Googleの会話AI『Bard』が広告で誤情報を回答。親会社Alphabetの株価急落

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Munenori Taniguchi

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Googleの会話AI『Bard』が広告で誤情報を回答。親会社Alphabetの株価急落

Googleが日本時間2月7日未明に発表した実験的会話型AIサービス「Bard」ですが、これを紹介するTwitter広告の中にさっそく誤情報が含まれているのが見つかり、親会社Alphabetの株価が下落する展開になっています。

Bard発表イベントの少し前に出された広告の添付画像では「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による新発見のなかで、9歳の子どもに教えるのに良いものはなにか」という問いに対し、Bardが3つの回答案を提示しています。しかし、提示された3つめの回答である「JWSTは太陽系外の惑星を初めて撮影した」というのは不正確な情報でした。

NASAのウェブサイトでは、初めての太陽系外惑星の画像は、2004 年にヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡 (VLT)が撮影したと説明しています。

そして、皮肉なことに従来のGoogle検索で「最初に撮影された太陽系外惑星の画像」を検索すると、このVLTのページがリストのトップに出てくると、問題を発見したハーバード・スミソニアン天体物理学センターのGrant Tremblay氏はツイートしました。

The Economic Timesは、この誤りが発見された後、Googleの親会社Alphabetの株価が最大約8%下落し、1000億ドル以上の市場価値を失ったと伝えました

Alphabet の株価はほかの要因でも上下しますが、Googleが社運をかけて会話型AIに取り組む姿勢をCEOみずから発表した直後だけに、投資家が先行きに不安を抱いたとしても不思議はありません。

株価はその後やや持ち直したものの、記事執筆時点で発表以前の水準までは戻していません。

オックスフォード大学のCarissa Véliz氏はAI言語モデルが仕組み的に「統計分析に基づいてもっともらしい回答を出力するように設計されていて、真実を回答するようには設計されていない」と指摘しています

もちろん、GoogleはBard発表の際、この新しいAIサービスがまだ「実験的」なものだと述べています。そして今後はテスト段階を経てGoogleの検索エンジンに統合し、ユーザーからの検索文に対し関連性の高いサイトの一覧を返すだけでなく、独自の文章による回答も提供できるようにしていく計画だとしています。

Googleの広報は「今回の出来事から、厳格なテストプロセスの重要性が浮き彫りになりました。われわれは今週から、信頼できるテスターによるプログラムを開始します。そして外部からのフィードバックと内部でのテストを組み合わせ、Bardの回答が品質、安全性、実世界の情報に基づいた高い水準を満たしていることを確認するつもりです」と述べました。

マイクロソフトはOpenAIの技術を統合した新しいBingの発表において「Bingは、AIを利用しているため、思いがけない動作や間違いを発生させる可能性がある」と説明しています。AIの出力には情報の引用元へのリンクも記しており、ユーザーに「事実を確認し、学び、改善できるようフィードバックを共有」するよう求めました。

まだまだAI言語生成ツールは発展途上であり、完璧に正確な回答をするには至っていないところは、それを使うわれわれも肝に銘じておくべきことと言えそうです。




《Munenori Taniguchi》
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