AI時代の新スマホは正方形? 中国市場で増殖する「スクエアAIスマホ」(山根康宏)

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山根康宏

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香港在住携帯研究家

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スマホとSIMを求めて世界を取材中。メディアへ執筆多数。海外・中国通信関連の記事や講演承ります。noteや動画配信もやってます。

アップルもまもなく折りたたみスマートフォンを出すとみられており、スマートフォンの形状はますます多様化の時代がやってきます。動画視聴には大きな画面が便利ですから、折りたたみスマートフォンも今後参入メーカーが増えるかもしれません。

しかし誰もが常に動画を見るためにスマートフォンを使っているわけではありません。音声でAIと対話し、仕事やプライベートの用事をこなす使い方も広がっています。そうした変化を先取りするかのように登場しているのが、正方形デザインのスマートフォンです。

正方形のスマートフォンは画面が小さく、使いにくそうに思えるかもしれません。しかし、主な操作が音声入力やAIとのチャットであれば、ポケットにすっぽり収まり、手のひらにも無理なく収まるこの形状は意外に合理的です。

ヘッドホンなどで知られるIKKOが2026年に発売した「MindOne」も、そのような発想の製品です。Android OSと独自のAI OSを切り替えて利用でき、AIアプリは内蔵のvSIM経由でデータ通信量を気にせず使えます。単に小型のスマートフォンというより、AIを持ち歩くための端末を目指した「AIスマホ」なのです。

正方形のAIデバイスという発想自体は、以前にも登場しています。代表例は、2024年に発売された「rabbit r1」です。わずか2年前の製品ですが、当時は小型の専用デバイスでAIを扱うこと自体が、未来的な体験として受け止められていました。

しかし現在では、スマートフォンでAIを利用することが珍しくありません。AIに特化したrabbit r1は、専用設計の小型ディスプレイなどを搭載していた斬新なデザインでも注目を集めましたが、スマートフォンでのAI利用が一般的になると、その特徴だけでは生き残れませんでした。

一方で、「手のひらに乗るAIデバイス」というコンセプトは、縦折り型のフリップスマートフォンに受け継がれつつあります。閉じた状態でも一定の操作ができるフリップフォンは、アウトディスプレイからAIサービスを呼び出す用途と相性がいいからです。

サムスンの最新モデル「Galaxy Z Flip8」は、同時に登場した横開き型の「Galaxy Z Fold8」の陰に隠れ、話題はやや控えめでした。しかし、閉じた状態で厚さ13.1mm、重量180gというサイズ感は、持ち歩けるAIデバイスとして十分に現実的です。開かずにAIへ話しかけ、簡単な確認や指示を済ませる使い方は、今後さらに自然なものになっていくでしょう。

MindOneは、こうしたフリップフォンの上半分だけを切り出してスマートフォン化したようなデザインです。本体は厚さ8.9mm、重量136g。約1年前にクラウドファンディングが行われ、2026年に入って出荷が始まりました。

筆者も実機を入手して使ってみましたが、4G通信の速度やHelio G99の処理性能にはやや不満が残りました。それでも、いつでもどこでもAIに話しかけ、チャットでやり取りできる体験には独特の楽しさがあります。

高性能なスマートフォンとして評価するよりも、AIとの距離を縮める小型端末として捉えたほうが、この製品の魅力は理解しやすいでしょう。

スクエアデザインの変態AIスマホは一部データ通信無料でQWERTYキーボードにも対応(スマホ沼) | テクノエッジ TechnoEdge

さて、この形状に注目したのはIKKOだけではありません。中国では別メーカーからも、似たデザインのスマートフォンが登場しています。

まずフィリップスです。欧州の家電ブランドとして知られるフィリップスですが、中国ではブランドライセンスを受けたメーカーが「フィリップス」ブランドのスマートフォンを展開しています。同社の「S7801」は、MindOneと同じく正方形のボディーに回転式カメラを組み合わせた小型モデルです。

また、中国の老舗スマートフォンブランドであるCoolpadも、「Small Cube AI」を投入しています。ただよく見ると、S7801とSmall Cube AIはいずれもMindOneとほぼ同じ形状です。

IKKO製品のODMモデルなのか、あるいはIKKO自身が外部の設計・製造パートナーを活用し、それぞれのブランド向けに展開しているのでしょうか。

いずれも中国市場ではあまり大きな存在感を持っていないブランドですが、中国国内で相次いで正方形のAIスマートフォンが登場している点は興味深いところです。AIサービスの利用拡大を背景に、従来型スマートフォンとは異なる小型端末の需要を探ろうとしているようにも見えます。

さらに、老舗スマートフォンメーカーでありながら自動車メーカー傘下でAIデバイスへ注力しているMeizu(魅族)も、スクエアボディーのAIスマートフォン「Meizu 22 AI」を投入する計画とのうわさがありました。

ただし、1月にリーク情報が出た後は続報がありません。メモリー価格の高騰などを受け、開発が中止または延期された可能性も考えられます。

AIスマートフォンといえば、HONORが発表したジンバルカメラ内蔵の「Robot Phone」も印象的です。カメラを首振りのように動かし、画面上の表情表示と組み合わせることで、擬人的なAIアシスタントを演出することを狙っています。

スマートフォンでAIを使うことが日常になれば、「AIだけ使えればよい」という端末が、かつての「通話とメッセージだけできればよい」というシンプルな携帯電話のような役割を担う可能性もあります。そのとき、ポケットに収まり、片手で扱いやすい正方形デザインが有力な選択肢になるかもしれません。

折りたたみスマートフォンの次にスクエアデザインが広がるのか。それとも一部のニッチなAI端末にとどまるのか。中国市場の動きは、引き続き注目しておきたいところです。


《山根康宏》

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