NASA、落ちてくるハッブル宇宙望遠鏡を押し上げ延命させる提案を民間から募集

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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NASAは、民間宇宙船を使い、低下してきたハッブル宇宙望遠鏡の軌道を押し上げる可能性について民間からアイデアを募る情報提供依頼(request for information:RFI)を開始しました。受付期間は2023年1月24日までとなっています。

2022年9月には、資産家・ビジネスマンのJared Isaacman氏が率いる民間有人飛行イニシアチブ「Polaris」プログラムからの、ハッブルの軌道修正(リブースト)を行うという提案を、NASAとSpaceXが検討に入ったことが報じられていました。ちなみにIsaacman氏はSpaceX・Crew Dragonによる民間人のみの宇宙飛行ミッション「Inspiration 4」の搭乗メンバーでした。

これまでは基本的に、ハッブル宇宙望遠鏡とSpaceXのCrew Dragon宇宙船をランデブー~ドッキングさせる可能性を評価していました。しかし今回の情報提供依頼ではハッブルを押し上げるための宇宙船やミッション内容を、他の民間企業が提案できるようになっています。また当初から、このアイデアは使用する宇宙船をSpaceXのものに限定しない、オープンな検討調査事項だとされていました。なお、NASAは今後のハッブルのリブーストに関して資金を提供する計画はないとしており、情報提供依頼は、その商業的可能性を理解するのに役立つように設計されているとのことです。

1990年に運用を開始し、30年以上も宇宙の写真を撮り続けてきたハッブル宇宙望遠鏡は、国際宇宙ステーション(ISS)よりもさらに上空にあります。しかし、推進力を持たないハッブルは、時間の経過とともに徐々に高度を下げてしまう運命にあり、過去にはスペースシャトルによって行われた5回の修理ミッションで、その高度を押し上げる「リブースト」作業も行われていました。

しかし、NASAは2011年にシャトルの運用を終了(シャトルによるハッブル宇宙望遠鏡の修理は2009年が最後)。それ以来ハッブルの物理的なメンテナンス作業は行われておらず、その高度も当初の約600kmから現在は約540kmにまで降下してきています。もし、今回の依頼調査を経て、ハッブルの高度を押し上げることが実現すれば、このベテラン宇宙望遠鏡の退役の時期をさらに数年間遅らせることが可能になります。

NASA本部科学ミッション局の副管理者Thomas Zurbuchen氏は情報提供依頼についてリリースで「この研究は、NASAが官民のパートナーシップを通じて模索している革新的なアプローチの、興味深い例のひとつだ」と述べています。またSpaceX社の顧客統括部門VPのJessica Jensen氏は「ハッブルへのサービス提供のようなミッションは、宇宙での能力を拡大し、最終的に宇宙を行き来する多惑星文明になるという我々の目標の達成を後押しします」とコメントしました。


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《Munenori Taniguchi》
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