Apple Vision Pro、当初は米国内の数店舗のみ・店頭のみで予約販売の見込み(Bloomberg報道)

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Image:Apple/YouTube

アップルのMRヘッドセットことApple Vision Proは、製造の難しさにより当初の出荷台数は限られ、発売年の2024年内は40万台に留まるとの見通しを英Financial Timesが報じていました。

これはiPhoneやMacなど他のアップル製品と比べて異例の少なさで、価格のハードルを超えても買おうとしても入手が難しいことが予想されます。

そんなVision Proの販売体制について、当初は直営店の店頭のみ、完全予約制として、2025年までは非直営店での販売は想定していないようだと、Appleの動向に詳しいジャーナリストが報じています。

アップルの社内情報に精通するMark Gurman記者は、ストアの従業員は顧客がVision Proを購入する際、ピッタリとフィットするヘッドバンドとライトシール(遮光パッド)を確実に入手できるよう手助けすることになると述べています

つまり顧客それぞれに合うよう装着感まで確かめるため、1台ごとに手間がかかる模様です。もっとも、2015年に初代Apple Watchを発売した際も販売はすべて予約制であり、前例がなかったわけではありません。

アップルは店舗内にVision Proを試着できる特別コーナーを設け、さらに適切なアクセサリーを選べるようサイズ調整ツール(物理的なハードウェア)を用意するとのこと。

最終的には米国内のすべての直営店で買えるようになる予定ではあるものの、当初はニューヨークやロサンジェルスなどの大都市での準備に重点を置くとみられています。

要は米国に在住していたとしても、限られた店舗に行く必要があるということ。海外から買いに行く場合でも、まず来店予約を確保することが大変かもしれません。

なぜ、当初はごく一部だけに限られるのか。それは大量のアクセサリー在庫が必要なためという事情も説明しています。

まず、ヘッドバンドやライトシールは多くのサイズがある。しかも顧客がヘッドセット1台につき複数のアクセサリーを買う場合に備えて、店舗側は「試着用在庫」を含めて膨大な在庫を確保しておく必要がある。その場で度付きレンズを入れることもあるため、ストア側は「数百から数千のレンズ」のストックが求められるとのこと。

Vision Proはメガネ併用不可、視力矯正のためのツァイス製インサートレンズは別売りとなることは、すでに確認済みです。


そして2024年の早い時期には、米国ではオンライン注文(店頭に行かない)も始まるとのこと。そこで注文する場合も、顧客には頭部のスキャンデータと、視力矯正インサートレンズが必要な場合は目の処方箋もアップロードすることになります。

そのためのiPhone用顔スキャンアプリも開発中であり、ユーザーは自分の顔に合ったライトシールを選べるようになる見通しです。

またアップルは、Vision Pro用の追加アクセサリーも開発中とのこと。ヘッドセットの体感的な重さを和らげるトップストラップ(ヘッドバンド)はまだ開発中であり、頭の小さなユーザーにとって快適性を向上するよう目指しているとしています。


さらにVision Proは外付けバッテリーパックを持ち歩く設計ですが、全てのユーザーがパックを入れられるポケットが付いた服を着ているとは限りません。そのため、アクセサリーメーカーに肩掛けできるポーチ開発を依頼することも「検討」したとのことです。実際に発注されたかどうかは、明らかにされていません。

では米国外での販売はどうなるかといえば、2024年後半まではないだろうとGurman氏は述べています。まず英国とカナダ、その後にアジアとヨーロッパ諸国という順番とされています。

Vision ProにはM2プロセッサが搭載されていますが、2025年ともなれば「M3」や「M4」チップ搭載のMacやiPad Proが登場していてもおかしくないはず。Vision Proが時代遅れとならないよう、できるだけ早く、広い地域で販売することを期待したいところです。

《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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