Twitter、課金以外の認証バッジは「基準が不透明」と剥奪。マスク氏が個人的に選んだ有名人には付与

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Twitter、課金以外の認証バッジは「基準が不透明」と剥奪。マスク氏が個人的に選んだ有名人には付与
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Twitterは、何度も予告しつつ延期を繰り返してきた旧認証バッジの削除を4月20日午後から開始しました。買収前のTwitter社が認定していた企業や著名人、政治家等の公式アカウントも、有料のTwitter Blueに加入しない限り認証バッジなしになります。


トランプ元大統領やレディー・ガガ、ローマ教皇フランシスコのほか、Twitter創業者ジャック・ドーシーまでも剥奪の対象となっており、TwitterのマスクCEOが「持てる者と持たざる者、貴族と平民」のシステムでありクソだと批判した旧認証バッジ / レガシーブルーは根こそぎ否定されたかに見えます。

しかし、なぜかTwitterに課金していないはずの有名人が、認証バッジを付け続けていることが確認されています。たとえばNBAプレイヤーのレブロン・ジェームズは「私の青いマーク(認証バッジ)はすぐになくなると思う。5ドル(正確には8ドル)を払ってないからね」とツイートしていましたが、プロフィールの横にバッジが付いたままです。

ジェームズのメディアアドバイザーに照会したThe Vergeによると、本人はTwitter Blueに支払いをしておらず、Twitterの従業員がジェームズに「イーロン・マスクに代わって、あなたのアカウントにTwitter Blueの無料購読を延長します」とメールしたとの証言を得たとのこと。

この記事にはマスク本人も反応しており、「自分が何人かのために料金を払っているよ」とツイート。つまり申し込んでないないアカウントにも、個人的に選んで一方的にバッジを与えていることを認めています。

しかし、そもそもイーロン・マスク氏が旧来の認証バッジを強く批判し、すべて剥奪した理由は、表向きは(旧Twitter社による)「選定基準が不透明で恣意的」でした。セレブであろうと、発言の影響力が大きく本人確認が重要な意味を持つ立場の人物であろうと、Twitter Blueに月8ドルを支払うかどうかだけがバッジの有無を決める仕組みに移行するとの説明だったはずが、結局は「イーロン・マスクが個人的に選んだアカウントには認証バッジを与える」になっています。

さらに見過ごせないのは、マスクが無料バッジを与えていると明言した中に、以前バッジの有料化をめぐってやり合った大物作家スティーブン・キングが含まれていることです。


スティーブン・キングはなりすましの被害が大きい人気作家として、旧Twitterから認証バッジを与えられていましたが、イーロン・マスク氏による買収後、有料化の計画が示された際は「誰が払うか、むしろお前たちが私に払え」と否定していました。

そんなキングがバッジ欲しさに課金するわけもなく、実際に「私のTwitterアカウントにはTwitter Blueを購読していると表示されている。そんなことはしていない。電話番号を登録したと書いてあるが、教えていない」と抗議しています。それに対してマスクは「どういたしまして、ナマステ」と返し、押しつけを隠そうともしていません。

キングとしてはバッジが欲しくないどころか、Twitterに課金していると表示されることを迷惑がっています。かたやTwitterやマスク氏の観点から見れば、「これほどの有名人がTwitter Blueに課金している」ように表示することは、有料プランを魅力的に見せて名もなき人たちに売り込む絶好の営業になるはず。つまり、「ジェームズやキングがこのサービスを買っている」と事実無根の設定にすることは、不当広告になる可能性もあります。

なおイーロン・マスク氏はTwitterの広報部門を解散させたうえ、プレスの問い合わせには💩の絵文字を返す対応を続けているため、今回の対応に対しても会社としての公式なコメントはありません。

《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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