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第二世代AirPods Pro先行レビュー。最上級の広帯域ノイキャン、音質も明確に進歩(本田雅一)

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本田雅一

本田雅一

ジャーナリスト/コラムニスト

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ネット社会、スマホなどテック製品のトレンドを分析、コラムを執筆するネット/デジタルトレンド分析家。ネットやテックデバイスの普及を背景にした、現代のさまざまな社会問題やトレンドについて、テクノロジ、ビジネス、コンシューマなど多様な視点から森羅万象さまざまなジャンルを分析。

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第二世代AirPods Pro先行レビュー。最上級の広帯域ノイキャン、音質も明確に進歩(本田雅一)
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完全ワイヤレスイヤホンの中で圧倒的に売れまくっているのがAirPodsシリーズ。その中核モデルであるAirPods Proが第二世代になった。すでに発表済みのためその機能については、ほとんどの読者が把握しているのではないだろうか。

いや、実のところ外観の変更がほとんどないこともあって「どうせそう大きくは変わらないだろう」と思っているかもしれない。

製品としての位置付けは大きく変わっていないのでその通りなのだが、実際には全方位的に品質が磨かれたことで、iPhoneユーザーにとって極めて魅力的な選択肢に進化した。

細かな部分に言及すれば数多くの改良点があるが、第二世代AirPods Proに関しては、音質とアクティブノイズキャンセリング(ANC)、それに環境音を取り込んでAirPods Proから再生させる透過モードの改良など、使い始めてみれば明らかな進化が感じられる。

発売前日の今日、レビュー記事掲載が可能なタイミングで多くの記事を見かけると思うが、ここでは少し異なる視点からこの製品について言及しておきたい。

"ハイレゾに対応していない"="音質が悪い"ではない

昨今、イヤホンやヘッドフォンの主流がワイヤレスになってきたことで、LDACやaptX HDなどのハイレゾ対応コーデックが利用できない製品は音質を語るべきではないという極端な意見を耳にすることがある。

AirPods Proの場合、AAC 256kbpsでシステムと接続される。音声コーデックそのもののポテンシャルは当然ハイレゾ対応コーデックのほうが高い。しかし、ハイレゾ対応コーデック、例えばLDACにしても接続時の環境によって実レートが変化する上、消費電力のことを考えるならば(特にバッテリー容量が限られるイヤホンの場合)必ずしも有利とは言えないだろう。もちろん将来的には問題も解決するかもしれないが、それは今ではない。

加えて、音質はコーデックだけで決まるものでもない。特別なソフトウェアを使えば話は別だが、一般的な音楽再生アプリで音楽を楽しむ場合、アプリが出力する音楽信号はいったんコーデックが解かれてOSのミキサーを通過した後、ワイヤレスコーデックで圧縮されてイヤホンに届く。

この時のエンコーダの質で音質が大きく変わる。実際、AACの場合は端末ごとの音質差が大きく、例えば「Android端末」といってもメーカーによってエンコーダそのもの、あるいは使い方が異なる場合がある。中にはローパスフィルタでパッツリと上の帯域がなくなっていたものも、数年前にはあったほどだ。

信号を受け取った側のイヤホンも、そのコーデックを再量子化してイヤホン内で音量調整やイコライジングなどの信号処理が施され、ANC付きならばキャンセリング信号と合成されて出力することになる。

このほかにもドライバユニットの設計、アンプの設計、そしてイヤホン全体の音響特性など、実に多くに要素が音質に関連しており、ワイヤレス伝送コーデックはそのごく一部でしかない。

さらに言うと、LDACやaptX HDなどはBluetoothのマンダトリー(必須)仕様に含まれていないため、対応する端末が限られることも挙げられる。もちろん、アップルはiOSを提供しているのだから、ハイレゾのワイヤレス伝送コーデックを開発してセットで提供すればいいではないか? という意見もあるかもしれないが、そもそも環境騒音が大きな場所で移動しながら使うことが多いイヤホンにおいて、そうした議論に大きな意味があるとは思えない。

このことは、AAC伝送であっても良い音質体験を提供できると証明したAirPods Maxからもわかるのではないだろうか。AirPods Proもそうだが、アップル製品との接続を前提に設計されているため、エンコード側、デコード側の信号処理なども含め、トータルでの音質向上を行っている。

圧縮で失われる音楽情報が少ない方が良いことは間違いないが、ではAACだからダメなのかというと、そう簡単な話ではないということだ。

ノイズキャンセリングが本当に2倍!に感じられる理由

第二世代AirPods ProのANCに関して、ノイズ低減能力が2倍になったと言うが「3dBしか改善されていないのでたいしたことはない」という意見もある。

しかし、アップルは3dB改善という話は一度もしていない。何dB改善したかという数字は、体験的には余り意味がないから、話すことをしていないのだと思う。

実のところANC搭載イヤホンは、どの製品でも40dB前後のノイズキャンセリング能力を備えている。これは特定周波数におけるピーク値であり、それぞれの製品には得意な周波数帯がある。ノイズをどのぐらい低減してくれるかは、ノイズの種類やノイズを構成する周波数の分布でも感じ方が変化するため、定量的に推し量るのは難しい。

アップルは今回、Apple Watchのノイズアプリで環境騒音、第二世代AirPods Proで低減した騒音の大きさを比較できるようにしたが、このアプリからわかるのはおおよそ20~24dBの騒音を減じているということ。

この環境騒音の算定基準はよくわからないが、実際に装着して街中を歩いてみれば、なるほどと思うはずだ。2倍と言ってもエネルギー的には「3dBの改善」と考えてしまうかもしれないが、この考え方では今回の改良の実態を正しく伝えられない。というのも、第二世代AirPods Proは、初代AirPods Proや他メーカーの製品と比べてみても、特定周波数のノイズ低減ピークではなく、広い周波数帯にわたって幅広い低減効果を発揮してくれるからだ。

