MIT、軟体ロボットシミュレータ「DittoGym」開発。由来はメタモン

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Munenori Taniguchi

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Massachusetts Institute Of Technology
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最近はヒト型のヒューマノイド・ロボットが工場に導入されるといった話題がちらほらと出始めていますが、ロボット開発の世界では、定まった形を持たない、自在にその形状を変えることができるソフトロボットの研究開発も行われています。

ソフトロボットの特長は、よくあるヒト型や犬型のロボット、アームだけの産業用ロボットのような基本的な手足や骨格を持たず、スライムのようにその身体全体を自在に変形させられるところです。もちろん、そのようなロボットはまだ存在していませんが、一部の研究者たちは医療用、産業用機器、ウェアラブルデバイスといった用途に向けて、自在に形を変えられるソフトロボットの研究開発を行っています。

たとえば、人の身体の内部から何か異物を取り出す必要がある場合、そこに小さなスライムのような、狭い空間を移動し、物をつかんで出てくるロボットがあったら便利なはずです。この研究では、ヘルスケアや産業システムを含む様々な分野に柔軟かつ適応力のあるソリューションを提供し、大きな変化をもたらす可能性が考えられます。

ただ、それを実現しようと思えば、このスライムのような特定の形を持たない、関節のないロボットを自在に制御する方法が必要になります。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、「coarse-to-fine(粗密)法」と呼ばれる手法を用いて、ソフトロボットの身体を構成する細かな「筋肉」をグループ分けし、それらをタスクの最終的な結果に向けて効率的に使用する方法を見つけるやり方を検討しました

そして、ソフトロボットが数回にわたりその形状を変化させなければならないようなタスクを与えられた場合に、その完了を目指して移動し、伸縮し、特定の形状を形作る方法を自律的に学習する制御アルゴリズムと、それを8つのタスクによってテストするためのシミュレーターを開発しました。

このシミュレーターは何にでも姿を変えられるポケモン「メタモン(Ditto)」から着想を得て「DittoGym」と呼ばれています。

このシステムでは、ソフトロボットにタスクを与え、達成できれば報酬を与えます。タスクには、狭い迷路のような通路を形状を変えて目標物に足り着くといったものや、狭い隙間の空いた囲いの中から蓋を開けて脱出するものなどが用意されています。

あるテストでは、ロボットは狭いパイプを通り抜けるために、2本の小さな脚を伸ばしつつ胴体を縮め、その後、その脚の伸張を止めて、パイプの出口を開けるために胴体を伸ばす動作を行うことで脱出に成功しました。

研究者らは、8つのタスクによるソフトロボットの強化効率が、従来の強化学習手法を使うよりもはるかに効率的な結果を示したと述べています。

まだまだ初期段階ではあるものの、この研究は多様な、多段階のタスクを達成するために形状を変化させられる汎用ロボットが実現した際の、実用面での可能性を示していそうです。



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《Munenori Taniguchi》

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