かつてファミコン用ガンコントローラーとして発売された光線銃を、コンビニ強盗に使った男が米国で逮捕されました。現地の保安官事務所は、対応ソフトの1つ「ダックハント」用のピストルだと紹介しています。
米サウスカロライナ州ヨーク郡の保安官代理は、容疑者David Joseph Dalesandro(25)がマスクやカツラを着けてコンビニに入り、銃を振り回して現金300ドルを奪った後、駐車場で逮捕されたと発表。ズボンの中に「ダックハント」用ピストルを見つけたと述べています。
任天堂の光線銃は、1970年代に発売したエレクトロニクス玩具「光線銃SP」が原点。ゲーム機を発売する前の任天堂が手掛けていた玩具、バッティング練習ができる「ウルトラマシン」や男女の愛情度を測る「ラブテスター」(ただの検流計)等に続く商品で、太陽電池を使うことで安価に光センサーを実現した点が特徴でした(光線銃から発した光を受けて発電したら当たりの判定)。
大ヒットして後のゲーム事業に繋がるとともに、ファミコン開発に深く関わるシャープとの縁ができたことでも知られています。
さておき、ファミコン用の光線銃は、1984年に『ワイルドガンマン』と同時発売。ほか『ダックハント』と『ホーガンズアレイ』を含めて対応ソフトは3本のみです。が、米国では『ダックハント』は光線銃込みでNES(米国版ファミコン)にバンドルされたこともあり、2831万本も売れたとのこと。つまり光線銃も、全米で2000万台以上は普及している可能性があります。
しかし光線銃はグレーないしオレンジ色であり、実銃とは見間違えにくいはず。そうした疑問に答えるように、保安官事務所は黒く塗っていたとして実物の写真をシェアしています。
ニセモノや模造銃を使った犯罪は米国では深刻な問題となっており、本物と全く変わらない心理的効果をもたらすようです。米メリーランド州ボルチモア市の検事は「偽物の銃を持ち歩き、本物の銃のように使うのは、投獄のレシピ(お決まりのパターン)です」「被害者の立場からすると全く違いがなく、我々は深刻に受け止めています」と語っていました。
今回の事件で光線銃が使われたのは、単に米国で光線銃の普及台数が非常に多いためかもしれません。こうした悪用が再発しないよう祈りたいところです。