イーロン・マスク、Twitterにシャドウバン確認機能を追加へ。理由と異議申し立て方法も案内

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イーロン・マスク、Twitterにシャドウバン確認機能を追加へ。理由と異議申し立て方法も案内
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Twitterを買収しCEOに就任した実業家イーロン・マスクが、「シャドウバン」されているかなどアカウントの状況をユーザーが自分で確認できるアップデートを予告しました。

アップデート後はTwitterユーザーが自分のアカウントについて、いわゆる「シャドウバン」の対象になっているかどうか、なっていればその理由を確認できるようになるとともに、異議申し立ての方法も提供されます。

「シャドウバン」とは、アカウントにはアクセスできてツイートもできる、つまりアカウント停止 / BAN はされていないにもかかわらず、ツイートやアカウントが他の人に表示されない・見つかりにくい状態を指す俗語。特にTwitter用語というわけでもなく、他のさまざまなSNSや掲示板、コメント欄等で使われる同等の措置を指す場合もあります。

旧Twitter は最後までシャドウバンの存在を認めませんでしたが、プラットフォーム上での表示されやすさやリーチ(どこまで広まるか)を格付けする仕組みはあり、アカウントの言動によってはリーチを制限する「ランク付け」をしていたことは認めています。

言い方が違うだけでやっぱりシャドウバンしてたじゃないか!と非難を浴びたのも無理からぬところですが、とはいえ「シャドウバン」自体がTwitter側の用語ではなく、厳密な定義があるわけでもありません。

Twitterとしては「ツイートはできるが「全く」他の人から見えない状態をシャドウバンと呼ぶ、そうした対応はしていないので事実無根である、なぜなら少なくとも、直接のフォロワーで最新ツイート表示にしていれば、あるいは投稿したユーザーのプロフィールから辿れば見えるから」といった論理でシャドウバンの存在を否定していました。

わざわざプロフィール画面から探さないと見えないのでは存在しないも同然な気がしますが、ともかくもこうした説明です。

一方、Twitterを絶対許さない構えのユーザー側からは検索でサジェスト候補に含まれなかったり、もとから「アルゴリズム」で主だったツイートを取捨選択リミックス表示する「ホーム」表示で見えにくくなることもシャドウバンに含める場合があり、微妙なすれ違いがありました。

「ランク付け」については、タイムラインをユーザーにとって関連性の高いものにするために(建前)、言い方を変えれば広告を含む表示回数やエンゲージメントを稼ぐために導入されたアルゴリズムとして、フォローフォロワー関係で近いアカウントのツイートや、Likeを集めたツイートは表示されやすくなったり、逆に多数のユーザーからブロックされたりミュートされたりルール違反を通報されたツイートは表示されにくくなる等は存在しています。

イーロン・マスクはカジュアルに「シャドウバン」状況を確認できるようにする、とツイートしていますが、つまりはこのようにリーチで制限がかけられた状況、現在のランクを確認できるようにする意味だと思われます。

言論の自由絶対主義者を自称し、かつて凍結されたアカウントを次々と復活させたイーロン・マスクなら、シャドウバンは旧Twitter経営陣による不正操作であり二度とやらせません、とでも宣言しそうに思えるかもしれませんが、逆に今後は明確にシャドウバンまたは「リーチ制限」をツイート単位で実施することを宣言しています。

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これは前述の凍結アカウント復活とも関連するもので、新たなツイッターの方針では「表現の自由はリーチの自由ではない」と称して、ネガティブなツイートやヘイト発言は(アカウントを凍結するかわりに)最大限にランクを下げる(max deboost)する、意図的に探さない限り目に触れないようにすると説明しています。

「探さないかぎり見つからない」が具体的にどのような状態かはまだ分かりませんが、従来のいわゆるシャドウバンそのまま、プロフィール画面からツイート一覧を辿らないと見えない処置を指しているとも解釈できます。

「シャドウバン状態を確認できるようにします」とは、結局「シャドウバンしてたしこれからもします」宣言ではありますが、とはいえその理由を確認できるようになるのは大きな進歩。

いわゆるシャドウバンの大きな問題として、リーチや露出が制限されることよりも、自分がその状態になっているか分からない、なぜそうなったのか、どうすれば回復できるのか分からないという点があります。

イーロン・マスクの「ヘイト発言も消したりアカウント凍結はしないけれどシャドウバンします」方針が今後どう転ぶか、表現の自由の守護聖人と信じて称賛してきたフォロワーから裏切者扱いされないか、ツイッターの収入の大半を占める広告の出稿企業を安心させるか、App Storeなど配信プラットフォームや政治からの圧力をかわせるかはまだ分かりませんが、外部のチェッカーを使わず自分のステータスを確認でき、原因も把握でき、訴える先が用意されるならば大きな進歩です。

《Ittousai》

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