100均でも買える!770円以下で手に入るType-CのUSB充電器をチェックしてみました:#てくのじ何でも実験室

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宮里圭介

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

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昔はあれだけあったACアダプターも、今ではUSB充電器に置き換わっています。1つUSB充電器があれば多くの機器で使いまわせるうえ、電圧だのプラグの形状だの極性だのを気にする必要もないというのは便利ですよね。

こういったUSBからの給電で動く機器が増えれば、当然、USB充電器の数も増えます。それはもうわんさかとあって、アマゾンで「USB充電器」などと検索してみると、うんざりするほど見つかるはずです。

とはいえ、最近のUSBといえばType-Cが主流になりつつあり、いまさらType-Aの古い充電器を買うのはちょっと……と考える人は多いでしょう。また、せっかく買うなら5Vだけでなく、9Vなどより高い電圧が出せるUSB PD対応の製品が欲しいところです。

ということで、「なるべく安いType-CのUSB PD充電器」を探すことになるわけですが……これが意外と難しい。20Wくらいの製品で1000円を切っていれば安い方で、うまくセールにあたると800円を切ることがある、みたいな世界です。しかし、そういった製品は中国から直送のマケプレ品だったり、聞いたことないメーカーの製品であることがほとんど。さらに、レビューで怪しいほど高評価を集めていたりすれば、ポチる勇気はありません。

こんな時に頼りになるのが、我らが100円ショップ(の高額商品)。ダイソーでは以前から20WのUSB PD対応電源、しかもType-CとType-Aの両対応という製品が770円(税込)で販売されており、身近で手に入るうえに怪しいマケプレ品より安いことから、一部で人気となっていました。

▲770円と激安のUSB PD対応充電器。「PD」と「QC3.0」の文字が眩しいです

しかしこの製品は最近見かけなくなり、入れ替わるように、Type-Cのみの製品が登場しています。

さすがに今からの入手は困難ですが、他の100円ショップでも取り扱いのある、別のType-C、Type-A両対応電源が同じ770円で売られているので、そちらを選ぶのもありでしょう。

これとは別に、USB PDに対応していないけれどType-C出力の充電器も2種類ほど、550円で売られています。

そろそろ、どんな製品があるのかよくわからず、混乱してきましたか?少なくとも書いてる私は、よくわからなくなってきてます。ということで、ダイソーで目についたType-CのUSB充電器4種類を買い集め、サクッとチェックしてみました。

試すのは、100円ショップで購入した4つとAliExpressで買った怪しい製品

今回チェックしたのは、ダイソーで購入した製品3つと、ダイソーだけでなく別の100円ショップでも売られている製品1つ、そして、AliExpressで購入した怪しい製品1つの合計5つ。ひとつずつ紹介していきましょう。

まずはダイソーで売られているもののうち、USB PDに対応していないもの2つです。

▲「3.0A」という電流値が強調されたUSB電源。株式会社ラティーノの製品
▲こちらは「15W」を強調。同じことですけど。テラ・インターナショナル(株)の製品

最初、パッケージ違いかと思ったのですが、パッケージではなく製品の会社名表記を見ると、異なる製品だということが分かったので2つとも試すことにしました。

製品名は「ACアダプタ(急速充電対応、タイプC、3.0A)」と「急速充電対応ACアダプタ(Type-C、15W)」です。が、これで呼ぶのは厳しいので、それぞれの会社名から、前者を「ラティーノ 15W」、後者を「テラ 15W」と呼ぶことにします。価格はいずれも550円です。

