「空飛ぶ電気自動車」Xpeng AeroHT X3 が初飛行。重さ約2トンの車体が浮上

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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「空飛ぶ電気自動車」Xpeng AeroHT X3 が初飛行。重さ約2トンの車体が浮上

中国のEVメーカーXPengの関連会社Xpeng AeroHTが、電気自動車にマルチコプターシステムを搭載した開発コード名「X3」の初飛行に成功しました。

新しい空の交通手段として注目されるeVTOLは、よくフライングタクシーや、フライングカー、日本語では空飛ぶクルマなどと呼ばれます。しかし実際のところ、それらの多くは単なる少人数向けマルチコプターであり、自動車として公道を走れるものはほとんどありません。もし公道を走行できたとしても、サイズ的な問題があったり、軽量化を優先するために強度を犠牲にした特殊車両的な扱いにすることで公道走行を可能にしたりしています。

一方、昨年12月に公開されたコンセプト「HT Aero」は、未来的なスポーツカーに2つの巨大なローターを取り付けたSF映画の中に登場するようなデザインでした。ただ、あくまでもコンセプト的なデザインは安全性や技術的な面をそれほど考慮していません。

そのせいか、今回の試験飛行用モデルのX3では、ローター経を小さくしつつ数を増やすことで揚力を確保しながら、実際にクルマの上にコンパクトに収納できるように、複雑な機構を備えたものに更新されました。自動車の部分もどちらかと言えばSUVやラリーカー的な雰囲気のものになっています。

とはいえ、その自動車の部分がちゃんとした「自動車」であるというコンセプトは維持しており、高速道路も走れる走行性能を持ちながら、たとえば大きな川を渡る橋が渋滞している場合は、垂直離陸して向こう岸へ降り立てる、真の「空飛ぶクルマ」の実現を目標としています。

ウィークポイントと言えるのは、自動車部分の重量が普通の自動車と同じぐらい重たいところでしょう。eVTOLに限らず、重力に逆らって空中に浮上する航空機は、エネルギー消費などの観点から軽量さを突き詰めた設計になるのが普通です。しかしX3の場合は、自動車の部分はごく普通の電気自動車で、車重は1936kgもあります。これに約560kgのローター部分を装備しているため、X3の飛行時間は約35分にとどまります。

なお、今回初飛行を行ったプロトタイプはeVTOLシステムがまだ固定式で折りたたむことはできません。それでも初飛行の様子を捉えた動画では、ガレージから自力で出て離陸、ホバリング、水平飛行、着陸といった一連のメニューを難なくこなしています。気になる信頼性の確保状況ですtが、AeroHTによればこちらも複数回のテストで故障対策をしっかりと行っているとのことです。


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《Munenori Taniguchi》
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