人気ゲーム『Cyberpunk 2077』の大判資料本『ワールド・オブ・サイバーパンク2077』邦訳版が、Amazon Kindleストアで約90％の499円で販売中です。
『ワールド・オブ・サイバーパンク2077』は、 ポーランドのゲーム会社CD Projekt RED開発の人気ゲーム『Cyberpunk 2077』をビジュアルと文章で解説する資料本。
ゲームの舞台である、超国家企業間の抗争で荒廃した世界を独立系メディアが報じるin gameの体裁で、あの世界が成立するまでの歴史、2077年の世界情勢、日本の『アラサカ』をはじめ巨大企業、インプラント技術『サイバーウェア』がストリートにまで普及したテクノロジー、文化について、そしてゲームの舞台であるナイトシティの各地案内まで、約200ページにわたる非常に濃い内容です。
オープンワールドゲーム『サイバーパンク2077』の世界観の礎は、もともと1980年代末に初版が発行されたアナログのRPG『Cyberpunk 2020』で作られたもの。1988年の初版が2013年の未来を、1990年に出た第二版がシリーズの代名詞となる2020年の世界を扱った内容でした。
コンセプトとしては、ダンジョンズアンドドラゴンズなど剣と魔法の世界が主だったアナログRPGを、当時SF小説の世界で一大ムーブメントだったサイバーパンクの世界観で遊ぼう！のための世界設定とシステム。
小説ジャンルのサイバーパンク自体が、主に米国や西側から見た1980年代当時の世界情勢を戯画化して「異形の未来」を描くことが多かったために、サイバーパンクな2020年は箍の外れた巨大多国籍企業が資本の論理と暴走するテクノロジーでメディアや国家さえ操り人心は荒廃、政治は腐敗し人災天災は起こり放題、画期的な免疫抑制剤と神経インターフェースの発明でそのへんのゴロツキさえサイバーなインプラントを見せびらかし、ついでに旧日本軍の特攻隊の生き残りアラサカ・サブロウが経済の力でアメリカに復讐するため創業した民間軍事会社『アラサカ』が世界有数の勢力となり、分裂したアメリカを舞台にライバル企業と抗争を繰り広げるといった調子です。
この原作にあたる『Cyberpunk』の世界は、アナログゲームの版が進むたび世界設定も進み、最新は2030年代が舞台でした。つまりCD Projekt REDがビデオゲーム化した2077は、このサイバーパンクの世界観でありながら数十年が経過した新しい時代が舞台です。
(ビデオゲーム化の発表時には、なるほど時代を進めるのか、アラサカ家のお家騒動はどう決着がついたのかな、と思ったら、150歳近いはずのサブロウが普通に現役当主でびっくりしましたが)。
『ワールド・オブ・サイバーパンク2077』は、オープンワールド化にあたって起こされた膨大なコンセプトアートを使い、サイバーパンク世界観の最新アップデートである2077を詳しく解説してくれます。ゲームでも多数のサブクエストを通じて世界の様々な面に触れることができ、メインストーリーではキアヌ演じるジョニー・シルバーハンドなどいわゆる原作からの重要人物たちと間近に関わることができましたが、とはいえゲームに含まれていたのは、また主人公の視点から無理なく体験できたのはあの世界のごくごく一部、氷山の一角。
ワールドガイドを読むことで、主人公であるVがゲームの開始時点に至るまでに体験してきたであろう物事を知ることができ、あの世界を探索するゲームプレイにもさらに深みが出てくる、観光案内にも似た本となっています。
(ビジュアル多数のフルカラーとはいえ、ゲームの世界観でさまざまな人物が語ったり記した文章の分量が多く、純粋に絵だけが目当ての場合、絵のための資料としてはもっとあれもこれも見せてくれ、三面図でくれ！となるかもしれません。)
ゲーム『サイバーパンク2077』は、ニンテンドースイッチ2用のアルティメットエディションが発売されたばかり。
続編も開発が進んでおり、地理的な舞台は変わる可能性があるにしても、世界観に惹かれたなら紙版ともども手に入れて損はありません。
