ゲーミングチェアに設置する7.1.2chニアフィールド サラウンドスピーカーなる何だかすごい製品、COLO GCSを体験してきました。
COLO GCSはゲーミングチェアなどのヘッドレストに取り付けて物理的にユーザーの頭部を囲い、リアルな定位感のある、包まれるようなサラウンドを実現するコンセプトの製品。

U字型にツノが生えたような本体に10ch・11個のスピーカーを内蔵しており、仮想サラウンドでは「分かるような……分からないような」になりがちなリアチャンネル(後方)は本当に頭の後ろから聞こえます。
高さ方向のハイトチャンネルも、ホームシアターやゲーミング用の環境構築では設置方法に悩みますが、COLO GCSは本体から斜め上に伸びた二本の「ツノ」の先、ユーザーの頭部より物理的に上にスピーカーがあり、空間オーディオの降るような音も上方から。

本体を付属のアタッチメントでヘッドレストにしっかりと取り付けることで、サブウーファーはヘッドレストや椅子本体を震わせて低音を体感させる効果を狙っています。
クラファン実施中の Kibidango のご厚意で、テクノエッジのコミュニティ テクノエッジ アルファ会員をご招待した体験会を実施しました。
実機でPS5のゲームやPCのサラウンドコンテンツ、空間オーディオのデモを短時間ながら試した印象は、

・「包まれるような」感覚は本物。雨や嵐が全方位から聞こえるドルビーアトモスのデモは、出力の違いはあれど映画館を思い出させる。
・立体音響に力を入れたPS5のゲーム『Returnal』では、敵や銃弾が高速に飛び交い入り乱れる戦闘の迫力はもちろん、何もしないで目を閉じて耳を澄ますだけで、反響や多くのサウンドオブジェクトが分かりやすく、環境音に没入する体験を楽しめる。
同じくPS5の『Rez Infinite』では、もともと2chで聴いても気持ち良いあの効果音がひとつひとつ、手触りを伴って響くほど(Rezはイヤホンでもテレビのスピーカーでも気持ちよく聴こえるので、ゲームが優れている割合が高いかもしれませんが)。

・構造的には正面にスピーカーがないものの、U字型の先端はいわゆるイネーブルドスピーカーとして前方に音を発して、反射で正面から聴こえる効果を狙った設計(前方に大きなモニタがあるか、壁があるほうが望ましい)。
・こう見えて省スペースでミニマム。一見すると物々しく大掛かりな、これ見よがしにゲーミング!な印象ではあるものの、背面や天井含めて部屋中にスピーカーを設置することと比較すれば非常にコンパクトなソリューション。特に、デスクの上や左右にスピーカーを置く必要がない。
・椅子のヘッドレストに設置するアタッチメントと、スピーカー本体は簡単に取り外せる。「ツノ」部分を分解すればほぼフラットになるため、隠したいとき?にも安心。
・逆に、ロボットのコックピットのような、SF映画のプロップのような本体の佇まいは「見せ」ポテンシャルも高い。
メーカーCOLOLIGHTはもともと、ゲーミング系の配信者などにありがちな、薄暗い部屋をマルチカラーでライトアップする照明を展開してきた企業。
COLO GCSはさすがにステータスライト程度で、全体がピカピカ光るわけではないものの、気分を上げるセットアップの一部として、あるいは部屋を演出する小道具としても優秀。

▲画像:製品パッケージと本体。中央はサイズ比較用の iPhone 15 Pro Max
仕様としてはシンプルで、基本的にHDMIで入力します。HDMI 2.1対応のHDMI入力端子のほか、HDMI eARCも備えており、接続としてはゲーム機やPCからテレビやモニターに、テレビからCOLO GCSに接続する方法、または椅子に先につないでモニタに接続する方法も。

