廉価版というには高性能すぎるPixel 7a。Pixel aシリーズの立ち位置はどう変わる?(Google Tales)

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佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

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廉価版というには高性能すぎるPixel 7a。Pixel aシリーズの立ち位置はどう変わる?(Google Tales)
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Google I/Oで発表されたハードウェアの中で注目を集めたのは、Pixel FoldとPixel Tabletでしょう。Googleは数年前からAndroidの大画面対応に取り組んでいたので予想はできたものの、Foldにはちょっとわくわくしました。


でも、最も驚かされたのはPixel 7aの高性能っぷりです。

▲新色「Coral」のPixel 7a

2019年の登場以降、aシリーズは「前年10月に発表されたメインモデルの廉価版」として認知されてきましたが、Pixel 7aは昨年発表されたPixel 7とほぼ同等のスペックを持ちながら、カメラ性能なんて7より上です。

ちょっと比較表を作ってみました。ついでにPixel 6aも並べます。

▲Pixel 6aとPixel 7aとPixel 7のスペック価格比較(初出時にPixel 6aが顔認証可能としていましたが、正しくは指紋認証のみでした)

7より7aの方がスペックが上の項目が多いのに、価格は7aの方が約2万円安い6万2700円。

ストレージ容量が256GB必要な人を除けば、7aを待てば良かったと思う人が多いのでは。

Pixel 7aはディスプレイが少し小さいものの、その分筐体もコンパクトで3.5グラム軽いし。これでは7を定価で購入した人はがっかりするかもしれません。

▲Pixel 7(左)とPixel 7a。カメラバーもちょっと細くなって好ましい

今後もこの傾向が続くなら、ハイエンドモデルのProにこだわらない人は、無印モデルをスルーしてaシリーズを待つようになるかもしれません。

一方、Pixel 6aと7aを比較すると、7aに乗り換える価値はありそうです。7aは15.5グラム重くなりますが、サイズはほぼ同じでメモリが2GB増え、リフレッシュレートが60Hzから90Hzに向上。プロセッサがTensor G2になったことで、AI関連機能も最先端のものが使えます。6aが無線充電非対応だったのに対して、7aは対応しており、本体のカラーバリエーションも増えています。6aは渋い色ばかりだったけど、7aにはブルーとコーラルがあります。

振り返れば、これまでのPixelラインアップは迷走気味というか、試行錯誤の連続でした。

GoogleはPixelシリーズの前にはNexusシリーズのオリジナルスマートフォンを出していました。

Googleの最初のオリジナルブランド「Nexus」シリーズは2010年に「Androidの純粋な可能性を示す」という目的でスタートしました。初代のNexus Oneから最後のNexus 6まで、お手頃価格でスキンなどのない素のAndroidを使う感じのシリーズとして、それなりに一貫していました。

Pixelはこれとは別に2016年に登場。Nexusとは異なり、Pixel独自のスキンも搭載し、価格的にもハイエンドモデルの仲間入りでした。

Googleが開発する最先端の機能をまっさきに試せるというのが大きな特徴で、特にAI搭載のカメラ機能などは自慢できます。

余談ですが、Pixelというブランドを最初に冠したのはスマートフォンではなく、2013年の「Chromebook Pixel」でした(遠い目)。次は2015年のAndroid搭載タブレット「Pixel C」。(いずれも日本では未発売。)

▲Googleの初代Androidタブレット「Pixel C」

スマートフォンのPixelシリーズは、最初は無印とちょっと大きい「XL」の2モデルのみのラインアップでした。別にエクストララージというわけではなかったようですが、おっきい方がXL。

aシリーズはPixel 3から追加されました。10月にメインが発表され、翌年の5月にその廉価版としてaが発表されるという流れに。

ところが2019年の4代目、Pixel 4シリーズで早くも迷走感が。2020年5月には4のa版は出ず、8月にPixel 4aが出て、10月に5代目のPixel 5と一緒にPixel 4a(5G)を発表。

Pixel 5にはXLはなく、AI機能は最先端でしたが決してハイエンドとは言いにくいスペックでした。個人的にはコンパクトでバランスのいい端末だったと思いますが、「どこに向かってるの?」と思わせる流れでした。

で、6と7は無印とProが10月、その代の「a」は翌年5月というペースになりました。背面のカメラバーも6からです。

果たして10月に発表されるであろうPixel 8(仮)でもこの流れが続くでしょうか? そうしたら、8の想定購買層はみんなPixel 8aを待っちゃうのでは? それとも、Googleはaシリーズをやめちゃうのかな?

OSメーカー純正スマートフォンとしては、AppleのiPhoneシリーズが先輩です。iPhoneにも、廉価版としてSEシリーズがあります。

iPhone SEは、本流のiPhoneシリーズと同様に高性能を提供しながら、筐体の素材やサイズを工夫して価格を抑えています。2016年にスタートしたSEは毎年出るのではなく、2~3年に一度のペース。まだ3世代しか出ていません。aシリーズもせめて、SEくらい休み休み出したらどうでしょうか。せっかくの「ほぼハイエンドスペック」なので。

追記:連載名を「Google Tales」に変更しました。

《佐藤由紀子》

佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

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