iPhone 15用の新素材「ファインウーブン」ケースを分解。6ミクロン繊維の極細綾織、シミには注意

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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アップルはiPhone 15シリーズと同時に、新素材の「ファインウーブン」を使ったアクセサリーを発売しました。

2030年までに全アップル製品をカーボンニュートラルにするとの目標に合わせて、従来のレザー素材と入れ替えたかっこうです。


しかし、アップルのアクセサリ素材としては新しく馴染みがないこともあってか、一部では期待と違った、跡が残るといった不評もあります。大手テックメディアのVergeでは箱から出した直後にすでに少し摩耗しており、爪で付けた擦り傷が消えないなど「very bad」評価でした。

そうした声を受けて、おなじみのiFixitがさっそくiPhone 15用ファインウーブンケースを「分解」したレポートを公開しました

iFixit は修理サービスの企業で、セルフ修理のマニュアルを公開するほか、素材や製法に詳しい専門家による新製品の分解・分析が人気コンテンツ。分解修理用ツールの販売や、複数の大手メーカーと組んで交換パーツの販売もしています。

そのiFixitは、まずデジタル顕微鏡の52倍と490倍でファインウーブン生地を観察。1本1本の繊維は髪の毛(約72ミクロン)よりも細く、約6ミクロン。

この繊維をより合わせて約150ミクロンの太さの糸を構成しており、アップルのいうマイクロツイル(極細綾織)素材であることがよく分かります。

このマイクロツイル素材は、パタゴニアやアークテリクスといったアウトドアブランドの高級ジャケットが採用する生地とほぼ同様の構造とのこと。

パタゴニア製品は少し糸が太く、より緩い織り方のようです(下記画像。左から順にファインウーブン、アークテリクス、パタゴニア)。

また「表面を引っ掻いたときに傷が残る」との声も検証しています。

実際に顕微鏡で拡大してみると、実際には切れてもいないし染料も取れていないものの、ひっかき傷の付いた繊維は不規則に光を反射するため、見た目には痕跡ができてしまうとのこと。また素材が柔らかいため、ケースと一緒に何か他のものをポケットに何かを入れておくと凹みが残りやすいようです。

ファインウーブンケースには撥水処理が施されておらず、液体がしみ込むことは避けられません。コーヒーの場合はあまり跡が残らず蒸発していますが、油やホットソースの染みは繊維の深くに残り、洗剤をつけてこする程度では跡が薄れるものの消すことはできませんでした。

さらにiFixitはケースを切り開き、どのように組み立てられているかを確認しています

まずファインウーブン生地が外側にあり、その下にはグレーのフォーム。そして硬質プラスチックシート、MagSafeハードウェア、白いフォーム、もう1つの硬質プラスチックシート、最後に内側のファインウーブン生地を積み重ねた6層+MagSafe構造。

外側のファインウーブン層は非常に薄く、約0.17mm。織物の厚みは糸の太さによるため、ファインウーブンの糸の細さを反映している格好です。

iFixitは、本製品に使われたファインウーブンの繊維が非常に細く、本当にきちんとしたハイエンド素材だと評しています。しかし、上記のように撥水性はなく液体が染みやすいため、外見が気になるのならば、ケースを置く場所に細心の注意を払うかスコッチガードのような防水スプレーを使う必要があると述べています。(防水コート自体で変色しないか、目立たない箇所で試してください。念のため。)

《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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