Nintendo Switch 2新作『The Duskbloods』(ダスクブラッド)について、開発元フロム・ソフトウェアの代表取締役社長であり、本作のディレクターを務める宮崎英高氏にうかがったインタビューの後編をお届けします。

話題は歴代フロムゲーキャラに出てしまう宮崎氏の「好み」、気になるSwitch 2本体機能との連携要素、最近遊んでいるゲーム、オンラインマルチプレイヤーゲームならではの「プレーヤー層の煮詰り・分断」、本作独特の「烙印」システムと今後の構想まで。
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■キャラクター造形と宮崎氏の「好み」
―― 目元が見えないミステリアスなキャラであるとか、フロム作品らしいキャラクターのビジュアルは世界観に合わせてなのか、それとも宮崎さんご自身の好みが反映されたものなのでしょうか。

宮崎:まあ、好みは特に否定しません(笑い)。
ただ本作は、我々としては比較的、顔が見えるキャラクターが多いと思いますし、キャラクターをデザインし、モデルを制作する過程で、キャラクターの背景や人格などを丁寧に表現しようとしています。過去作で言えば『SEKIRO』とか『Déraciné』とかに近いでしょうか。
なのですが、まあ隠したくはなってしまいます。おそらく、単に好きなんだと思います、隠されたものが(笑い)。『ELDEN RING』などでもそうだったのですが、顔データをしっかり作っているのにフルフェイスみたいな。
―― 宮崎さんは目元を隠した女性だったり、試遊の範囲では見ませんでしたが、凛とした少年キャラクターがお好きなのでしょうか。
宮崎:そうですね。お好きなんだと思います(笑い)。ミステリアスな存在や、自分とは縁遠い、憧れるような存在が。
でも、それが何故かは、あまり掘り下げないようにしています。あんまりよろしくないものが出てきたら、辛いですからね(笑い)。
まあ、これはもう受け容れるしかないのかなと。なので、本作でも仰るような少年は登場します。大変申し訳ございません。
■烙印システムの拡張性

