元祖メタバースの『セカンドライフ』、モバイル版が開発中。デスクトップ版の資産は引き継げる見通し

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Linden Labs

いちはやく3Dアバターを通じて人々の交流や経済圏を実現した『セカンドライフ』がデビューしてから約20年ですが、なんとモバイル版が開発中だと発表されました。

セカンドライフの開発元であるリンデンラボは公式コミュニティにて、モバイルアプリのベータ版を今年後半に登場する予定だと投稿。それと合わせてモバイル版の概要や開発の進ちょくを伝える動画も公開しています。

元祖メタバースとの呼び声もある『セカンドライフ』は、2003年にデスクトップPC(WindowsやMac、Linux)向けがスタート。当初の話題性ほどには社会的な広がりには至らず、ふつう一般には「あの人は今」的な感慨が抱かれそうですが、実はいまだに現役です。月間アクティブユーザー数はピーク時の約110万人からはさほど減らず、数年前にも80万~90万人だと明かされていました

さて上記のビデオでは、iPhoneやiPad、Androidまで幅広いプラットフォームを取り込むため、開発にUnityを使っていると述べられています。またデスクトップ版に近いキャラクターや環境の映像も映され、モバイル版でも可能な限り再現を目指しているとのことです。

そこで気になるのが、デスクトップ版で20年近くにわたり築き上げられた“資産”のゆくえでしょう。「セカンドライフ」内ではユーザー自らがクリエイターとして商品を作り出して収入を得たり、家やショッピングモールといった不動産を建設・売買・運営(レンタル料も徴収できる)も可能です。それらを繋ぐ仮想通貨リンデンドルは現実のドルなどに換金でき、本物の資産と等しい価値を持っています。

この件については、モバイル版でもプレイヤーのデータや情報がデスクトップ版から引き継がれる予定とのこと。ゼロからやり直すことなく、長年の積み重ねをスマホやタブレットに持ち込めるようです。

モバイル版により『セカンドライフ』も第二の人生が吹き込まれる可能性がありそうですが、一方では資産も何もない新規ユーザーがやって来るのか、大幅に人口が増えるのかは疑問との声もあがっています

もっとも、Metaが最新技術を投入しているメタバース部門のReality Labsも巨額の赤字を計上し続けており、そもそもの入り口である収益化に苦戦しています。すでに20年近くも生きながらえている『セカンドライフ』は、今後も細く長く続いていくのかもしれません。


《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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