ANC付きイヤホンの大多数は高域よりの音を消すことが不得手だが、第二世代AirPods Proは、カフェの中であれば他人の話し声が大幅に小さくなるし、電車の中ではより積極的に低域以外のノイズも消してくれる。ノイズ全体の分量が半分ぐらいと言われれば、「確かにその通り」とみんな感じるのではないだろうか。広帯域で満遍なく効くという意味では、完全ワイヤレスイヤホンの中では間違いなくトップだろう。

低域の質と量が改善し、高域の情報もしっかり出始めた

音質の話になると、あの製品はもっと音がいい、こっちの方がこんなジャンルに向いているという話になりがちだ。

ちなみに筆者は現行製品の中では、Bang & OlfsenのBeoplay EX(イーテン)が好みだ。腰の座った躍動感ある低域に明瞭な中域、抜けよく爽やかな印象の高域にかけての表現が心地よいと思う。また、S/N感よく音場の見通しも良いソニーのWF-1000XM4も魅力的だ。音場の消え際のグラデーションが丁寧に描かれ、静かな楽曲では音源のまわりにフワッと広がるニュアンスが浮き上がる。

▲右が第二世代AirPods Pro、左は初代

それで第二世代AirPods Proはどうかと言えば、やはりアップルの音だ。あくまでもニュートラル。そして闇雲に情報量を引き出そうとして、小型ワイヤレス機器につきもののノイズや歪みが顔をのぞかせるなんてことはない。そんな邪魔な要素が顔を出すぐらいなら、ダンプしてしまえとばかりに"整地"してしまうから、そこには風情のようなものが残らない。

▲右が第二世代AirPods Pro、左は初代

一方、クリーンで耳あたりがよく、パッと聞いて誰もが悪い気がしない音。あくまでもイメージだが、アップルの音はそのような印象だったが、第二世代AirPods Proでは明らかに一歩進んだ。

アップル製品の中でもAirPods Maxは特別で、ニュートラルを絵に描いたようなアップルのサウンドカラーはそのままに、広帯域に歪みの少ない音を聴かせてくれた。そこに作り手の明確な意思や情熱は感じられないが、透明な視界の先に細かな情報が浮かび上がる音作りだった。

第二世代AirPods Proは、ハードウェア形態そのものが異なるため、その領域にまで至っているわけではない。しかしシステム全体のS/Nが改善し、力感と弾力に富んだスピードある低域は量感もたっぷり。そのおかげで高域までしっかりと情報を引き出しながらも、バランス感覚を失わない本格的な音作りになっている。

中高域から高域にかけ、オーバーダンプにならず情報をしっかり出すようになった分、新品から使い始める際は高域にトゲトゲしさを感じるが、数時間も鳴らしておけば馴染んでくる。

長時間でも聴き疲れせず、軽快な装着感で毎日使いやすい

最後にいつものプレイリストを用いて音のインプレッションをお届けしよう。

Dido「Don’t Believe In Love」ではベースの力感、ストリングスが入って厚みが増してからのサウンドに説得力が出てきた。引き続き高域の描写は解析的に聞いてしまうと、もう少し奥行きが欲しくなるが、音楽的な情報は第一世代より明らかに増えている。

大石晴子「立ち合い」は、張りのあるキックベースの音が、広帯域で同時性をもって伝わってくる。ちょうどベースラインの部分に"膨らみ"を感じてしまうのと、ヴォーカルの周囲にあるニュアンスの描き方が、やや雑に聞こえてしまう。そうした意味では、やはりB&O Beoplay EXやWF-1000XM4との差は感じるが、品位の面では大幅に近づいた。

低域の再生帯域が広がっていることはセルジオ・メンデス「The Look of love(feat.Fargie)」で確認できる。質や定位感までは求められないが、しっかりと超低域まで感じられるだろう。イヤホンであることを考えれば十分なものだ。
本領を発揮するのは空間オーディオの楽曲。

クラフトワーク「Tour de France(etap.2)」では、隊列の先頭が入れ替わるように音源が円を描きながら回り続けるパートがある。空間オーディオに最適化した設計としたというが、iOS 16から導入された空間オーディオのパーソナライズ(耳の形状を3D検出して登録することで補正する)が効いているのだろう。

同じ空間オーディオでも、もっと自然な音場表現のダイアナ・ロス「I'm Coming Out」では、それぞれの音源が実に鮮烈に聴こえる。そもそもこの曲のマスタリングがとても良いのだが、実に鮮烈な再生音。クラシカルなソウルミュージックだが、モータウン独特のグルーブ感溢れるサウンドを入手したならぜひ楽しんでほしい。

総じて言えるのは、高音質と言われる上位のワイヤレスイヤホンを超えた音質とは感じないこと。しかしニュートラルな音作りは長時間でも聴き疲れなく、軽快な装着感と共に毎日使いやすい。

▲充電ケースはスピーカーとストラップホールを新たに備えた

では本機でなくていいではないか、となるが、iPhone、iPad、Macと一緒に使うなら、本機ほど便利なワイヤレスイヤホンは他にない。内蔵マイクのノイズ除去能力も高く、充電なしに6時間、ANCオンで使えるバッテリー持続時間も嬉しいところ。

今回は言及しないが、透過モードがさらに自然で使いやすくなっていることも含め、iPhoneとのペアリングという条件で考えるとやはりトータルでの魅力は極めて大きいと言えそうだ。


Apple AirPods Pro(第2世代) ​​​​​​​
¥39,800
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《本田雅一》
本田雅一

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