―― 烙印の「儚い恋」は、宮崎さんのロマンティシズムだなと思いました。
宮崎:そうですか?まあ、確かに好きな烙印ではありますし、同盟が最終戦直前までだったり、共闘がごく一時的なものだったりなど、関係性の儚さ、みたいなものは、本作の特徴なのかもしれません。
でも、烙印システム自体は、作っていてとても楽しいですね。今は、このシステム自体が新しいこともあり、比較的シンプルなものに留めていますが、製品版では、もう少し複雑なものも用意しておりますし、後々、このシステムに慣れ、複雑なルールもある程度許容されるようになったら、更に色々と遊べそうに思います。結構拡張性のあるシステムなのかなと。
■ランクマッチ、シーズンリセットは実装
―― プレイヤーのモチベーションのひとつにはやはりランクのようなものがあると思うんですが、『The Duskbloods』にも『Apex』のようなシーズン制やランクの仕組みはありますか
宮崎:はい。運営方法など検討中ではありますが、ランクマッチやランキング、シーズン制などは用意します。戦いに勝利し、ランクを上げる。当然ですが、そうしたことも、本作の楽しみのひとつと考えています。
■プレイヤー層が「煮詰まった」あと。熟練者が初心者のメリットになるシステム
―― マルチプレイが前提のゲーム体験について。発売直後はみな何も分からなくて、攻略してゆくのも面白いけれど、そのうち最適化だとか、これが最強で他はゴミだとかプレイヤー層が煮詰まってしまって、後から入ったプレイヤーには同じ楽しみがしづらい現象があると思います。それは「そういうもの」という感じなんでしょうか。
宮崎:これには、2つの答えがあると思います。
1つ目は、これまでお話ししてきたように、本作には様々な楽しみ方があること。そのため、初心者が楽しみながら、熟練者になっていくことが可能なこと。
例えば、これも繰り返しになってしまうのですが、まずはストーリーを楽しみ、その過程で段々と勝てるようになり、また勝ちたくもなる、といった流れですね。
2つ目は、これはアップデートでの話になりますが、熟練者が、むしろ初心者のメリットになるような要素を考えています。例えば、熟練者が特別な血盟相手になってくれたり、特別な強敵になってくれたり、あるいは、レアなイベントをもたらしてくれたり、といったような。熟練者が感謝され、尊敬されるようになれば、と思っています。
ただ、これはまだ構想の段階です。現状は、まず製品版の完成に全力を注いでおり、アップデートの内容、タイミングなどは、まだ未定の部分も多くなっていますので。
■『ナイトレイン』との関係は「技術レベルまで」
―― フェイズ制のシステムやマップ画面の操作などは『ナイトレイン』と通じる部分も感じましたが、技術共有やノウハウの活用はあるのでしょうか。
宮崎:同じ会社内で作られているゲームですし、オンラインゲームという共通点もありますから、技術や知見、フィードバックなどは、しっかりと共有しています。
■最近遊んでいるのは『カルドセプト』と麻雀
―― 最近よく遊んでいるゲームや、ゲーム以外で刺激を受けた作品はありますか
宮崎:ゲームに関して言えば、仕事の一環として多くのタイトルをプレイしています。リサーチというか、トレンドを知るというか、そういった目的で。その中でも、趣味として遊んでいるのは、直近では『カルドセプト』ですかね。本当に直近ですが。
あとは、ご質問の趣旨とはずれるかもしれませんが、最近では麻雀でしょうか。少し前に、久しぶりにリアルでやって負けて悔しかったので、鍛えなおしています(笑)
■シングルモードは「かなりミニマム」
―― シングルモードは、キャラクターごとに用意されているのでしょうか
宮崎:シングルモードについては、あくまでもミニマムなものです。サーバーメンテナンスなどで、オンラインプレイができない状況でも、何もプレイできないということはないようにしておきたくて。具体的には、キャラカスタマイズや、中庭での練習、8人対戦の模擬戦などですね。
―― キャラクターのバックボーンを知りたい場合は、どうすればよいのでしょうか
宮崎:ストーリー進行の中で、キャラクターの掘り下げも行われます。ただそれが、オンラインプレイを前提にしている、というだけです。
繰り返しになってしまいますが、本作の断片的ストーリーテリングは、オンラインプレイ、特にそのドラマ性を意識して設計されており、それを楽しんで欲しいと考えています。
オンラインプレイ前提であること、またプレイヤーキャラクターの多い群像劇であることから、過去作とは少し違った語り方になると思いますので、楽しみにして貰えると嬉しいです。
■調整は「最初はこまめに、プレイヤーの遊び方をみながら」
―― 今のところ、バランス調整はこまめに計画でしょうか。それともシーズンリセットのタイミングでまとめて行うのでしょうか。
宮崎:こまめにやっていくつもりです。
調整であれ拡張であれ、余地の大きいゲームデザインかと思いますし、実際にどういう風にユーザーさんに遊んでもらえ、楽しんでもらえるのか、未知の部分も大きいので。
そういう意味では、今回のネットワークテスト版の結果も重視しています。テストのフィードバックを受けて、できるだけ調整したいと考えています。
■マルチ向けタイトルでは「ユーザーテストをより重視する」
―― 宮崎さんご自身のディレクションのスタイルは『エルデンリング』から変わった部分、シングル向けとマルチ向けで意識的に変えている部分はありますか
宮崎:基本的には変わっていませんが、システムとルールで遊ぶ比重の大きいゲームなので、プレイテストと、それを受けての調整を、過去作よりも重視しているかと思います。
勿論、過去作でもプレイテスト自体は行っていますが、それを受けて全体ルールなどを調整することが多いというか。私としては新鮮で、本作を作っていて楽しい部分ですね。
■Switch 2ならではの機能や連携は?
―― 携帯性やカメラ、amiiboなど、Switch 2ならではの機能とゲームシステムの連携はあるのでしょうか
宮崎:ささやかなものは用意すると思いますが、タイミング的に、この場でお話しすることはできません。すみません。
■ルール設定の紆余曲折
―― ルールには紆余曲折あったとのことですが、特に苦労した点や、迷った部分はありますか
宮崎:調整で重視したポイントは幾つかあるのですが、そのひとつは「PvPの比重」ですね。ここで言うPvPは、プレイヤーキャラクター同士の直接的な殴りあいを指すのですが、その勝利に対する重要度、あるいはプレイ時間に占める割合、といったものです。
この点については、ネットワークテストでも引き続き重視しており、頂いたフィードバックを踏まえて、製品版に向けた調整を行うつもりです。
―― 根底には、様々なスタイルのプレイヤーに楽しんでほしい考えがあるからでしょうか。
宮崎:はい。美徳のシステムも、そのために採用したものですし、PvP要素以外にも、マップや敵など用意していますので、それら含めて、多くのユーザーさんに楽しんで欲しいと思います。
烙印などのロールプレイ、あるいはドラマ的な要素や、断片的ストーリーテリングやキャラビルドなど、勝利を目指すこと以外にも、楽しめる側面も様々に用意しているつもりです。

自分で言うのもなんですが、本作は新しいというか、変なゲームだと思います。その変さも含めて、楽しんで貰えたら嬉しいですね。
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