続いて、Type-Cのみの20W USB PD対応充電器となる製品が、「急速充電ACアダプタ(USB POWER DELIVERY、20W)」です。

▲たぶん、現在ダイソーで主力のUSB PD対応充電器。テラ・インターナショナル(株)の製品で、見た目そっくりです

これも名前が長いので、会社名から「テラPD 20W」と呼ぶことにします。価格は770円。

実はもうひとつ、同じ20WでUSB PD対応の製品があるのですが、これは単なるパッケージ違いでした。中身を確認しましたが、製品自体は同じものです。

▲新顔か!?と焦りましたが、パッケージ違いだったので一安心

ダイソーだけでなく、他の100円ショップでも扱いがあるUSB PD対応充電器が、「超速充電器PD+Quick Charge 2ポート 20W」。

▲ダイソー以外でも売られているため、入手性ではこちらが上

ecolaブランドの製品ですが、会社名はラティーノ。これは品番が書かれていたので、そのまま「E-PD-J1」と呼ぶことにします。価格は770円です。

最後はおまけ的ですが、AliExpressを眺めていたら、「GaN 65W」と書かれている710円(購入時)の製品を見つけてしまい、思わずポチったものがあるので一緒に試してみました。

▲見た目だけはUSB PD対応の65W充電器のような製品です

どこに惹かれたかというと、製品名には65Wとあるのに、製品詳細では「QC3.0-18W」「PD3.0-25W」「43W Fast」みたいなことが書いてあるところです。どう見ても65Wではなく、見るからに表記詐欺みたいなところが気に入りました。

そもそも、本当に65W出力あるなら2000円くらいしますからね。値段からしてあからさまで、「わかるだろ」といわんばかりです。

▲65Wはウソなんですが、評価の高さに驚きます

こちらも品番があったので、「SDC-65W」と呼ぶことにします。

以上、5製品の実性能をチェックしていきます。

製品に刻まれている仕様と実仕様を見比べてみる

それぞれの性能が気になるところですが、まずは基本情報として、どんな仕様なのかをチェックしてみましょう。この手の激安品では、実仕様が公称通りかどうかが最初のチェックポイントになります。以前、USB PD対応と書かれてるのに対応していなかった製品とかありましたしね。


公称の仕様はWebサイトの製品ページ、パッケージ外装、製品への記載と3か所ほどで確認できますが、SDC-65Wを除き、どの製品も数値が一致していました。SDC-65Wは、そもそも仕様が怪しいから選んだので、一致するわけないんですけどね。なのでこれだけは、製品記載の仕様だけを採用しています。

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

記載仕様

5V

3.0A

3.0A

3.0A

3.0A

3A

9V

----

----

2.22A

2.22A

3A

12V

----

----

1.67A

1.66A

3A

15V

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----

----

----

3A

20V

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----

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3.25A

PPS 3.3-5.9V

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PPS 3.3-11.0V

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最上段にある画像は、各充電器の仕様記載部アップ。詳しく見たい人はタップorクリックしてみてください。表中の数値と同じなので、見なくても大丈夫ですけど。

この公称仕様が製品の基本。これと実仕様がどこまで一致するのかが、見ていくべきポイントです。

実仕様は、手持ちの簡易USBテスター「AVHzY CT-2」で調べます。これはスマホメーカー各社の高速充電機能のチェックが可能なほか、USB PDで利用可能な出力設定となるPDO(Power Data Object)を確認できるからです。

すでに後継の「AVHzY CT-3」が出てだいぶ経ちますし、そこそこ古い製品なんですが、機能的にはCT-2でもとくに問題ないので買い換えずに使っています。

最初の調べる実仕様として、最も気になるUSB PDでの仕様をPDOで確認してみましょう。

▲PDOを確認するとこんな感じに、出力可能な電圧と電流がわかります

この結果を表にまとめると、以下のようになりました。公称と異なる部分は、太文字にしています。

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

5V

----

----

3.00A

3.00A

3.00A

9V

----

----

2.22A

2.22A

2.78A

12V

----

----

1.67A

1.66A

2.08A

15V

----

----

----

----

----

20V

----

----

----

----

----

PPS 3.3-5.9V

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----

----

3.00A

PPS 3.3-11.0V

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----

2.00A

2.25A

ラティーノ 15Wとテラ 15WはUSB PDに対応していませんので、当然ながらPDOはナシ。テラPD 20Wは公称通りの仕様となっていることが確認できました。

驚いたのは、E-PD-J1。5V/9V/12Vにおいては公称通りなんですが、なんと、追加でPPSにも対応しています。PPSは「Programmable Power Supply」の略で、電流だけでなく電圧も小刻みに変化させ、電力効率を高めてくれる機能。実仕様での追加は、ちょっとおトクな気がします。

