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手動シャッター開閉にも対応した初期の3.5インチフロッピーディスク:ロストメモリーズ File001

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宮里圭介

宮里圭介

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

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手動シャッター開閉にも対応した初期の3.5インチフロッピーディスク:ロストメモリーズ File001
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[名称] 3.5インチフロッピーディスク
(製品名) OM-D3320
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[メディアサイズ] 約90×94×3.3mm
[記録部サイズ] 直径約86mm
[容量] 437.5KB/500KB(アンフォーマット)
[登場年] 1983年頃~

ひとつ、またひとつと消えていき、記憶からも薄れつつあるリムーバブルメディア。この連載では、ゆるっと集めているメディアやドライブをふわっと紹介します。

3.5インチフロッピーディスク(FD)は、1980年にソニーが開発した磁気ディスク。マイクロフロッピーディスク(Micro Floppy Disk、MFD)、90mmフレキシブルディスクカートリッジ(90mm Flexible Disk Cartridge)とも呼ばれます。

FDは8インチから始まり、5.25インチへと小型化されて広く使われるようになりました。しかし、裏表や向きの区別が難しい、薄い塩化ビニルのジャケットでしか守られておらず折れや曲げに弱い、ヘッドウィンドウ(ヘッドがアクセスする開口部)が丸出しでディスクが指紋やホコリで汚れる、クランプ時に中心がズレて縁を挟みやすい、間違った容量規格で使えてしまうなど、問題も多く抱えていました。

こういった問題の大部分を克服したのが、3.5インチFDです。ディスクをさらに小型化しただけでなく、カートリッジの縦横サイズ、表と裏の構造などを変え、正しい方向でしかドライブに挿入できないようになりました。また、全体を固いABS樹脂でしっかりガード。さらにヘッドウィンドウにはシャッターを追加し、ディスクが露出しないよう工夫されているのが大きく変わったポイントです。

3.5インチFDは、1980年にソニーの英文ワードプロセッサー「Series 35」で初めて採用され、その後、HP社でも採用されました。また、一般向けの機器でいえば、1982年発売のソニー製マイコン「SMC-70」で採用されています(オプション)。とはいえ、このときはまだ独自規格。1983年にANSI、1984年にISOで標準規格化され、その後普及したものとはいくつか異なる部分があります。

一番の違いは、シャッターの構造でしょう。初期の3.5インチFDはヘッドウィンドウを守るシャッターを採用しているものの、利用時はスライドして露出させてからドライブに挿入するという、マニュアルシャッターになっていました。

手動での操作が必要ということは、ヘッドウィンドを丸だしのままにできるということ。つまり、5.25インチFDまでの問題が一部解決されていません。

そこで導入されたのが、バネを内蔵したオートシャッター。ドライブに挿入すると自動でシャッターが開いてヘッドウィンドウが露出し、排出時にはバネでシャッターが閉まるという、お馴染みのヤツです。また、ヘッドウィンドウが内周側に拡張され、トラック数が70から80へと増加。アンフォーマット時の容量が、437.5KBから500KBへと増えるという変更が加わったのも、これと同時期です。

しかし、いくらFDがオートシャッターへと進化しても、初期のドライブには、そもそもシャッターを開ける機構がないため使えません。

このオートシャッターへの過渡期に登場したのが、今回紹介するモデルです。

シャッターが開きっぱなしになる特殊なギミック付き
書き込み禁止はカセットテープと同じくツメを折る!

オートシャッターに対応しつつ、従来のオートシャッター非対応ドライブでも利用できるようにしたのが、「OM-D3320」を代表とするFDです。

単体では少々分かりにくいので、左側にOM-D3320、右側に標準規格に準拠(たぶん)したものを並べて比較してみました。

シャッターのウィンドウが四角ではなく、上下に少し丸みを帯びているのが特徴です。それ以外の部分は同じに見えますが、よく観察してみると、左上に「PINCH」と刻印されていることに気づきます。また、左下にあるはずの書き込み禁止を判断する検出穴が見当たりません。

2DDとか2HDといった容量規格も書かれていませんが、これは、1種類(1DD)しか存在していない時代のものだからだと思われます。

こちらは裏面から。OM-D3320には、シャッターの右上部分に意味ありげな穴が開いていることに気づくでしょう。また、右下にはライトプロテクト用の何らかの仕組みが作られていることが分かります。

まずはこのシャッター部分に注目です。

OM-D3320のシャッター部には、ガイドレールの端に小さなツメが設けられているのがわかるでしょうか。このツメにシャッターの穴を引っ掛けることで、シャッターが閉じないようロックできるようになっています。

このロックされた状態で利用すれば、従来のオートシャッターに対応していないドライブでも利用できる……つまり、従来との互換性を確保しているというわけです。

ちなみにシャッターを閉じるには、端の「PINCH」とある部分を指で摘まめばOK。たわんでツメが外れるよう隙間が作られているので、軽く摘まむだけで簡単にシャッターが閉じます。

左の隙間があるのがOM-D3320で、右が標準規格のもの。こうしてみると、結構違いがありますね。

なお、このツメの位置は絶妙で、FDドライブに挿入してもロックされるほどシャッターは開きません。FDを取り出せば、ちゃんと自動でシャッターが閉まります。

ヘッドウィンドウに対してシャッターのウィンドウが大きくなっているのは、このツメを避けるためなのでしょう。よく考えられています。

もうひとつの大きく違う部分は、書き込み禁止の設定方法。OM-D3320までは単なるツメが作られているだけで、これを折り取ることで書き込み禁止にできました。

上の2枚がOM-D3320で、一番下が標準規格のもの。上から順に、折り取る前、折り取った後、書き込み禁止に設定したものとなります。

ツメは一度折るとなくなりますが、再度書き込みたいときは、ここにテープを貼ることで代用できます。カセットテープと同じ方式ですね。

標準規格ではツメがスライド式になっているので、書き込みの禁止/許可を簡単に切り替えられるようになりました。

また、書き込み禁止かどうかのチェックが貫通穴となったのも、標準規格になった後です。センサー部を簡略化するための変更ですね。

新旧どちらのドライブでも使える工夫が面白い

OM-D3320は独自規格から標準規格へ変わる過渡期のFDということで、互換性を保ちつつ、新しい要素を取り入れているというのが見どころ。基本的にはソニー製しかありませんが、HPへOEM供給されていたため、同様の3.5インチFDはHPブランドのものもあるようです。古い3.5インチFDに紛れていることもあるので、探してみると面白いかもしれません。

なお、マニュアルシャッターの3.5インチFD(製品名:OM-D3310)は、現在捜索中。余らせている人がいたら、譲ってください。


参考文献:

《宮里圭介》
宮里圭介

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