有機EL版iPad Pro、2024年2月にパネル生産開始?先に12.9インチiPad Airが発売される可能性もあり

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Image:Apple

アップルがiPad Proのディスプレイを、現行のミニLEDバックライト液晶から有機ELパネルに移行する噂は、複数の情報源が伝えてきたことです。


これまで「2024年内に発売」と漠然と予想されていましたが、有機ELパネルの生産が2024年2月に始まると韓国の英字新聞Korean Heraldが報じています

同誌の情報筋によれば、LGディスプレイは来年2月に京畿道坡州にある自社工場で、次期iPad Pro向け有機EL生産を開始。このパネルはiPhone用パネルの3倍もの価格になり、たとえ発注数が少なくとも、LGディスプレイの収益性にプラスに働くと予想しています。

こうした画面コストの高騰は、やはり韓国の業界誌The Elecが伝えていたことです。すなわち従来型の10インチ用有機ELパネルの製造コストが100~150ドルに対して、11.1インチと13インチ(それぞれ11インチと12.9インチ後継モデル)は270ドル/350ドル近くになるとのこと。これほどのコスト高をアップルが被るとは考えにくく、価格に転嫁される可能性が高いでしょう。


現行の12.9インチiPad Proが採用したミニLEDバックライト方式は、それ以前のモデルよりも明るさとコントラスト比を高めています。反面、LEDゾーンの方が液晶のピクセルサイズより大きいため、若干の光漏れが生じることは避けられないとアップルも認めています

その一方で、有機ELは自発光素子を使うためにバックライトの必要がなく、より深い黒の表現や高いコントラスト比、低消費電力などの強みがあります。とはいえ、有機物質を使うため経年劣化を伴いやすく、またスマートフォンに使われているフレキシブル型では、大型化に対応しにくいという弱点もあります。

そのためハイブリッド有機EL技術やツースタックタンデム構造、さらにProMotion(1Hz~120Hzの可変リフレッシュレート)を実現するためLTPO TFTなど高度な技術を投入する必要があり、非常に製造コストが高くなると見られています。


アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏も、有機EL版iPad Proが2024年第1四半期~第2四半期に発売と予想したばかりであり、今回の報道と一致しています。

次世代iPad Proは有機ELに加えて、やや画面が大きくなり(11インチ→11.1インチ/12.9インチ→13インチ)M3チップを搭載し、よりMacBookにデザインが近くなったMagic Keyboardの同時発売が予想されています。

そちらは一般ユーザーと縁遠い価格になりそうですが、大型化した「12.9インチiPad Airが開発中」との噂を上記のKuo氏が補強しています。


新型iPad Airは10.9インチと12.9インチの2種類が発売され、2024年第1四半期に量産開始。また12.9インチモデルにはミニLEDこそ搭載されないものの、現行iPad Proと同じ酸化膜バックプレーン技術を採用し、10.9インチよりも画面性能が優れているとのことです。

iPadに高度なクリエイター向け性能や有機ELの高画質までは求めない、ただ電子書籍や動画を楽しむために大画面タブレットは欲しいという人は、12.9インチiPad Airに期待した方がよさそうです。


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《Kiyoshi Tane》

Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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