au PAYプリペイドカードが4月に刷新。IC&NFC対応で発行手数料が必要になるも、チャージ残高からの決済手段の豊富さはau PAYが依然リード(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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KDDIの「au PAYプリペイドカード」が、4月にリニューアルされることが発表されました。元々、同カードは「au WALLETカード」として、約10年前の2014年にスタートしたもの。「グッバイ、おサイフ」という刺激的なキャッチコピーも物議を醸しました。

カードを収納するためのお財布は必要では……というツッコミはさておき、プリペイドカードを通じてあらかじめチャージした残高を利用できるサービスとして、目新しかったことは覚えています。

▲au PAYプリペイドカードが、4月に刷新される

マスターカードの決済インフラに乗っているため、サービス開始当初から、利用可能な店舗が多いことも特徴でした。au WALLETはその後、iPhoneのFeliCa搭載に合わせてApple Payに対応。残念ながら現時点でもAndroidには非対応ですが、非接触決済としても利用できるようになりました。

その後、au WALLETはau PAYにサービス名称を切り替え、現在トレンドと言えるコード決済機能が加わりました。その過程で、ポイントもPontaに変更されています。

▲au PAYプリペイドカードの前身であるau WALLETカードは、2014年にサービスを開始した。写真は当時の社長で“田中プロ”こと田中孝司氏(現・会長)とゲストの所ジョージ氏
▲2019年にはコード決済を加えてau PAYへとリニューアルした

FeliCaやNFCに対応した非接触決済やQRコード決済など、その手段が多様化しているau PAYですが、その原点とも言える物理カードのau PAYプリペイドカードは、仕様的に少々古くなっていたのも事実です。

認証方法が磁気ストライプオンリーのため、店舗で利用する際にサインを求められ、手間がかかるのが1つ。磁気ストライプは複製も作りやすいため、セキュリティ的にも難がありました。

また、磁気不良を起こしやすいのも、この方式の欠点と言えるでしょう。最近では、iPhoneのようにスマホの背面に磁石を入れ、アクセサリーを装着しやすくする端末も増えています。うっかりこうした端末の背面にしまってしまうと、磁気が飛んで使えなくなってしまうリスクもありました。

日本ではまだまだ少ないものの、こうした観点から、一部の決済端末では磁気ストライプが非対応になっています。

▲au WALLET時代から、物理カード自体の仕様は変わっておらず、磁気ストライプのみ。昨今のNFC対応やナンバーレスなどのトレンドにはキャッチアップできていなかった

最近では、ICチップとPINコードでの認証が一般的になっているため、au PAYプリペイドカードで支払おうとした際に、店員さんがどう処理していいのか分からない場面に出くわすことも増えてきました。

筆者も、au PAYプリペイドカードを愛用している1人ですが、そのたびに「ここをスワイプしてください」とお願いしている始末。正直なところ、明細の印字を待ってサインをするのも手間なため、ICチップやNFC対応を待ち望んでいました。

こうした要望にこたえ、au PAYプリペイドカードも4月からついにIC&NFC対応になります。

単純に認証方法を増やしただけでなく、券面デザインを刷新し、カード情報は裏面に印字するとのこと。オンラインで使いやすいよう、au PAYアプリでバーチャルカードの発行も始めます。

10年で1週回って、原点であるプリペイドカードが大胆にリニューアルされるというわけです。

▲au PAYアプリ内から、オンラインでの決済に利用可能なバーチャルカードも発行できるようになるという。これに伴い、アプリもリニューアルされる予定だ

ただし、カードが高度化することもあってか、発行手数料が新たに600円かかる見込み。有効期限切れの後の自動更新も2024年6月分で終了します。

セキュリティの観点で詳細はボカしますが、筆者のau PAYプリペイドカードは、有効期限がこれより後に設定されおり、放っておくと、そのまま期限切れで使えなくなります。つまるところ、選択肢は600円払って新カードを発行するか、そのまま放置して有効期限切れを迎えるかの2択です。

一定期限の間に利用した場合、この発行手数料に相当する600円ぶんを還元するとも案内されているため、とりあえず更新してもよさそうですが、2回目以降がどうなるかが分かりません。新au PAYプリペイドカードは有効期限が5年から7年に延長されるので、すぐにお金がかかるわけではないものの、更新ごとに600円と聞くとメリット・デメリットを考える必要も出てくるでしょう。

▲これまでは無料で発行できていたが、新カードは600円の手数料がかかる。6月を最後に、自動更新も終了するため注意が必要だ

ここからは、コード決済や非接触決済が主力になりつつあるなか、物理カードをオプション的な扱いにしたいKDDI側の思惑も見え隠れします。元々は物理カードとして始まった今のau PAYですが、その主軸が変わった今、全員に発行する必要はありません。バーチャルカードのようにコストを抑えた仕組みも導入するため、物理カードを持つ人は減っていく可能性があります。

実際のところ、コード決済に加え、これまでのようにQUICPayやNFCでの決済ができれば、あまり困ることはありません。筆者も、物理カードのau PAYカードで支払う機会はかなり減っているのが事実。それだけ、この10年でキャッシュレス決済が浸透したとも言えるでしょう。役割が終わったわけではないものの、その重要度は以前より落ちていると言えます。

▲iPhoneでは、QUICPayとNFC決済も利用可能。物理カードの重要性は、以前より低くなっている

一方で、同じ残高を物理カードと非接触決済、コード決済で共有しながら利用できるサービスは、まだ多くはありません。ドコモのd払いも同様の方向性を目指していますが未導入。昨年、「d払いタッチ」なる謎の新サービスがサポートページにアップされていましたが、現時点では正式サービスが始まっていません。仮にこれがサービスインしたとしても、物理カードのdカードプリペイドは別建てのまま。au PAYほど、サービスが統合されているわけではありません。

PayPayも、残高を利用できるのは現状、コード決済が中心。物理カードや非接触決済で支払うサービスは用意されていません。楽天ペイも同様です。一か所にチャージした残高をさまざまな決済手段で利用できるという点では、現状、au PAYがもっとも優れています。海外での決済などまで含めると、物理カードは残しておく必要があったと言えそうです。券面のデザインやサービスの詳細は、別途発表されるようですが、その時が今から楽しみです。


《石野純也》

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ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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