ANAが飛行機の機体をサメ肌の特殊フィルム「AeroSHARK」で覆った理由に鳥肌が立った

テクノロジー Science
中山智

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けています。 旅人ITライターさとるとして、YouTubeでも活動しています。

特集

ANAは4月26日、ボーイング777型旅客機に新しい技術を導入した機体を就航させました。これは「AeroSHARK」という特別なフィルムで、なんとサメ肌の仕組みをヒントに開発されたもの。

このフィルムを旅客機に使うのはANAがアジアで初めて。すでに貨物機には導入しており、旅客機と貨物機双方への採用は、航空会社として世界初となります。

▲鮫肌フィルム「AeroSHARK」をまとった低燃費仕様のボーイング777-300ER型(JA796A)

このAeroSHARKフィルム、どのようなものかというと、表面に髪の毛1本分くらいのとても小さな、ギザギザした凹凸が加工されています。触るとサメ肌のようなザラザラとした感触。この微細な凹凸が、飛行中に機体表面を流れる空気を整えて、空気抵抗を減らします。抵抗が減ることで使う燃料を節約し、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量を減らすことができる、環境に優しい技術です。

▲鮫肌といっても肉眼ではわからない

▲ドア下の色の濃い部分は貼られていないエリア。目を凝らすと、周囲のフィルムの存在がわかる

今回、このフィルムを貼って飛び始めたのは、ボーイング777-300ER型の「JA796A」という機体で、昨年9月から運航している「JA771F」に続く2機目となります。フィルム自体は透明で、機体の胴体のおよそ7割くらいの面積に貼られています。

▲主翼の近くは空気の流れを考慮して斜め向きに貼ったりと、細かな調整がされている

フィルムを貼ると機体の重さは約120kg増えるそうですが、それでも燃費が約1%改善できると期待されています。すでに飛んでいる貨物機での運用では、約1%の燃料とCO2の削減効果が出ていることを確認済み。これは飛行機1機あたり年間で燃料約250トン、CO2約800トン減らせる計算になります。

▲搭乗口に乗客がAeroSHARKの感触を確かめられる展示があった

JA796Aは、主にロンドンやニューヨークなどの長距離路線に投入されています。ドアの近くにはプロモーション用のステッカーが貼ってあるので、ANAに乗る際は、ぜひチェックしてみましょう。

▲AeroSHARK採用機はこのステッカーが目印

《中山智》

Amazon売れ筋ランキング

中山智

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けています。 旅人ITライターさとるとして、YouTubeでも活動しています。

特集

BECOME A MEMBER

『テクノエッジ アルファ』会員募集中

最新テック・ガジェット情報コミュニティ『テクノエッジ アルファ』を開設しました。会員専用Discrodサーバ参加権やイベント招待、会員限定コンテンツなど特典多数です。