ただし、よく見ると最大11.0Vで2.00A、つまり、22Wまで出力可能となっているのは気になるところ。本来20Wの充電器ですから、オーバーしています。また、今回試したものではPPSが使えるとはいえ、公称外の仕様。製品のロットによっては、対応しない可能性がある点には注意が必要です。

固いこと言いましたが、純粋にPPS対応はうれしいですね。

期待通りにめちゃくちゃだったのが、SDC-65W。製品記載の公称仕様では65W出力かのような数値が並んでいましたが、実際のPDOは25W相当。15Vも20Vも出力できず、仕様詐欺確定です。

とはいえ、2通りのPPSに対応しているなど、25Wの充電器と考えればなかなか悪くない内容です。まあ、これもあくまでPDOの返す値がそうだっていうだけで、実際にこの出力が可能かどうかは別問題ですけど。

もうひとつ、実仕様としてチェックしておきたいのが、スマホメーカー各社の高速充電への対応です。ちゃんと全部リストにするのは面倒かつ見づらくなるので、主要なものだけに絞りました。ここでは、「Apple」と「DCP」、「Quick Charge 2.0」、「Quick Charge 3.0」の4種類をチェックします。

それぞれの概略を簡単に説明しておくと、AppleというのはiPhoneやiPadなどの充電で使われる独自の電力供給機能。Type-Aで採用されているものなので、電圧は5V固定で、最大12W……つまり2.4Aまで対応しています。

DCPというのは、「Dedicated Charging Port」の略で、USB BCのひとつ。今回のようなUSB充電器やモバイルバッテリーでの採用が多く、主にUSB PD対応以前のAndroid機での高速充電で使われます。こちらも5V固定で、最大1.5A出力と規格で決まっています。

Quick Charge 2.0は、Qualcomm社が開発した高速充電機能。5Vでは難しい高電力供給を実現するため、9V/12V/20Vでの充電を可能としています。電流は最大3.0A。「QC 2.0」と略されることが多いです。

Quick Charge 3.0は、QC 2.0と同じくQualcomm社が開発した高速充電機能。電圧を小刻みに変更可能で、USB PDのPPSと同様に電力効率を高められる方式です。こちらは「QC 3.0」と略されます。

▲CT-2では「Auto Enumerate」という機能で、高速充電機能への対応が調べられます

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

Apple

2.4A

2.4A*

2.4A

2.4A

2.4A

DCP

1.5A

1.5A

1.5A

1.5A

1.5A*

QC3.0

----

----

3.6-12.0V

3.6-12.0V

----

QC2.0

----

----

9V/12V

9V/12V*

----

「*」を付けているのは、Auto Enumerateでうまく確認できなかったものです。手元のCT-2は調子があまり良くないのか、たまにこういうことがあります。とはいえ、ケーブルの交換、別の簡易USBテスターを挟む、トリガー機能を使うといった方法を駆使し、機能そのものは確認しています。

Type-Cとはいえ、AppleとDCPに関してはどれも対応しており、最低限の高速充電機能は装備している、という感じでしょうか。扱いが困るのは、QC 2.0とQC 3.0への対応です。

そもそもUSB PDでは、他の高速充電機能による電圧の変更は禁止されています。つまり、テラPD 20WやE-PD-J1のように、QC 2.0/QC 3.0で電圧を変化させるのは規格外となります。

では、これらの製品がひどいのかといえばそうではなく、大手有名メーカーを含む多くのUSB PD対応充電器が、QC 2.0/QC 3.0にも対応しています。「規格外だけどよくある普通のヤツ」とでもいうのでしょうか。

その点、SDC-65WではQC 2.0とQC 3.0は非対応となっており、怪しい充電器なのに真面目に規格を守っているというのが面白いところ。なお、SDC-65WはType-A出力もあるのですが、こちらでちゃんとQC 2.0とQC 3.0に対応しています。ちゃんと使い分けてて偉い。

