何度かのリリース延期を経てようやく早期アクセス版を発売したゲームの開発スタジオが、その4日後に倒産を発表するという異例の事態が起こっています。
5年前に開発が発表され、詳細もほとんど不明であるのにかかわらず、なぜかSteamで大きな期待を集めるゲームになった『The Day Before』は、開発スタジオであるFntastic曰く「血と汗と涙の5年」を経て12月7日に早期アクセス版がリリースとなったタイトル。
ところが、そのゲーム内容は当初の宣伝にあったMMOの要素を提供せず『Escape from Tarkov』に代表される抽出ゲームのようなゲーム性の方が強く感じられるようになっていました。
また、ゲームそのものの独自性が足りなかったり、ゲームの進行が意図的に遅くされているように感じられたり、至る所でプレイヤーキャラがスタックするといった問題の数々に批判が集まり、Steamでの評価は「圧倒的に不評」が付けられるに至りました。
そしてリリースから4日後の12日、Fntasticは、一説にはこれまで20万本分の売り上げがあったとされるにもかかわらず「財政的に失敗した」との理由でスタジオを閉鎖すると発表しました。
Fntasticはその後まもなく、YouTubeにアップロードしていた誇大広告気味の動画をすべて削除。Discordにあった『The Day Before』の公式サーバーも、一般的なチャットルームを除くすべてのテキストおよび音声チャネルが削除、ゲームの進行状況を伝えるためのニュースチャンネルからもすべてのメッセージから消されました。
Fntasticはゲームの開発中に全く公的資金を受け取らなかったと主張しており、アーリーアクセス版のリリースで受け取った収入はすべて、パートナーからの借り入れ金の返済に使うとしています。
幸い、Steamにはゲーム購入後2週間以内、プレイ時間が2時間未満ならば、理由を問わず無条件で返金に応じる規定があります。またRedditには、プレイ時間が2時間を超えていても、Steamが返金に応じているとする報告も上がっています。
このゲームのパブリッシャーであるMytonaは、Steamと協力して返金に応じる意向を発表しました。
ただ、一部では5年もの時間がありながらゲーム当初の宣伝どおりに開発されていなかった事実に気づかなかったMytonaに対しても、批判の声は出ている模様です。
記事執筆時点では、幸いに『The Day Before』のゲームサーバーは稼働しているようですが、これがいつまで続くのかは明らかではありません。