日本が5番目の月着陸国に。探査機「SLIM」が月面着陸に成功、太陽電池にトラブル発生するもバッテリーで正常動作を確認

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Munenori Taniguchi

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日本時間1月20日未明、JAXAの月着陸実証機「SLIM」が、月面への着陸に成功しました。

SLIMは予定どおりの時刻に軌道からの降下を始め、日本時間1月20日午前0時20分頃には月面と降り立ったとみられました。

ただ、着陸が成功したことを示すデータが完全に取得し終わるまでに2時間ほどの時間がかかるとのことで、その間、ライブ配信の視聴者や現場の会見場の人たちはまんじりともせず、待ち続けることになりました。

そしてようやく、午前2時10分からはじまった会見で、JAXAはSLIMが月に着陸したことを確認したと述べました。着陸後も正常に通信ができ、地上からのコマンドにもきちんと応答していることが確認できたとしました。降下中には、予定どおり小型プローブ「LEV-1」および「LEV-2」の分離ができたことも確認済みで、地上と直接通信する能力を持つLEV-1からの通信も正常に行われているとのことです。

ただし、SLIM本体は太陽電池による電力供給ができていないことも確認され、バッテリーによる電力供給に頼る状況になっているとのことです。

会見では「バッテリーによる運用がどこまで続けられるのか」との問いに、ヒーターをオフにするなどの省電力運用を行っているとしつつ、バッテリーだけでは数時間の残量になるとしました。

また太陽電池の復旧作業をするのかとの問いには、時間的に状況の把握をして対策を取ることは難しいとし、日差しの方向が変わって日光が当たれば太陽電池が機能し、バッテリーを使い果たしたあとでもSLIMを再び起動できる可能性はあるとしました。

ちなみに着陸後、記者会見までの間に、スコットランドの天体物理学者Scott Manley氏は、SLIMの着陸時、その場所が予想以上の傾斜地で、着陸と同時に機体が転がってしまったのではないかとの推測を述べていました。

月面では地球時間の約2週間ごとに夜と昼が交互にやってきます。JAXAは会見で、SLIMは月の夜を乗り越えることを目的としてはいないものの、プログラム上は月の夜の時間を乗り越え、再び日が昇ったときに活動再開を試みることも想定していると述べました。

一方、100m精度でのピンポイント着陸が行えたのかどうかについては、まだ必要なデータが揃っていないことからこの明確な返答はせず、会見時点でも様々なデータの収集を進めていることと、分析に時間を要することから、JAXAは後日別途会見を開き、状況を詳細に説明すると述べました。 ただし、感触としてはピンポイント着陸も成功した可能性が高いと示唆しています。

ともあれ現在、日本から打ち上げられた探査機は月面で活動しています。日本は月着陸成功国としてソ連、米国、中国、インドの仲間入りを果たしました。


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