シフトールが発表したウェアラブルクーラーのプロ仕様モデル「ChillerX Pro」、さっそく試着してきたファーストインプレッションをお伝えします。
¥39,900
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ChillerX Proは、ペルチェ素子で冷やした水をベストに循環させる「ペルチェチラー方式」の冷却ベストChillerX(チラーエックス)シリーズの上位モデル。

例年の猛暑でハンディファンなど暑さ対策ギアの普及が進み、空調服(TM)などファン付きウェアを街なかの普段着として見かけることも増えてきましたが、チラーXはさらに大掛かりに冷やす電動冷却水循環ベストです。
新モデルChillerX Proは昨年比で1.6倍冷えるようになり、テストでは環境温度から最大で摂氏35度冷える性能を示しています(本体内のみで冷却水を循環させた際のペルチェユニット表面温度)。

電気で熱を運ぶペルチェ素子の冷却側で冷やした水をポンプで循環、発熱側のヒートシンクをファンで空冷するのはゲーミングPCのペルチェ水冷に近い原理。
ペルチェチラー式の特徴は、水冷PCのように金属のヒートシンクを直接当ててピンポイントで冷やす「直冷ペルチェ式」と異なり面で冷やすため人体との熱交換効率が高く、涼しさを実感しやすい、氷や凍ったペットボトル等で冷やす「氷水循環式」と違いバッテリーや電源さえあれば動くため、冷源を補給したり冷えたまま持ち歩く苦労がないこと。
ペルチェ素子とポンプ、空冷ファンをまとめた本体からチューブを伸ばし、冷媒が網状に循環するベストと接続するスタイルは、昨年の無印チラーXと同じです。

今年の新モデルチラーXプロの改良点は、冷却性能を昨年の無印から1.6倍に強化しさらに冷えるようになったこと。
またポンプの音を下げて6dBほど静音化したこと、給排気口の構造見直しで排熱が体にあたりにくくなったこと、効率の向上で駆動時間が伸びたことも朗報です。

具体的には、
・ヒートシンクを大型化。ファンを双発サイドフロー式にし回転数を上げ、ペルチェの空冷部分を大幅強化
・底面吸気・上部排気にエアフローを最適化。ダクト追加で熱気を体から離す
・ポンプの駆動を最適化し、静音化しつつ全体の冷却能力は向上
ベストと熱交換パッドは昨年からほぼそのまま、外付け別売りのモバイルバッテリーはポーチで腰に下げる(またはポケットに入れる)スタイルも同じです。
強化のトレードオフとして、本体はヒートシンクの大型化とエアフローの変更、ダクト追加でかなり厚みが増した箱状になっています。
昨年の無印モデル本体がすでにエアコンの室外機そっくりと言われる存在感で、かなりの厚みがありました。


シフトールいわく、昨年のユーザーのフィードバックを受けて、ある程度の大きさが必要な本体を多少小さくして性能を下げるより、大型化してでも冷却性能を冷やす方向の新モデル開発を判断したとのこと。
昨年モデルは後部(背中に触れる面の反対側)から吸気、側面から排気だったため、プロよりは薄いものの給気口を塞がないよう空間をあける必要があり、背もたれのある椅子などに深く座りにくい、また体型と装着場所によっては熱い排気が背中を伝わる問題がありました。
(本体はパイプを延長して腰の横につける、腹側に回す、助手席に置くといったこともできます)
新型は巨大ヒートシンクで本体も大型化したものの、排気口が上に向かってからダクトで斜め後ろに向くようになっており、給気口も背もたれなどで塞がりにくく、エアフローが分かりやすくなったのは改善点です。
給電方式は昨年の無印モデルと同じく、USB Type-C(DC20V 3A、60W)。
20000mAhのモバイルバッテリーを使用した場合、稼働時間はECOモード(最大出力の約半分)で約3時間、MAXモードで約1.4時間となっています。
交換するか、より大容量のモバイルバッテリーを使用すれば4時間・6時間といった長時間稼働も可能。対応のACアダプターと接続した場合は時間無制限での連続使用できます。
動作確認済みモバイルバッテリーは、エレコム EC-C17LBK(20,000mAh)、UGREEN 90597A(25,000mAh)、MOTTERU MB25001(25,000mAh)、VEGER Tank Boost W5001C(56,000mAh)など。
サイズはフリーサイズ(S~3L、胸囲79cm~120cm)。密着さえすれば特にベストがどこまで触れる等は気にする必要がなく、幅広い体型のユーザーが使用できる設計です。
使用可能温度は外気温0~45度ですが、モバイルバッテリーの使用可能温度範囲が40度未満の場合が多いため、取扱説明書の確認が推奨。
規格として20V 3A出力ができても、気温が高いと自発熱で連続出力ができないモバイルバッテリーも市場には多いため、また酷暑や直射日光による加熱も考えると、チラーX本来の性能を発揮させるにはモバイルバッテリー選びが決定的に重要です。
実際に試着してみた