Bluetoothにも対応しており、この場合は単なる2chステレオになるものの、スマホなどを手軽に接続して使えます。
電源供給は付属ACアダプタのみ。出力は計36W。USB-C端子があるものの、給電やPCの音声出力には対応しておらず、ファームウェアアップデートやメンテナンス用です。
サウンドモードは4つ
・音楽などに適した基本の「ユニバーサル」モード(全チャンネルをバランスよくフラットに)
・定位感が重要なゲーム向けの「FPS」モード(足音を持ち上げて分かりやすく、爆発音などは抑えて音の手がかりを聞きやすく)
・映画鑑賞向けの「シアター」モード(センターとフロントサラウンドを強調して画面から聴こえるように、低音をブーストして迫力と没入感)
・自動車ゲーム向けの「レーシング」モード(高さ以外の全チャンネルで低音をブースト、サブウーファーもブーストしてエンジン音とシートが震える感覚を再現)

モードとは別に低音ブーストも個別に操作できます。基本的にはユニバーサルで問題ありませんが、とにかくブォンブォン鳴らしてビリビリ響かせたいレーシングなど、コンテンツによって試してお好みで選べる位置づけのようです。
注意点
・ニアフィールドではあっても「周囲に音を漏らさない」目的ではない
スピーカーの近くで聞くニアフィールドスピーカー、ニアフィールドリスニングの利点には、たしかに(比較的)小さな音でもしっかり聴こえることも含まれますが、COLO GCSは周囲に音を漏らさないための設計ではありません。
部屋全体にスピーカーを配置したサラウンドシステムよりは小さな音ではあるものの、ある程度迫力のある出力にした場合、同じ部屋や近くにいる人にはしっかり聞こえます。「壁や床をビリビリと振動させて隣室から苦情」を防ぐ目的にはなるかもしれませんが、配置がコンパクトなだけでオープンな最大36Wスピーカーです。
・ウーファーは独立した大型には及ばない(それはそう)
イヤホン、ヘッドホンではどうしても難しい、リアルスピーカーの醍醐味は体に響く低音。COLO GCSも本物のサブウーファーを備えますが、体積や出力からしても床置きのボックスタイプのような、地鳴りのような低い振動や内臓を震わせる低音が出せるわけではありません。またイヤホンやヘッドホンの密閉もないため、低音目的でどちらを選ぶかはおそらく好みの問題。
・空間オーディオの没入感・定位感にも好みの問題
「音に包まれる感覚」も、物理的に背後(後頭部)から・頭上からも嘘ではありません。(音源がサラウンドや立体音響で、正しく認識されていれば)。ですが、音に限ってはそれが唯一の正解かというとまた難しく、「ここで鳴っていますよ」がはっきり分かるより、渾然一体とアトモスフィアを作り出すほうが没入感には資するという感じ方もあります。
この点では、最近の仮想サラウンドや仮想空間オーディオは長足の進歩を遂げており、デバイス側で2chに加工された音を、究極のニアフィールドであるイヤホンで聴いたほうが、密閉の優位もあって「包まれている」感があるという言い方もできるかもしれません。COLO GCSはオープンで、ある程度のリアルな迫力があり、物理的に各チャンネルが分かれている点、簡易的なオールインワンでサラウンド環境をセットアップできる点が魅力です。
・拡張性も(いまのところ)非対応。高コスパで省スペースなオールインワン
これはどちらかというとないものねだり、Feature Requestに近い点。サウンドバーやサラウンドシステムは、スピーカーを買い足して構築してゆく楽しみもありますが、COLO GCSは、少なくとも現状のバージョンでは単体で完結しており、大型のウーファーを接続する、センターチャンネルをテレビやモニタのスピーカーに割り当てるといったことはできません。
あくまでコンパクトで簡易な全部入り、11スピーカーを一気に、場所を気にせずセットアップできる点が魅力です。
COLO GCS は米ドルで定価699ドル。開発者を招き内覧会を実施した Kibidango では8月7日までの期限で、超早割約6万円からのキャンペーンを実施しています。
COLO GCS|7.1.2Ch Surround Speaker System for PC/PS5/Xbox/Switch Cololight