無負荷/1.5A/最大負荷時の電圧をチェック

実性能として気になるのは、仕様通りの出力がまともにできるかという点に尽きます。これを調べる方法は簡単で、電子負荷で電流値を変化させ、電圧がどのように変化するかを見れば判断できます。

なぜ電圧の変化で判断できるかを簡単に説明しておきましょう。まず、出力となる電力は電流×電圧で求められるので、出力が無限大の場合、電流を増やすと素直に電力が伸びていくことになります。

これに対し出力が不十分な場合、電流を増やしたところで電力が頭打ちになるため、電流を増やしたぶん電圧が下がることになります。例えば出力が10Wまでの場合、電圧を5Vとすれば電流は2Aまで素直に出力できるハズです。しかし2.5Aまで出そうとすれば、10W÷2.5A=4Vという計算からわかる通り、電圧は4Vまで下がってしまいます。電流だけ見ると増えていますが、電力は変わらないわけです。

つまり、公称仕様の出力まで電流を引いたときに電圧の降下が大きければ、仕様を満たしていないとわかるわけですね。

なお、最大出力まで電圧が一定であるのが理想ですが、実際は、電流が増えると多少は落ちていきます。あまり極端に落ちていなければセーフという点を考慮しつつ、実験してみましょう。

電圧と電流の計測は、引き続き簡易USBテスターのCT-2を使用。無負荷時、中負荷としてDCPと同じ1.5A出力時、高負荷として仕様にある最大電流量場合の3パターンで電圧を測りました。

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

5V

3.0A

3.0A

3.00A

3.00A

3.00A

9V

----

----

2.22A

2.22A

2.78A

12V

----

----

1.67A

1.66A

2.08A

PPS 3.3-5.9V

----

----

----

----

3.00A

PPS 3.3-11.0V

----

----

----

2.00A

2.25A

こちらが仕様上の最大電流をまとめたもの。ここまで電流を引きます。なお、今回はあくまでType-C出力にこだわっているため、USB PDの仕様外となるQuick Chargeは割愛。

まずは無負荷の状態から。

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

5V

5.07V

5.12V

5.01V

4.98V

5.16V

9V

----

----

9.12V

9.01V

9.10V

12V

----

----

12.19V

12.03V

12.10V

PPS 3.3-5.9V

----

----

----

----

3.55-5.89V

PPS 3.3-11.0V

----

----

----

3.74-11.00V

3.53-10.98V

無負荷だと若干電圧が不安定になるかなと思ってましたが、特にそんなことはなく、どの電源も仕様通りの電圧になっている感じです。ただし、PPS出力では低い方の電圧が下がりきっていないのが気になりました。とはいえ無負荷ですからね。そこまで気にする必要はないでしょう。

続いて中負荷となる、1.5A時です。

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

5V

4.97V

4.91V

4.91V

4.87V

5.10V

9V

----

----

9.02V

8.89V

9.05V

12V

----

----

12.09V

11.84V

12.05V

PPS 3.3-5.9V

----

----

----

----

3.11-5.69V

PPS 3.3-11.0V

----

----

----

3.40-10.82V

3.11-10.79V

5Vの電圧が少し下がっている充電器がありますが、そこまで大きな下落ではないため許容範囲内。USB PD対応の3つは、9V、12Vともになかなか良好な結果となっています。ただし、SDC-65WのPPSは若干電圧が低めとなっていました。

最後が高負荷、最大電流時です。

 

ラティーノ 15W

テラ 15W

テラPD 20W

E-PD-J1

SDC-65W

5V

4.77V

4.83V

4.80V

4.77V

5.04V

9V

----

----

8.96V

8.86V

9.00V

12V

----

----

12.07V

11.82V

12.01V

PPS 3.3-5.9V

----

----

----

----

2.97-5.48V

PPS 3.3-11.0V

----

----

----

3.33-10.77V

3.02-10.68V

もっと電圧が下がる充電器があるかと思ったのですが、5Vで見るとラティーノ 15WとE-PD-J1の4.77Vが最低。とはいえ、5V比でいえば5%も変わっておらず、なかなか優秀な結果ではないでしょうか。

