イーロン・マスク氏のTwitterを運営するX.Corp.は、マーク・ザッカーバーグ氏のMetaに対し、先日Metaがサービスを開始した「Threads」がTwitterの知的財産権を侵害しているとして、訴訟を起こすと脅しました。
ニュースサイトのSemaforによると、マスク氏の弁護士であるアレックス・スピロ氏は、X Corp.に宛てた書簡で「最近の報道に基づき、Meta PlatformがTwitterの取引機密およびその他の知的財産を系統的かつ故意かつ不当な格好で横取りしている重大な懸念がある」と述べています。
書簡の文章はさらに「Metaは過去1年間、数十人の元Twitter従業員を雇用してきた。これらの従業員はTwitter内部の極めて機密性の高い情報にアクセスできた。そしていまもアクセスし続けている」、「これら従業員は、Twitterに対し継続的な契約があるにもかかわらず、不適切にTwitterの文書と電子機器を保持し続けている」と綴られ、これらの従業員たちを「Metaの競合アプリの開発を加速させるために、Twitterの企業秘密やその他知的財産の流用を意図して、Metaの模倣アプリ "Threads "の開発に従事させた」と主張しています。
スピロ氏は他にも、ユーザーのフォロー状況などのTwitterデータをスクレイピングすることは禁止されているとも述べています。
これに対し、Metaの広報責任者アンディ・ストーン氏はThreadsの投稿でSemaforの記事に触れ「Threadsの技術チームに元Twitter従業員はひとりもいません。従ってその(書簡が主張する)ようなことはあり得ません」と述べました。
そしてザッカーバーグ氏はTwitterにネットミームのひとつであるスパイダーマンの画像をツイートしました。ちなみに、ザッカーバーグ氏がTwitterに投稿するのは2012年1月10日以来、11年ぶりのことです。
Twitterは書簡でいろいろとMetaが不正であるかのような主張をしているものの、その明確な証拠はひとつも提示していません。マスク氏は現在のTwitterにおける1日あたりの閲覧可能なツイート件数の制限を始めたときにも、AI企業らが大量にデータスクレイピングを行っていると主張しましたが、やはり具体的な例を示すことは避けており、懐疑的なユーザーや外部からは、本当は他に理由があるのではないかといった声もあります。
Threadsは、Twitterがツイート閲覧数制限でユーザーの不興を買った直後に、当初のアプリ公開予定を大幅に早めてリリースされました。そして開始から一昼夜でユーザー数が3000万人を超えたと伝えられており、世界的に非常に注目を集めています。
現在のところ、ThreadsユーザーになるにはInstagramアカウントが必要なので、Twitterからユーザーが流出しているというよりは、Instagramアカウントを持つ人々が登録しているのではないかとも思えます。ただ、もちろんInstagramとTwitter両方にアカウントを持つユーザーもいるはずです。
マスク氏はMetaへの書簡が明らかになったあとで、Twitterに「競争はかまわないが、不正行為は許されない」と冷静にツイートしましたが、Twitterと同じような機能や特徴を備えたSNSが急速に台頭するのを見て、心中穏やかではないことでしょう。もしかしたら、ベガス・オクタゴンでの金網デスマッチ実現にも一歩近づいたかもしれません。
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