘビーユースで最大7日間となっています。実際に心拍数測定ON、睡眠測定ON、呼吸乱れ検知機能ON、ストレス測定ON、1日80分のウォーキング(GPS ON)、スマートフォンからの各種通知ON、常時点灯ONの状態で約5日間、充電せずに利用できました。これは1日約20%程度のバッテリー消費となります。常時点灯をOFFにすると1日あたり10~15%のバッテリー消費になったので、1週間は充電せずにいけそうです。

▲専用の充電台が付属。なお、Qi互換なので、ほかの充電器でも充電可能だ
前モデルのHUAWEI WATCH FIT 3は、充電に専用ケーブルが必要でしたが、WATCH FIT 4 ProはWATCH GTシリーズと同様にQi規格のワイヤレス充電に対応しました。専用の充電台が付属しますが、出先でバッテリー切れになった場合、市販のワイヤレス充電器や、スマートフォンのバッテリーシェアを使って充電できるのは便利ですね。

▲ワイヤレスバッテリー共有で充電してみたところ。出先でバッテリーが切れても安心
スマートフォン連携でさらに便利に
HUAWEI WATCH FIT 4 Proは、Android OSだけでなくiPhoneのiOSにも対応しています。どちらで利用しても、ほとんどの機能を使うことができますが、2点のみ異なる部分があります。1つはSMSへのクイック返信。これはAndroidでのみ利用できます。返信メッセージはHUAWEIヘルスケアアプリでカスタマイズ可能です。
もう1つはリモートシャッター機能。これはEMUI 8.1以降を搭載しているHUAWEIスマートフォン(日本では未発売)またはiOS 13.0以降を搭載しているiPhoneで利用可能となっています。日本で販売されているAndroidスマホでは利用できません。それ以外の機能(ヘルスケア管理、文字盤のカスタマイズ、通知機能など)は、Android / iOS版のHUAWEIヘルスケアアプリで同じように利用できます。
モデル選びのポイント
HUAWEI WATCH FIT 4シリーズにはFIT 4 Proのほか、無印のFIT 4もあります。見た目はほとんど変わりませんが、ベゼルも含めてボディはアルミ合金製。ディスプレイは1.82インチで変わりませんが、最大輝度は2000ニト。また、ECGやゴルフマップ機能に非対応など、若干仕様が抑えられています。その代わりに価格が安く、フルオロエラストマーベルト(ブラック、ホワイト、パープル)が2万3980円、ナイロンベルト(グレー)が2万5080円となっています。
HUAWEI WATCH FIT 4 Proは、FITシリーズの系譜ではあるものの、機能的には上位モデルのHUAWEI WATCH GT 5 Proと同等となっています。ハイエンドなスポーツ機能と最先端のヘルスケア機能だけではなく、プレミアムなボディ素材を採用していることも共通します。

▲上位モデルのHUAWEI WATCH GT 5 Pro(4万8180円~)
スクウェアデザインでよりカジュアル感が強いHUAWEI WATCH FIT 4 Proと、サークルデザインでスポーティなHUAWEI WATCH GT 5 Pro。好みに応じて自分の好きなスタイルを選びましょう。

▲サークルデザインの個性も捨てがたいが、スクエアデザインのほうが情報は多い