というわけで、発表会場で実物を装着してみました。
肌着とシャツの上からとはいえ、チラーから出た時点で15度程度の水が密着したパッドのなかを循環するため、初夏の気候を歩いて汗ばんでいた状態から一気に冷や水を浴びせられたような……は大げさですが、でかい保冷剤を押し付けられたような気持ちよさ。も束の間、すぐ普通に寒くなりました。
これでは試用にならないため、できれば避けたかったものの、会場にセットされたテントサウナの室温40度環境へ。
ただヒーターを焚いただけで加湿はしていない、暖房で40度にした空間でしたが、顔や腕の露出部分はたしかに暑いものの、首の後ろ・背中・脇のひんやりは問題なく続き、5分ほど経過してもポンプから出た直後の水温計は17度ほど。
顔や頭、露出した腕はもっとも危険な酷暑と同じで「暑い」と感じるものの、そのまま待機と言われれば問題なく待てる、危険信号は感じない不思議な感覚でした。
比較のためチラーXを外して入ってみると、当たり前ながら「室温40度の小部屋」の息苦しさ。約2秒で退場しました。
チラーXは昨年の通常モデルを暑い日に実戦投入して試しましたが、今回のごく短時間の試用ではフルパワー時の冷却能力、特に室温体温で負荷がかかってからの水温安定はパワフルになった印象です。
それ以上に好印象だったのが、音が(比較的)静かになり、「ブーーーー」というポンプ起因の音がかなり減ったこと。
あくまで「比較的」静音になっただけで、音が出なくなったわけではまったくなく、ファン音も含めて元気に作動中を知らせることは変わりません。
しかし前モデルはファンの高い「シャー」や「サー」よりも、ポンプの低い「ブーーーー」が、何か異常が起きているような、対応しなくて良いのかで 気が気ではないタイプの音質だったため、ここが静音化したのはかなり朗報です。
(もちろん、本来は過酷な状況や屋外、自転車やバイクといったアクティビティで使うことも多く、前モデルでも音はまったく気にならないというユーザーも多かったはずですが)
チラーX Proの価格は3万9900円。本日より予約を受け付けます。
従来モデルのチラーXは2万9900円で併売。
本体がデカくなったトレードオフは歴然とあるものの、元からでかい室外機でどこかには装着または置く必要があったこと、そもそも動作音や外見、服の組み合わせといった制約を前提に、どうしても暑い環境で使う最終兵器であることを考えれば、大型化しても肝心の性能を高めたプロは歓迎できる方向性のバリエーションです。
本体はどうしようもなく目立ち、モビルスーツやストームトルーパーのたぐいに見えますが、例年よりまた暑くなるらしい今年の夏の屋内屋外イベントで、メカやヒーロー、アーマー系の扮装をすれば目立たなくなるかもしれません。
¥39,900
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)










