左右分割キーボードKeychron K11 Proから「オリジナル」を作る(小寺信良)

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小寺信良

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ライター/コラムニスト

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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左右分割キーボードKeychron K11 Proから「オリジナル」を作る(小寺信良)
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西田宗千佳さんがあまりにもいいというので、ついコデラも釣られてKeychron K11 Proを購入してしまった。


▲コデラも勢いで購入した「Keychron K11 Pro」

これまでエルゴノミクスキーボードは数々使ってきたが、Alice配列というのは聴いたことがなかった。そもそもAlice配列なるものが登場したのは、自作キーボードがブームになったここ数年のことだろうと思う。

Microsoft Ergonomic KeyboardにしてもKinesisにしても、記事を書く時に当時散々調べたのだが、左右分離型のキーボードはそれぞれの設計者による独自配列なので、名前なんかなかったように思う。それでは互換の面で不便なので、どこかの段階で規格化されたのだろう。

配列の特徴は言うまでもなく、キーが左右に分かれて扇形に並ぶところなのだが、従来のエルゴノミクスキーボードと比べていくつか特徴的な違いがある。

まず上部の数字キーだが、左右の分かれ目が「6」と「7」の間という点だ。この分割点については2つの系統があり、Microsoft Ergonomic Keyboardはここで分かれている。一方Kinesisは「5」と「6」の間で分かれている。

その下のアルファベット列は、「T」と「Y」のところで別れるのはほぼ決まりなのだが、数字キーはアルファベット列から半個分ズレて配列されており、その分かれ目に位置するのが「6」なので、これが右に行くか左に行くかは、ある意味どちらでも成立する。Alice配列は、「6」を左に寄せたようだ。

もう1つの違いは、「B」キーが2つあることだ。これまでの左右分割キーボードでは、どれも「B」は左側と決まっていた。筆者も「B」をタイプするときには左手で違和感はない。ただ初めて左右分割キーボードを使う人にとっては、Bはどちらでタイプするか決めづらいところなのだろう。英語圏ではどうかしらないが、日本語タイプ者にとっては「ば行」の入力以外には使わないだろう。その点では、両方にあるというのは親切ではある。

さてこのK11 Pro、ノートPCに近い平たいキーキャップで、ストロークが浅いメカニカルスイッチを採用している。とは言え、昨今の薄型ノート搭載キーボードよりもストロークは深い。それゆえ底打ち感が軽減され、長時間のタイピングでも疲れにくいという特徴がある。

その一方で、筆者はそれほど外で原稿を書く機会もないので、ノートPCのキーボードはほとんど使っていない。どちらかと言えば、キーキャップだけはフルハイトのほうが馴染みがある。

K11 Pro採用のスイッチは交換はできないが、キーキャップに関してはCherry互換で設計されているという。確かにスイッチの頭を見てみると、十字に切り込みの入ったお馴染みの形状だ。ということは、キーキャップは通常のCherry用のものがはまるということだろう。

▲スイッチの軸はCherry互換

キーキャップだけでも購入できる時代に

そういうことをやっている人がいないかと検索してみたら、K11 Proに限らずKeychronのキーキャップを変更している人はそれなりにいるようだ。ただ、ロープロファイルのキーキャップはフルハイトに交換した人は少ない。ただ1例だけ、noteでやっている人を見つけることができた。

Keychron K11Proのキーキャップ変更

できるとわかればやるだけである。早速Amazonで交換用キーキャップを検索すると、結構な数が出てくる。さすが自作キーボードブーム。以前ならはそんなものは存在もしていなかったはずだ。

見た目はレトロチックなほうがいいなと思い、購入したのが「Large carbon ASA カスタムキーキャップ」という製品。価格も4000円以下でかなりお安い。失敗しても諦めがつく。首都圏ならアキバに行って試したり専門店で相談できたりするのだろうが、こういうときが地方住まいの辛いところである。

というわけで届いたのがこちら。

▲到着したLarge carbon ASA カスタムキーキャップ

フルキーボードにも対応しているようで、ちゃんと10キーも付いている。さらにスペースバーやShiftキーも各種長さが揃っており、これならどうにかはまりそうだ。また特筆すべきは、Bキーがちゃんと2個あることだ。Alice配列の交換も想定されているということだろう。

キー交換、ただし問題も……

キーキャップの交換は、調子に乗って全部いっぺんに外してはいけない。どこにどのキーが填まるのかわからなくなってしまうからだ。なので最初に元の写真を撮っておき、1行ずつ交換していくのが正しい。

というわけで実際にはめ換えたのがこちらである。なかなかカッコイイ。ちゃんとEscとEnterだけ色が違うところも、オリジナルの雰囲気に近い。

▲キートップを全交換して別物に

▲若干テカリがあるキートップ

ただ、問題がゼロというわけでもなかった。特にキースイッチ3つ分を使うキーが難問だ。それというのも、K11 Proではこうした3つ分のキーには、左右にダミーのスイッチが付けられている。

ただこのスイッチ、軸があるだけで中身がないので、平置きすると軸が下に沈んでしまっている。よって、キーキャップ側の穴にしっかりはまらない(軸が穴の奥まで届かない)のである。これではほぼ、真ん中のスイッチ軸のみに乗っかっている格好となる。

▲3連スイッチのキーが問題

該当するのは、BackSpace、Enter、左Shift、左Spaceの4つ。このうち、左Shiftと左Spaceは実用上問題なかった。左側はあまり強く叩かないからかもしれない。

一方右側にあるBackSpaceとEnterは使用頻度が高く、しかも景気よく叩くキーなので、問題が起こりやすい。キーの真ん中を叩けばちゃんと入るが、キーの端を叩くと斜めに押される格好となり、ちゃんと反応しないばかりか、キーが引っかかって上がってこない時がある。

これでは困るというので色々考えた結果、キーキャップの左右の穴に粘着性のゴムの詰め物をして、ゲタを履かせる格好にした。ケーブルの補修等に使う、自己融着するブチルゴムのテープである。これを短く切って丸めたものだ。

▲ブチルゴムを使って穴埋め

キャップをはめ込んでしまうとどうなっているのか見えないので想像するしかないが、おそらく粘着性のゴムが軸を引っ張り上げる格好でくっついているようである。他のキーと比べると、若干打鍵感が甘くなる傾向があるが、今のところ特に問題は出ていない。

もうこの状態で1週間適度使っているが、非常に快適だ。キーキャップに丸い凹みがあり、指のあたりがいいのと、フルキャップながらストロークが浅いメカニカルな薄型キーボードが実現できたということで、これまで使ってきたキーボードにはないフィーリングが楽しめる。

1つ残念なのは、バックライトが光っているのが全然わからなくなった。多分光ってはいるのだろうが、キーキャップがスイッチの上に深く被さっているので、光が漏れ出るスペースがなくなってしまったのだろう。まあ元々それほど当てにしていない機能なので、気にしないことにする。

わざわざ既成品のキーキャップを変えるなど道楽以外の何ものでもないわけだが、こうして規格品なら交換もできるということは勉強になった。これまでキーキャップの印刷が剥げて残念な格好になっているキーボードもあるが、キーキャップだけ交換すればいいという光明も見えてきた。

自作する時間まではなかなか取れないが、せっかくキーボードがパーツで手に入る時代になったわけだから、往年のキーボードのメンテナンスにも利用できるのではないかと思う。


※この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年1月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。コンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もあります。

《小寺信良》

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18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。家電から放送機器まで執筆・評論活動を行なう傍ら、子供の教育と保護者活動の合理化・IT化に取り組む。一般社団法人「インターネットユーザー協会」代表理事。

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