驚いたのは、USB PD対応の3つ。9V、12Vともにほぼ仕様通りとなっており、5V出力以上にしっかりと出力できていました。とくにSDC-65Wは、かなり正確です。仕様詐欺の怪しい製品なのに……。ただし、やはりPPSは厳しいようで、3.3Vでは3Vを切ってしまっていました。低電圧で高電流引く使い方が悪いといえばそれまでなんですが、一応、実験結果として気にしておきたいところです。

E-PD-J1のPPSは仕様外となるものの、健闘していいます。さすがに11V2.00Aでは電圧が落ち、10.77Vとなってしまっていますが、電力換算でいうと21.54W。20W充電器としては頑張っていると思います。

古いUSBオシロでノイズを確認しようとするも、性能が低く評価できず

仕様に関するものはこれで大体確認できましたが、ほかに充電器で気になることといえばノイズがあります。とくに安価なスイッチング電源では、出力に瞬間的なスパイクノイズがのることがあり、この振れ幅が大きいと機器に悪影響を及ぼす危険があります。

スイッチング周波数は数十kHz~数百kHzが通常なので、このあたりの波形を見てやれば評価できる……ハズなんですが、ウチにあった安物簡易USBオシロスコープでは、見れてもせいぜい10kHzくらいが限界。話になりませんでした。

それでも見ないよりましかなと思い、別のACアダプターで試したところ、確かにスパイクノイズらしきものがあります。ピークの上下幅を見てみると、12Vに対して3V前後。結構大ききなノイズがあることがわかりました。

▲髭のように上下に伸びているのがノイズです

どこから出てきたノイズなのかよくわかりませんが、それなりのノイズがあるのは確かです。

ということで、このACアダプターでそれっぽいノイズが見えるなら、今回のUSB充電器5つでもなにか出てくるかも……と思って一応測ったのですが、これといったノイズはなし。測定できたピークの上下幅も1V以下と小さいですし、おかしなノイズはなさそうです。

もちろん、明らかに簡易USBオシロスコープの性能が足りてないため断定はできないのですが、そこまで酷いことはないでしょう。

価格差を考えると、買いはUSB PD対応の2製品

主にダイソーで売られているType-C出力のUSB充電器をチェックしましたが、どれもわりとちゃんと出力できるんだな、というのが個人的な感想です。もっとひどいものが混じっていると思っていたもので、その点意外でした。

とはいえ、せっかくType-Cなのに5V固定の2製品を買うのはあまり意味がありません。3A出力できるとはいえ、スマホなどの機器から要求されるのは2.4Aまでであり、無理に電流を引っ張らない限り意味が薄いからです。

それなら、たった220円の価格差でUSB PDに対応し、最大20Wまで出力可能なテラPD 20Wや、Type-A出力まで備え、なぜかPPSにも対応しているE-PD-J1を選ぶほうがいいでしょう。最近はUSB PD対応のモバイルバッテリーもありますし、スマホよりバッテリーの大きなタブレットの充電でも活躍してくれますしね。

どちらがいいかは、難しいところ。Type-Aに魅力を感じるならE-PD-J1ですが、高負荷時の電圧の安定性でいえば、テラPD 20Wのほうがわずかに上回ります。個人的にPPSはあまり信じてないので、どちらか1つ選べと言われたら、テラPD 20Wを取りそうです。

▲Type-Aが不要であれば、Type-CのみのテラPD 20Wでよさそう

仕様詐欺のAliExpressで購入したSDC-65Wも、65Wではなく25Wの充電器として考えれば、そこまで悪くない……というか、むしろちゃんとした製品にすら見えてきます。USB充電器の価格競争が激しくなった結果、品質の底上げにつながったのでしょうか。今回届いた品がたまたまマシだった可能性は否定できませんが。

オススメはできませんが、試して遊ぶ分には楽しめます。そうそう、入っていた袋の裏面が面白かったので、ついでに紹介しておきますね。

▲なんというか、AliExpressの激安品っぽいなって思いました

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